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第二十七話 ”工作”と冒険者ギルド

冒険者ギルドまでは少し距離があるそうだ。

千里眼連動型地図(マップ)で確認すると30分程度歩きそうだな。

千里眼連動型地図(マップ)は、クリミナルを引継いだ時に勝手に出来た能力だ。自動地図(オートマッピング)能力がバージョンアップしやがった。

まあ、それは仕方が無いが乗り物を用意するか。”特殊能力:紙”のあの機能を使うとしよう。


紙 「少し遠いな。駄載獣(ださいじゅう)を用意するから乗れ!」


騎士責 「勇者様、駄載獣(ださいじゅう)は、駄獣(だじゅう)とも呼ばれる、貨物を背中に載せて運搬するための使役動物では?少し待って頂ければ、騎獣を用意いたします。馬でよろしいですか?」


紙 「ふん。お前らなんぞ荷物と変わらん。それに俺の駄載獣(ださいじゅう)は乗用可能だ。文句言うな!」


ゴンちゃんとヴァンちゃんには飛んでついて来るように言って、駄載獣(ださいじゅう)を創り出す。


紙 「工作!ペーパークラフ(トン)駆二駆二(クニクニ)!」


公園にあるスプリング遊具の様な見た目の物体が現れた。豚型で胴体にバネは付いていないが(代わりに足が付いている)、頭の所に自転車のバーハンドルとブレーキレバーが付いている。(ワイヤーは無いけど、握ると減速と停止操作が出来るのは自転車と同じ仕様だ。)全ての操作は、音声か思念で可能。これは、”特殊能力:紙”の機能の一つで、式神の様な疑似生命を生み出すものだ。”工作!”の掛け声で作成する。形状や能力はイメージで自由に設定できる。ペーパークラフ(トン)で分かるように、ペーパークラフト(紙製の模型)と言ったところだ。紙製ではあるが、とても頑丈だ。耐熱・耐水・耐衝撃・耐摩耗など普通の生物より強力である。ファンタジー的に言うと紙製のゴーレム?ちょっと違うとは思うけど。今回作成した感じは、ペーパーマッシュって感じかな?中身は空っぽだし。

騎獣では無く、駄載獣(ださいじゅう)なのは、空っぽの胴体がマジックバッグ同様の機能を持っているから。今回は省いたけど。

あ、ペーパーマッシュってのは、半紙や新聞紙を糊で固めて形を作っていく工作物だ。早い話が張り子である。

生き物では無いので、案内役達も驚いてはいない。ゴーレムのような物と思っているようだ。


紙 「乗れ!お前らは乗っているだけで良い。ここのハンドルを握ってろ。後は自動で着く。」


全員乗ったことを確認し、地図連動型自動駆動マップれんどうがたオートドライブで起動する。

今回操作権限は俺限定にしている。


紙 「全員乗ったな。地図連動型自動駆動マップれんどうがたオートドライブ!目的地”王都ネンドバーン・冒険者ギルド”発進!」


”ブヒーッ!”と駆二駆二(クニクニ)が鳴いて走り出した。


ここで、ペーパークラフ(トン)駆二駆二(クニクニ)の説明をしておこう。

豚型なのは説明したが、読者さんは”クニクニ”と言う豚の種類をご存知だろうか?クニクニという豚は、餌が草だけでも育つ珍しい品種だ。豚は本来、草食よりの雑食だ。創ったのは、クニクニをモデルにした疑似生命なので餌は不要。モデルにしただけなので大きさなどは違う。後は、創った俺も動力源が何かわからんが、とにかく動く。駆二駆二(クニクニ)と名付けたのは、豚の品種と四本足なので、前足・後ろ足それぞれ二駆で、合わせて四駆のイメージだ。ボディにはちゃんと”4WD”と書いたぞ!四輪駆動では無く、四足駆動なので突っ込み待ちだ。これはお約束だろう?オートバランス機能が付いているので、騎乗者は落ちない。(あぶみ)じゃなくて、平らなステップ付きで足元も安定している設計だ。最高時速100km、時速80kmで巡航可能にした。紙製で中が空っぽなので超軽量ボディだ。

通行人を避けながらの高速移動で、案内役と騎士団・魔導士団の責任者が悲鳴を上げていたが、あっという間に着いた。

この世界の乗用生物は消滅した世界の残滓が統合されている関係で、地球の馬などよりもタフで力もあり、大型だが小回りが利かない。これは長距離移動用だ。餌代の関係で飼育数は少ない。(馬の様な草食動物は雑草を食わせればいいと思うかもしれないが、馬の場合は、麦を煮た餌などを与える必要もある。まあ、最近は違うかもしれないが、作者の祖父が騎兵だった時の経験や近所の農家が飼育していたので教えて貰った情報だ。与えないと栄養不足になったりするそう。)近距離移動用途で、地球の馬や牛と同等のモノもいる。これは個人や商人が使っているな。餌代などの経費の関係でね。他には、戦争などでは小型の魔物を使役したりする。小型の恐竜の様な魔物だ。一応竜の一種だったかな?モックミニドラゴンとか言うんだったか。似非小型竜とか酷い名前だ。ブレスでは無いが、火属性の火炎放射の様な魔法を口から吐く。見た目は二足歩行のデカいトカゲだ。飼育できるように改良していた世界の残滓の生物というか魔物。鱗と同化した退化した小さい羽があるけど、付いて無いのと同じだ。飛べないし。他にも家畜化された魔物がいて、利用されているけど、経費がそれなりに必要だ。馬もそうだが、乗用生物は制御するのに技術も必要になる。乗用魔物は魔力で指示を与える必要がある。まあ、乗用魔物のコントロールには、魔力を使う以外に犬笛の様な魔道具を利用する方法もあるんだけどね。獣でも魔物でも利用できるように、調教は必要だけど。これは地球の馬とかと同じだ。調教しないと、背に乗っても落とそうとする。動けって命令しても動かなかったりね。


駆二駆二(クニクニ)は、紙変換して仕舞っておく。

案内役と騎士団・魔導士団の責任者が青い顔でふらついているが、無視して冒険者ギルドへずかずか入る。


冒険者ギルド内は、夕方のせいか混み合っている。戦闘職が多いので武骨な連中ばかりだが、飲み屋の様な雑然とした感じはない。

…奥の方に食堂と簡易宿泊施設があるようだが、そっちは酒飲んでいる連中がいるようで騒がしいがね。

王都のギルドと言うのもあるのだろう。役所のような感じで冒険者どもが窓口に並んでいる。

これを見てムカついた。魔族襲来で緊急事態の対応義務があるはずなのに、平常運転とはどういうことだ!?

ふざけるなよ。

並んでいる冒険者どもを無視して、窓口へ行く。


紙 「どけ!屑ども。邪魔だ!」


冒険者の何人かが文句を言おうとしたが、跪いて血を吐いて死んだ。ここへ来る前に呪いの設定を調整したんだ。突っかかってくる連中の相手している時間は無いんでね。俺から半径5mを効果範囲にして呪いを掛けているから。

呪いの発動を見て、冒険者どもが俺から距離をとる。…武器を手に取る者もいるな。自分に呪いが掛かっていると考えないようだ。武器を手にした瞬間、跪いて血を吐いて死んでいる。周りにいた連中が呪いの効果であることを認識したようだ。口々に『勇者の呪いだ。』と言って、ビビっている。

俺の隣にいたゴンちゃんとヴァンちゃんが、冒険者たちを威嚇した。…頭だけ元の姿になれるんだ。あ、尾も出ている。頭の大きさは、人と同じで元に戻すとか器用だな。

冒険者たちは青い顔をしている。


紙 「責任者を出せ!俺はお前らの言う召喚勇者だ。早くしろ!」


案内役と騎士団・魔導士団の責任者が窓口に説明する。

騒ぎを聞いたせいか、がっちりした初老と思われる男性が階段を下りてきた。恐らくギルドの責任者だろう。


男性 「何の騒ぎだ!ギルド内で揉め事は御法度だぞ!」


男性に受付嬢が駆け寄り説明する。


紙 「お前がここの責任者か?」


男性 「如何にも私がギルドマスターだ。何の用だ?」


紙 「何の用だじゃねーよ!文句を言いに来たんだ。お前ら魔族襲来で緊急事態なのに、対応義務を放棄しやがったな!この落とし前はどうつけるつもりだ!」


ギルマス 「魔族対応は勇者の仕事だろう?実際解決しているでは無いか。」


謝罪も感謝もしないで開き直ったか。じゃあ、こいつらはどうするつもりだ?


紙 「ふざけるなよ。俺はこの世界の連中に隷属も従属もしていない。俺は勇者召喚と言う人攫いにあったんだ!人攫いに協力する義理は無え!何が勇者の仕事だ!この無責任が!魔族対応だけじゃ無え、冒険者ギルドは冒険者の管理義務があるはずだよな?こいつらは、ここの所属だろ。どう落とし前を付ける?」


盗人冒険者を取り出し、王都出入口での記録を再生する。騎士団・魔導士団の責任者が事実の記録であると証言した。

盗人冒険者から取り上げた冒険者証をギルマスに投げつける。ギルマスは、冒険者証をキャッチし確認すると渋い顔をした。

ギルド職員や冒険者どもは記録を見て怯えている。

盗人冒険者は立ったままだが、行動不能状態で取り出しているで動けない。あ、所持金や武器などは取り上げている。


紙 「冒険者ってのは盗人なのか?どうなんだ?答えろ!」


ギルマス 「・・・・・・。」


だんまりかよ。遺跡調査なんかも仕事でするから、冒険者が盗人と言うのは、あながち間違いでは無い。墓地の様な遺跡もあるからな。そんなところの調査は墓荒らしと変わらんと思う。地球の考古学者もある意味盗人で、墓荒らしだと俺は認識している。まあ、俺の主観ではあるけどね。


紙 「…沈黙は肯定と判断する。盗人は処刑しないとな。」


魔剣を使って盗人冒険者の首を切り落とす。今回は焼き切らず、血が噴き出すようにした。

盗人冒険者5人の首が一瞬で切り落とされ、床に落ちた。一拍おいて、胴体から血が噴き出し、頭を失った胴体は倒れこむ。

床が鮮血で染められる。冒険者やギルマスが 苦虫を噛み潰したような表情をしている。実力がある冒険者は、俺の剣の技量が分かったようだな。俺はクリミナルを引き継いで、正真正銘の神レベルの使い手だ。嬉しくないけど。

魔剣を鞘に戻し、屑どもの首を手に取る。データシート改変で、屑どもの頭を爆発物にする。俺以外が触ったり、動かすと爆発するようにした。衝撃を与えても爆発する。影響範囲は半径1mで、威力はわざと弱めにした。地雷と同じように、殺傷力をわざと低くして、肉体欠損が出るように設定。

この世界の罪人の処罰は、奴隷落ちか死罪だ。貴族などは爵位取り上げ・財産没収の上、追放とかもあるけど。後は、軽めの罰だと罰金刑もあるが、本人に払えない金額を請求するので、結局奴隷落ちだ。


紙 「文句は無えよな?こいつはプレゼントするぜ。触ったり動かすと爆発するから気をつけろよ。衝撃を与えても爆発するからな。」


そう言って、窓口と出入口近くのテーブルにさらし首の様に置く。


紙 「さて、冒険者の管理義務まで無いとは言わないよな?ギルドマスターとやら。責任者として、どう落とし前付けるんだ?ん?そうそう、騎士団・魔導士団の責任者よ、魔族対応の警戒態勢は、まだ解除していないよなぁ?ここのギルマスは義務を放棄しているが、問題無いのか?」


今回の魔族は対応済みだが、俺はこの世界の連中の味方では無いので、警戒態勢は解かれていない。このことは、ギルドに来る前に確認済みだ。それに警戒態勢を解くのは、安全確認後になるのは当たり前だ。スグに解かれるわけが無い。あ、冒険者ギルドの緊急事態対応義務は国同士の戦争には無いが、魔物や盗賊・野盗、それに魔族に関するモノにはある。対応時にはギルドに与えられた優遇措置以外に、功績による報奨金も出る。

ゴンちゃんたちを従魔にしたが、巣に帰ったワイバーン達を何時でも呼び出し可能なのを知られているのも警戒態勢を解かない理由の一つだ。俺の分身が一緒だし。分身経由で状況が分かるけど、魔物の巣だから何にもない。上空から見た感じだと山脈地帯にあるデカい崖の切れ目の様な洞窟が巣だ。地球だと森林限界で植物が無かったりする様な高さのデカい山だが、頂上付近まで森の様になっている。万年雪の様なものも見えたけどね。やはり地球とは違った環境だ。山の中腹にある巣の崖周辺は岩肌剥き出しになっていて、入口の大きさはそれ程でもないが、中は広くなってる。ドラゴンと違って、宝を集める習性は無いので、木とか草で作った寝床しかない。ワイバーンどもは魔族じゃなくなったから、星が転移で戻せないのと地脈の確認で分身が巣に送り届けたんだ。地脈の流れは川みたいな感じで変化する場合もあるし。好戦的な魔物が魔族になると、星の意思を無視して俺に攻撃する可能性もあるから、地脈の確認は必要なんだよ。ワイバーンの巣とは言え、迷い込んでくる魔物がいないわけじゃないからな。洞窟ってのは、出入口がいくつもあるからね。それに、瘴気が強すぎると従魔にしたワイバーンが死ぬかもしれないから、その確認もある。そうそう、魔族核(精霊核)を持っていれば、地脈を使っての移動が出来るんだよ。生体(本来の魔族や精霊は生物では無いが。)から取り出すと崩れていくモノだけどね。ゆっくり崩れていくモノだから、運が良ければ入手できるモノ(入手出来ても精霊核だ。産まれた時の魔石の魔力が少ないと精霊はしっかりした核を残して消滅する。生まれてすぐに消滅するから、魔力溜まりの近くのみで入手可能だ。滅多に入手できないけどね。強力な魔素や魔力に満ちた魔力溜まりに、普通は人や亜人が近づけないから。精霊核は土地に活力を与える効果もあり、精霊は魔素や魔力を空間に供給するのと、核を消費して土地を活性化している。このことは人や亜人は知らないけど。)ではあるが、取り扱い注意の物体だ。基本的には人が利用できるモノではない。利用技術を持っているのは、特殊な生体科学を持つ亜人のみだ。魔物などに移植する技術を持っている。精霊が魔物や生物を取り込んで受肉して変化した妖精(一定割合で生まれる。蟲や小さい魔物はどこにでもいるから、精霊が産まれる時に取り込まれることが多い。魔族は星が地脈を調整するので、一定割合で生まれるわけでは無い。)を捕まえ、解剖して研究したんだ。特殊な移動用生物は研究成果だ。限定的な地脈を利用した転移に近い、高速移動が可能になっている。星が使う転移は、地脈を使った移動なので正確には転移じゃない。地脈を利用した超高速移動だ。転移できる場所も決まっているし。特殊な移動用生物が地脈を利用するには、地脈ゲートと言われる場所を使用する必要がある。使用するには魔石が結構な量必要だ。運べる人数や荷物もそれ程多くない。地脈ゲートも数える程度(各国で4~5か所程度)だ。地脈ゲートは元々精霊が生まれる魔力溜まりだった場所が、環境が変化して魔力溜まりじゃなくなった場所だ。地脈が地表に近い場所にあるので、特殊な移動用生物が地脈を利用することが出来る。星が転移を使う場合は、星自身が地脈の力を強くして使用するので、地脈の流れがある場所なら地表に近いかどうかは関係ない。転移対象を地脈の流れがある場所の近くまで誘導するだけだ。近くまで来たら、転移対象を地脈に引きずり込んで移動する。この辺は、地球に無い(ことわり)なので、説明が難しいけど、そういう移動手段があると思ってくれればいい。俺が使う転移魔法も本来は制限があるモノだ。術者が行ったことがある場所以外は、本来転移できない。俺は”在るモノ”でもあるので、制限が無くなっている。この世界は転移魔法自体を残滓として取り込んでいるが、魔法は本来、星が使えるような(ことわり)では無い。色々制限があるモノなんだ。(俺も良く分かってないから。作者が適当な設定を作ったんだよ。…痛い!?なんだ?作者のお仕置きか?これ以上話すのは危険なようだ。)

おっと、話がそれたな。

王都出入口の門でゴンちゃんとヴァンちゃんを王都に入れるなって言ってきたのは、これが理由なんだよ。俺一人でも脅威なのに、天災と同じような魔物を引き連れてたら、他国や王族などへ申し開きが出来ないし、俺一人なら懐柔や説得も何とかできるのではないかと考えているようだ。俺の気が変わる可能性に期待しているんだろう。

何とかできるわけないのにさ。仕事は責任もってやるのが典型的日本人だぞ。無責任な奴もいるけど。

俺は次元管理局の仕事中なんでね。ちゃんとやらないと何されるか分からんし、気は変わらんよ。


魔導士責 「勇者様の申される通り、警戒態勢は解かれていません。冒険者ギルドは義務を放棄しています。契約の一方的破棄ですので、大問題です。責任者は断罪処分相当になります。冒険者ギルドも処罰対象です。ギルドマスターの勇者様への発言は、王族への不敬罪相当になります。勇者様は王族以上の権限を有している形ですので。」


規則などの決まりごとに関しては、宮廷魔導士の方が騎士より詳しい。

俺の立場を説明されて、ギルマス以下全員が真っ青だ。騒がしかった食堂も静まり返っている。逃げ出したいだろうに、不思議と逃げ出す奴はいない。念話で逃げたら始末しろと、ゴンちゃんとヴァンちゃんに指示したので問題は無い。誰か逃げないかな。

城の連中以外は、俺が王族を支配下に置いているのを知らないからな、下等な異世界人扱いだったんだろう。口には出していなかったが、冒険者ギルドのギルドマスター職は、家督を継がなかった貴族の三男坊とかがなっていたりするし。

この辺は領主対応や王族対応もあるので、貴族出身者の方が都合が良かったりするようだ。平民出身のギルマスがいるところは、サブマスターが貴族出身者がほとんどだな。ここのギルマスは貴族出身だ。神域で情報は取得済みなんだよ。

平民の冒険者は、何が起きているのか理解が追い付いていないようだ。

床に死体が結構転がっているし、無理も無いか。


紙 「聞いたか?ギルマスとやら。お前は死罪相当だぞ。不服そうだな。文句あるのか?緊急事態には、3級以上の冒険者が強制対応だったか。どう処理してやろうか?希望はあるかよ。」


ギルマスは跪き、命乞いをしてきやがった。

この世界の冒険者の格付けは、特級から6級までの7階級になっている。特級は英雄クラスなので現状はいない。実質6階級だ。3級は実力があると認められるレベルだ。冒険者は実力主義なので亜人もいるが、ここのギルドにはいないようだな。


ギルマス 「勇者様に無礼を働き、誠に申し訳ありません。どうか命だけはお許しください。ギルドの財産は、勇者様が自由にして構いません。お願いいたします!勇者様が許せないと申されるならば、処刑は私だけでお許しを!冒険者に罪はありません!私が緊急クエストを出さなかったのが悪いのです。」


無様だ。

冒険者の手前、責任者のポーズをしているのがバレバレだ。スゲー嫌そうな表情で言ってる。少しは演技しろよ!それでも貴族出身かよ。狐と狸の化かしあいが日常茶飯事の権力者らしくねーな。普通なら、あきれ返って見逃すのがお約束だろうが(そうしないとこっちが悪者になるから)、残念だったな。俺は悪名を広めるのも仕事なんだよ。


処分を言い渡そうとしたら、冒険者がギルドに入って来た。

勢いよく入って来たもんだから、出入口近くのテーブルに置いていた、爆弾さらし首が床に落ちて派手に爆発した。

受付窓口は出入口から離れているので、俺やゴンちゃんとヴァンちゃん、案内役と騎士団・魔導士団の責任者には影響無いが、入って来た奴と出入口付近にいた連中が爆発に巻き込まれ手を失う者、足を失う者、顔や体にダメージを負うものが発生した。

悲鳴とうめき声がギルドに響き渡る。


冒険者A 「本当に爆発しやがった!?」


冒険者B 「嘘だろう!?」


冒険者C 「魔力を感じなかったのに!!」


冒険者D 「付与魔法や呪いじゃないのか!?」


冒険者E 「あのおっさんが召喚勇者って言うのは、本当みたいだな!?」


俺がおっさんだから、召喚勇者だというのを疑っていたようだな。召喚勇者が特殊能力を持っているのは広く知られているから、魔法や呪いで爆発したんじゃないと分かって、勇者と認識したようだな。呪いや付与魔法を儀式無しで使用できるのも、特殊能力ではあるんだけど。魔導士らしい奴が言っているように、呪いや付与魔法で爆弾化しなかったのは、理由がある。魔法で爆弾化した場合、儀式魔法で結界を張られると意味が無いからだ。爆発はするが、防御されてしまう。魔法の一種だからさ。冒険者ギルドは魔物の素材を入手しやすい立場だから、魔石等を利用して結界を張られると意味が無い。魔法で作った場合の爆弾さらし首程度の爆発から身を守ることが可能な結界魔法は、実用化されている。城や城壁にある結界魔道具とかで使用している奴だ。使用できる者は少ないのと、魔力が結構必要だ。個人が使う儀式魔法では無い結界魔法(障壁魔法とも言う。)も存在するが、魔導書が発見されていないのと開発されていないので、使えるモノはいない。元々高度な魔法だし、必要な魔力も大きいから。城の宝物庫の奴は特殊な奴で、各国の機密になっている魔導書の特殊な結界だしね。例外は、俺や歴代召喚勇者だ。俺も使えるけど、あまり意味はない。攻撃とか元々無効化するし。今回は、爆発などの影響(ダメージになるとかの悪影響)が俺や案内役や従魔・騎士団・魔導士団の責任者に無いように、データシート改変で効果を与えていたんだ。爆発時のエネルギーを利用して、俺たちの周りだけ斥力を発生させ、影響を打ち消すような感じでね。俺の場合は、個人的に元々対策してあるから、目の前で爆発してもノーダメージだったけど。

俺も考えて能力は使っているんだ。案内役どもに被害があると、まだ支障があるからね(ウフーンな行為をしないと根神さんから苦情来るし。)。安全対策はしている。威力を弱くしたから、回復魔法で回復することも可能だし、データシート改変で対応も出来る。特殊な効果を与えるには、データシート改変で設定する方が良い。細かい設定も可能だから。


紙 「注意したはずだが、冒険者ってのは馬鹿なのか?勇者だって嘘つく必要がどこにあるんだよ?ここの隣に訓練用の広場があったな?ギルドマスターも戦闘経験者だろう?俺と戦って勝てたら、生かしてやろう。ここのギルドの財産は、俺に所有権を移す。正式な書類を作成しろ。各国の冒険者ギルドの利用権も寄越せ。俺はどこでも手数料無しで利用可能にしろ。これも書面にして寄越せ。冒険者ギルドの冒険者証は身分証にもなるんだったな?一切の義務や制約が無い冒険者証を発行しろ。緊急対応の義務を果たさなかった冒険者は奴隷落ちだ。嘘ついても無駄だぞ。呪いを掛けてやる。義務を果たさなかった奴の額には、”罰”と痣が浮かび上がるからな。」


対象指定で呪いを掛けることも可能なので、冒険者に呪いを掛ける。この世界の共通語で”罰”と痣が浮かび上がる。

話がそれるが、この世界では各国で通貨が異なっている。硬貨しか無いので、純度と大きさで交換レートはほとんど変化しない。現在は商人ギルドの関係で、各国でほぼ同価値の貨幣を使用している形だな。発行した国の意匠にデザインされてはいるがね。

地球では、キャッシュレスが進んだ決済方法と考えられているが、実はそうでもない。信用通貨の紙幣は紙だが、硬貨は金属だ。硬貨は金属資源として緊急時に利用できる戦略物資でもあるからね。この辺のことを俺は学校で聞いたことは無いが、教えるべきと思う。資源確保は必要なことだから。

この世界では鉱山開発が難しいから、余計に硬貨の価値はあると言える。

為替(通貨の為替では無くて、郵便為替の様な奴ね。)のような仕組みもあるが、商業ギルドや冒険者ギルドで手数料を払って各国通貨と交換することになる。ギルドが銀行業務も行っているような物だ。後は、冒険者証や商業ギルド証は魔道具になっていて、電子マネーのような機能がある。ギルドメンバーは手数料の優遇があったりする。魔力は指紋の様に個人でパターンが異なっているので、魔力認証と言う仕組みがあって、冒険者証や商業ギルド証は他人には使用できない。

貧民街などには、もぐりの両替商もいるけどね。


紙 「騎士団の責任者よ。義務を放棄した連中の処理は任せる。魔導士団の責任者は、書類を作らせて持ってこい。戦闘が終わったら、ギルマスの執務室で確認する。ギルドマスターは戦闘準備をして広場に来い。武器使用も認めてやるよ、魔法もな。好きな武装を使え。ハンデをくれてやる。俺は武器(・・)は使わない。」


案内役とゴンちゃんとヴァンちゃんを引き連れて広場に移動した。騎士団の責任者は、街の騎士団詰所に向かった。

少し遅れて、ギルマスが武装してやって来た。

結構観客が集まっているな。薄暗いので、ゴンちゃんとヴァンちゃんに魔法で”照明”を作らせる。”照明”の魔法は一般的な魔法だが、通常は自分の周りだけ明るくなるだけだ。俺や魔法適性の高い魔物や種族は、スポーツ施設の屋外ナイター照明設備のような明るさを広範囲で確保するのも可能だ。

冒険者が見ているから、ギルマスも逃げ出すようなことはしない。逃げたら呪いが発動するようにもしているしね。


紙 「準備はいいか?俺は暗くても問題無いが、サービスだ。騎士見習いよ、審判役をしろ!準備ができたら、戦闘開始だ。」


ギルドマスターは、剣とアレは槍か?槍に斧が付いているような奴を持っている。西洋のハルバードって言うよりも中国の大斧(だいふ)ってのに似ているな。面倒なので以下大斧(だいふ)とする。

騎士見習いの合図で戦闘開始とともに、大斧(だいふ)で突いてきたが、片手で掴んで引っ張った。

ギルマスはバランスを崩して転びそうになったが、踏ん張ったので、大斧(だいふ)を持ったまましゃがんでみた。

大斧(だいふ)を離さなかったギルマスが引きずられて、ひっくり返る。ギルマスが大斧(だいふ)を手放したので、蹴飛ばして使えなくする。

蹴飛ばして手が届かない位置に移動するつもりが、手で持つ部分がポッキリ折れて吹っ飛んだ。適当に蹴ったのに、簡単に折れるな。安全靴を履いているせいもあるか。(勤め人の時使っていたものだ。この世界対応をするのに、普通の靴より良いと思ってね。使い込んでいるので、ちょっと臭いけど。)

力の加減を考えないといかんな。これは収穫だ。

そんな事を考えていると、今度は剣で切りかかってくる。

めんどくさくなってきたので、魔法で体を氷漬けにする。


紙 「もしかして、魔法使えないと思ったのか?使えるに決まっているだろう。お前と違って無詠唱で使えるぞ。武器は使わないと言ったが、魔法を使わないとは言ってないぞ。」


ギルマスも貴族出身だから魔法は使えるようだが、詠唱が必要だ。武器を使っていたのは、そのせいだ。冒険者ギルドには、魔法発動媒体である魔導士用の杖とかもあるはずだが、使わなかったのは、詠唱中に俺の攻撃を受けると判断したんだろう。どっちにしろ無駄だけど。おっさんだから舐められるけど、これでも神の同類だからね。


ギルマス 「勇者様、どうかお許しを!死にたくない!」


体を動けなくしただけで、首から上は自由で会話可能な為、見苦しく命乞いを始めた。


紙 「馬鹿か?見逃したところで、俺に益は無いだろう。自身の無責任な行いを後悔しながら死ね!」


”腐蝕”の魔法を使い、ゆっくりと腐らせていく。ギルマスの断末魔の叫びが辺りに響き渡った。

観客が恐怖で顔をゆがめている。”腐食”の魔法は一部の魔物が通常使用できるだけで、人や亜人は使えない。使用すると自身も影響を受け”腐食”する場合があるからだ。強力な魔法耐性と魔力を持っている場合は効果を打ち消すことが出来るけどね。強力な回復魔法を持っていれば治すことも可能だ。一種の状態異常だからね。普通は回復するより早く、腐食が進む。

15分ほどかけて、腐り落ちたギルマスだった物体を見届けて冒険者ギルドの建物に戻る。兵士どもが義務を放棄した冒険者を拘束していたが、無視してギルドマスターの執務室へ行く。

実力のある連中を拘束しているが、逆らえば呪いで死ぬと伝えていたので、冒険者どもは黙って従っていた。爆弾さらし首で負傷した連中と死体は見当たらなかったな。片付けたんだろう。

ギルドマスターの執務室で、魔導士団の責任者とサブマスターから書類などを受け取り、問題無い事を確認後、金庫の資金・食料その他を没収した。俺は食わなくても良いけど、ゴンちゃんたちの餌は必要だし。自分で獲ってこさせても良いけど。

ギルドの財産は俺に所有権が移ったので、爆弾さらし首も処分した。広場で放り投げて爆発させたよ。


紙 「城へ戻る。明日は謁見の間で屑王以下王族と軍、騎士団・魔導士団の責任を追求するから、関係者を集めておけ!」


転移で城に戻った。ゴンちゃんとヴァンちゃん、案内役どもも一緒にね。騎士団・魔導士団の責任者は自分達で戻れるだろうから、残してきた。仕事も発生しているからね。

予定外に魔族対応をしてしまったが、得るモノもあったので良しとしよう。

恥ずかしい”俺TUEEEE!”展開を行ったのは不本意だけど、やってしまったのは仕方がない。

まあ、非情な人間だって噂も広がるだろうから、様子見だ。

他国の環境整備や貴族どもの対応もしないとな。

残業は嫌いなんだがなぁ。



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