第三十二話 嫌味と皮肉
ゴンちゃんとヴァンちゃん、他のワイバーンに食事と酒を与えて労ったところで、魔族の魔石を俺と同じ様に名刺状にしてネームホルダーに入れて渡しておいた。魔族や魔物を引き寄せる性質は無効にしている。その代わり、防御力アップの魔道具にした。魔晶石と同じ性質も与えてある。一応俺の従魔なんでね、俺がこの世界にいる分には保護するよ。この世界対応が終わったら、自動で”破棄”されるようにしてある。他には俺の従魔だと分かるようにしてある。身分証と同じように俺の魔力を登録してあるから、身分証を確認する魔道具でチェックすれば大丈夫だ。あ、ワイバーンは巣で振舞ったんだよ。城だと邪魔だし、分身で対応できるから。
名刺状の魔石には名前を刻んである。まあ、ワイバーンはトランプの説明をして、グループで序列にしたトランプの記号と数字だけだけど。戦闘力が高いのがスペード、機動力が高い連中がクラブ、防御力が高いのがダイヤ、魔法が得意な連中がハートにしてある。まあ、能力差はそれほど無いんだけど。ヴァンちゃん以外は神使にしていない。ヴァンちゃんはボスだけあって、群れの他の奴より二段階ぐらい能力が高いけど。
その後は王女二人を凌辱したんだけど、”魅了”の魔法を解除してやったのに、嫌がったり、泣きわめいたりするどころか、自分で求めて来やがった。初めてなので多少痛がってはいたけどさ。
やはり、根がいやらしいみたいだ。好き者どもめ!
実はめんどくさいからデータシート改変で、触るだけで性的快感を与えるような効果を自分に追加したんだよ。俺の全身が”大人のおもちゃ”とか”媚薬”のような物だと思ってくれればいい。(俺の意志でオン・オフ可能)
麻薬のような感じで習慣性や依存性がある効果も与えた。
そうしたら、マグロだと思っていたのが、活きの良い海老ですよ!ピチピチ飛び跳ねるように、良い反応し過ぎです。快感で仰け反りまくってたよ。
地獄に落とすつもりだったのに、相手は極楽ですよ!全く。
うんざりしたので、最後は”睡眠”の魔法で眠らせた。俺が起こすまで眠るように効果を与えてさ。
満足したのか顔はテカテカで、ニンマリして、涎垂らしてるよ。美少女のこんな寝顔を見るとは思わなかった。
これでは、恐怖や嫌悪感を与える目的から遠ざかるので困るよ!
めんどくさがって、楽しようとすると、こう言うこともあるのかと反省した。
反応にびっくりして、気持ちよかったとか、満足したとか、そう言うのは感じなかった。仕事でするってのは、虚しいだけだ。危険なので依存性や習慣性の効果は無効にした。性的快感を与える能力は、行為終了後、オフにしたけど。
少女を犯しても罪悪感は無いが(人を奴隷や消耗品扱いする連中を同じように扱っても問題は無い。加害者が良くて被害者は駄目ってのは、おかしいだろう?)、性的満足も無いのは何だかなぁ。性欲が減退している影響もあるかも知れないけどさ。
根神さんもこのビックリな反応なら文句ないだろうと思ったら、神託通信で文句言ってきたよ。
四十八手を試せとか、オールナイトじゃないのは納得いかないとか。鞭と蝋燭の演出は?とか。
…勘弁してくれよ。要求がハードすぎる。
ゴンちゃんとヴァンちゃんは、気を使って寝てくれたから良いけど。
野生生物だけど、この辺の気遣いは出来るようだ。
魔剣どもは不可視モードで見てたけどね。
赤熱 「起きたか、主。」
紙 「お早う。」
白熱 「疲れた顔をしているな。かなり激しかったから、仕方が無いか。」
紙 「肉体的には問題無い。頑張ったのに文句言われたんだよ。」
赤熱・白熱 「ああ、なるほど。納得した。それほど気にする必要は無かろう?主の目的に支障はないのだから。」
紙 「そりゃそうだ。こいつらはどうせ処刑するから。…王女どもに”清浄”の魔法を掛けておくか。予定の調整もあるしな。さっさと部屋から追い出せるようにしないとね。」
王女どもに”清浄”の魔法を掛けて綺麗にしていると、ゴンちゃんとヴァンちゃんが覗いている。
”清浄”の魔法は、生活魔法と言われる便利魔法の一つだ。対象を清潔にする効果がある。”浄化の魔法”に似ているけど、効果としては下位互換かな?”浄化”の方が効果範囲が広いから。例えるなら、水洗いだけするのと消毒までする違いみたいなものかな?
紙 「二人ともお早う。ちょっと待ってくれ。王女どもを追い出すから。アクチノとトレモよ!さっさと起きろ!着替えて自室へ戻りやがれ。」
王女二人は熟睡していたが、魔法の効果で、すっきりした顔で目覚めた。
アクチノ・トレモ 「昨夜は激しく求めあった仲ではありませんか。勇者様、もう少しお情けを頂戴致したく…。」
王女二人がモジモジしながら、とんでもないことを要求して来やがった。
しかも目覚めの挨拶がこれかよ。普通は『お早うございます。』とかだよね?
依存性や習慣性の効果は無効にしたと言うのに!
紙 「命令だ!着替えて自室へ戻れ!今日は、芸を見せて貰うからな。準備ができたら呼べ!」
隷属しているので、命令には逆らえないからな。二人はブツブツ言いながら、出て行った。…歩き方が少しガニ股になってるけど。
二人共薄ら笑いを浮かべてるのは、気色悪かった。
紙 「あれがお姫様かよ。スケベ親父の反応だぞ。全く。」
ゴンちゃん 「人族には発情期は無く、一年中交配可能なので、あの反応なのでは?」
ヴァンちゃん 「竜種や亜竜種には発情期がありますからね。長命種ですので、周期も何十年と言う形になりますが…。」
お前らの感覚で判断するな!アレは人でも特別だと思うぞ。
これなら神代さんと知り合う前の予定通りに、虐殺だけする方が気持ち的にも肉体的にも楽だったよ。”特殊能力:紙”の広範囲攻撃で殲滅すれば良いんだから。
紙 「イヤイヤ、あの二人の性欲が強いだけだって。まあ、それは良いよ。今日の予定だが…。」
王族に与えた期間が来たので、芸をさせるのだ。どんな芸をするのか見ものだけど。
皆と行動予定の話し合いをしていると、案内役どもが準備ができたと呼びに来た。
さて、どんな芸を見せてくれるのやら。
◇◆◇◆◇◆
案内役どもが準備ができたと呼びに来たので、魔剣と従魔を連れて移動する。
城の大広間(謁見の間以外にも大人数で対応することがあるので、こういう部屋がある。パーティーとかで使ったりする。)に、王族と魔導士団の連中だなアレは。他に楽師かな?楽器を持った連中がいる。
…宮廷楽師だろうけど、ファンタジーモノに出てくる吟遊詩人みたいな奴もいる。他は、護衛だろう。近衛騎士どもがいる。ガリヤーンとフッカーはいないようだ。案内役どもは、俺のそばに控えているけど。
用意されていた席に、ゴンちゃん・ヴァンちゃんと座る。
紙 「さあ、見せて貰おうか。人攫いをする屑どもの芸をよ。」
不愉快そうに要求してみた。
吟遊詩人みたいな奴が前に出てきてお辞儀する。…どうやら、こいつが司会進行役のようだな。呼び方は”司会”としておくか。
司会 「本日は、召喚勇者様の為、我らがメソポ王国の国王陛下と王族の皆様が芸を披露いたします。宮廷楽師と魔導士団が助手として参加いたしますので、よろしくお願い致します。勇者様、存分にお楽しみください。」
司会の挨拶が回りくどくて、既にうんざりしてきたが、俺の指示だから芸を見ないわけにはいかない。楽師と魔導士どもは助手か。まあ、助手は禁止していないからな。
司会 「それでは、始めさせていただきます!」
始まったのは、人形劇だった。
…なるほどな。この人形は魔法で動かすタイプだ。付与魔法の一種でラジコンの様に動かす魔法だ。ゴーレムを創る時の魔法の練習でもあるやつだ。傀儡の魔法と言ったっけ。
人形は特殊な物も使えるが、普通の奴でも問題無い。ゴーレムは専用の核を作る必要がある。ゴーレムは動かすのに集中力と魔力が大量に必要になる。魔物のゴーレムは、魔素だまりとかで自然発生して目的も無くうろついているけど。
魔導書が子供向けで、魔法の練習用として傀儡の魔法があるから、人形劇を芸に選んだようだな。
人形劇の内容は、こんな感じだ。
* * * *
むかーし、むかし。今いる長命種も生まれる前位の大昔。
世界は魔族の攻撃で滅びるかも知れませんでした。
そんな状況に人族や亜人は絶望していました。
世界が滅ぶことを哀れんだ神様が、異世界より一人の勇者を召喚し、この世界に遣わしました。
メソポ王国に降り立った勇者様は、その大きすぎる力を恐れた王国の王様や貴族たちに騙されて、酷い扱いを受けましたが、魔族対応の応援で来ていた他国の英雄の危機を救い、その国の保護を受けることになりました。
勇者様を保護した国は、コウガー帝国です。コウガー帝国の英雄は第五皇子様でした。
コウガー帝国の保護を受けた勇者様は、魔族の攻撃から世界を救いました。世界の恩人である勇者様に酷いことを行ったメソポ王国は、各国から恩知らずの酷い国だと非難されました。
勇者様に酷い扱いを行ったメソポ王国は、勇者様とコウガー帝国から攻撃され、滅亡寸前まで追い込まれましたが、他国の説得もあり、各国にメソポ王国の王族が人質として行くことで存続が許されました。
勇者様は寛大であり、大いなる慈悲を持つ御方だったため、メソポ王国の王族や貴族の大規模処刑などは行いませんでした。
多額の賠償金は要求されましたが、命は助けたのです。
命さえあれば、お金は稼ぐことが出来ます。
我々メソポ王国の者は、勇者様の大恩を決して忘れてはいけません!
未来永劫、忘れないよう勇者様の物語を伝えていきましょう。
コウガー帝国に戻った勇者様は、功績が帝国に認められ、お姫様と結ばれて末永く幸せに暮らしましたとさ。
終わり。
* * * *
…こんな感じで、歴代召喚勇者の物語(史実と違う内容の英雄物語ね。書庫にあった御伽噺の内容だな。勇者の亡命先での話もあったけど割愛した。お姫様と結婚したラブロマンスとか魔物を討伐したとかだったから。かなり脚色されているし、少女趣味全開でうんざりした。地球の女の子でも鼻で笑う感じだぞ。非現実的すぎるってな。ファンタジーと言うよりメルヘンな内容だ。)を人形劇で見せられたよ。三人分ね。同胞の召喚勇者がいかに寛大であり、慈悲深かったかを強調していたけど。
…やるじゃねーか。召喚勇者の御伽噺とはよ。
紙 「…ふっ。この演目を選んだのは誰だよ?くっくっくっ、やるじゃねーか。笑わせてくれるぜ。良い趣味してるなぁ~?ええ?おい。」
手で顔を覆いながら、苦笑いをする。
魔剣は赤熱も白熱もあきれている。
ゴンちゃんとヴァンちゃんは、史実を発表した後に、史実をごまかすために作った御伽噺を演目で行うのかと疑問に思っているようだ。
屑王以下は、俺が苦笑いとは言え笑っているので、ホッとした顔をしている。
紙 「…お前ら、やるじゃねーか。こんな嫌味と皮肉になる物語を演目に選ぶとはなぁ。俺に寛大になれってか?慈悲を与えろってか?…ふざけるなよ。全員処刑したいところだが、魔族対応が終わるまで一人は残さないといかんからな。屑王以外の王族は魔族対応の会合の時に処刑する!覚悟しておけ!屑王には血筋を残せないよう呪いを追加する!お前ら、俺を舐めてるだろう?嫌味や皮肉だって分かるぞ。生憎俺は、こういうジョークは嫌いなんだよ。人形劇は良かったが、演目を間違ったな。芸を披露した褒美をくれてやろう。今回芸を行った連中は、屑王以外は一月後に発動する呪いですぐに死ぬようにしてやるよ。嬉しいだろう?それ程苦しまずに死ねるんだから。寛大な心と慈悲だろう?お前らが望む形では無いかも知れんがな。あははははは。」
そう言って呪いを調整する。
屑王以下は真っ青だ。この展開になるのは予測できるだろうに、誰も止めなかったのかよ?
下等な異世界人なら、お涙頂戴で許して貰えると思ったのかよ?
馬鹿じゃねーの。正義感の強い青少年じゃなくて、俺はおっさんだぞ。人の本質はそんなに変わる物では無いのを理解している。無責任な屑どもを許すわけないだろうに。
例えるなら”いじめ”をしていた連中は、自分達の行為を忘れるが、傷つけられた被害者は忘れずに心や体に傷を受けたままという事だ。被害者側に何の落ち度もない場合などは特にね。いじめられる方にも問題があるなどと詭弁を弄する人もいるが、いじめる権利などは無いのだからな。特に大人しいとか真面目で面白くない、文句も言ってこない、反撃もしないから”いじめる”場合など許されることではない。被害者には非が無いのだから。屑と言うのは”ふざけただけ”などと言い訳するのがテンプレだがね。暴力や嫌がらせなどを行ったら、単なる犯罪行為だ。犯罪抑止の為に学校などへ監視カメラの設置を行うのもアリだと思うぞ。個人的には少年法は廃止すればいいと思う。少年法と同じような法律がある国では、ロクデナシの少年・少女が少年法を盾にして犯罪をするのが問題になっている。それに人と言うのは時間の経過とともに自分を守る為、自身に都合のいいように記憶を改竄していく生物なんだよ。俺の主観だが、刑務所は懲罰施設では無く矯正施設と言うが、人の性質上矯正など出来ないから、信賞必罰で世の中は治める方が良いと思う。犯罪者は被害者に賠償責任があっても支払わないことのが多いし、ハンムラビ法典の様な法治の方が人には合うと思う。
特に日本は被害者側の正当防衛の権利をアメリカ並みに強化すべきだろう。抑止力と言うのは必要なことだ。それに勘違いされているが、アメリカでも正規に銃を所持する場合は色々と手続きが必要だ。実は、非合法で銃を簡単に入手出来てしまうタイなどの方が危険度は高い。今はどうだか知らんが、市場でちゃっかり実銃が売っていたからな。あっちのニュースを見る限り相変わらずっぽいが…。まあ、警察や軍と繋がりが無いなら、入手しようとしない方が良いと思うがね。変なことに巻き込まれるのがオチだ。射撃がしたいだけなら、観光で出来る場所は結構あるし。東南アジアなどでは、軍の射撃場のツアーとかもある。場所によってはバズーカ砲やロケットランチャーを撃てるんだったかな?代金がお高いけど。話がそれたな。
まあ、俺の主観で話しているので、意見の相違は人によってあるだろう。思想や立場によって、意見が変わるのは当然のことだ。
俺は人を奴隷にして、消耗品扱いしようとしたこの世界に慈悲は与えないよ。俺にとって害悪だからな。
侵略者の敵というよりは、害虫駆除と同じことだ。読者さんもゴキブリや蠅、蚊などを駆除するのは、必要なことだと思うだろう?
紙 「部屋に戻るか。赤熱と白熱よ、人形劇はどうだった?」
赤熱 「練習したのだろう。人形の動きは良かったがな。」
白熱 「勇者関連の事実の発表後であるのに、演目の変更をしないとはな。理解できん。」
紙 「そうだよな。ゴンちゃんとヴァンちゃんは、どうだ?」
ゴンちゃん 「あきれてます。主様の怒りを買うのは分かるでしょうに。」
ヴァンちゃん 「ゴンちゃんと同意見です。」
紙 『お面はどう見る?』
お面 『旦那の意識を変えることが出来れば、めっけもんぐらいでやしょう。無責任な連中でやすから。』
紙 『出来る範囲で嫌味と皮肉と言ったところか?』
お面 『恐らくは。アホ王子を処刑しやしたしね。』
紙 『なるほどな。自業自得の癖に、逆恨みか。』
お面 『無責任なので、殺すことは無いとか、自分達の手を汚させたとか、勝手な事を考えての抵抗でやしょう。』
紙 『そうかもな。ま、どうでも良いか。行動に支障はない。』
お面 『そうでやすね。』
納得した所で部屋に戻った。
屑王達は真っ青になっただけで、何も言わなかったな。弁解しても無駄なのを学習したようだ。
さて、魔族対応の会合まで時間が空くな。
予定の調整をしないとね。
どうするかな。ゴンちゃんの巣の確認もあるし。
うーん、一度神域で調整するかな。
…根神さん、ご開帳しなくても良いからね。アレ、冗談だから。
余計なこと言っちゃったなぁ…。
どうしよう。
見ちゃったら、次元管理局の研修は、根神さんが教育担当になるよなぁ。
折檻は御免だから、それは避けたいんだが…。
まいったね。




