第二十四話 魔族とは
出入口に人が集まって来たので、データシート改変で設定してから、魔族を取り出した。(この出入口を使わざるを得ない街道もあるから。門番や案内役どもの説明で、屑どもの串刺しにビビっているな。良い感じだ。勿論、魔族のデータは複製してある。あ、読者さん、データ化したものを取り出す処理を詳しく説明するのも何なので、取り出しとしますよ。以前書いた”還元”を使う処理なので。)
色々設定したが、問題あるようなら診断書で対応するとしよう。
紙 「さっきは随分と偉そうなことを言ってくれたな。お前らの攻撃が通用すると思ったのか?不意打ちで卑怯とか言うなよ。お前らが俺に、宣戦布告行為をした後なんだからな。」
魔族は発言可能で、行動不能状態だ。
”特殊能力:紙”を使ったとは言え、手加減しているのは理解しているようだな。メソポ王国全体に一瞬で呪いを掛けたのは、星もわかっているからだろう。
魔族は、星と繋がっているからな。データシートに詳細情報が出ないのは、星の端末化しているせいもある。無理矢理参照すれば表示できるんだが、本体の星自体に影響が出て、どうなるか分からんから詳細情報を参照できないんだよ。次元管理局のシステムで制限が掛かるんだ。正式に所属すれば問題無いそうだけど、俺は”神(仮)”みたいな状態だからさ。正式に次元管理局に所属するとアカシックレコード的システムの機能を制限無く使えるようになるから。まあ、存在力の大きさで閲覧できる範囲は決まるらしいけど、地上のことを参照する分には問題無いそうだ。俺も次元管理局に仮所属みたいになってはいるんだけどね。
詳細情報を参照できないけど、魔族と普通に戦闘したら一瞬で終わるし、問題は無い。
魔族A 「…殺せ。強きモノよ。」
おいおい、もうちょっと悔しがるとか、一瞬で拘束されたことに何か感想は無いのか?その回答は無いだろう。自分達が何もできなかったことにコメントしろよ!
お約束の女騎士の『くっ。殺せ!』じゃないんだから、何かあるだろう?俺は人型の豚の化け物じゃないんだし。
…もういいよ。話進まないから、俺がリードする。
紙 「お前らの生殺与奪権は俺にある。命令に従ってもらうぞ。お前らには能力を与えた。ここは、周りの目があるからな。与えた能力を使え!」
魔族A 「・・・・。」
だんまりか。
他の魔族が話さないが、データシートの情報だと魔族Aの正体は竜のようだ。亜竜よりも強力な種になるから、代表みたいだな。
紙 「星の意思、精霊、瘴気、強化。お前らが存在する理由を知られて良いのか?」
魔族A 「…何故、異世界人の召喚勇者が知っている?」
紙 『ここからは、念話で会話するぞ。お前らに与えた能力は、俺と念話できるようにしたものだ。』
魔族A 『分かった。従うしかないようだな。…異世界人の持つ特殊能力か?』
紙 『質問は許可していない。俺のことを詮索するな。俺は、お前ら魔族以上にこの世界の理を知っている。この星のことも星自体が知っている以上に知っている。こう言えば、理解できるか?』
魔族A 『…なるほど。では確認させて貰おう。我ら魔族の存在理由は?』
紙 『さっきは星の意思と言ったが、この星にあるのは本能だ。この星は巨大な生命体でもある。普通の生物とは、かなり異なっているがな。魔族は星の本能により生み出された存在だ。星と繋がっていて、強力な生命体を生み出す為の端末と言っていい。精霊の一種でもある。ただ、精霊と違い自然現象の為の存在ではない。精霊同様地脈の力が強い場所で発生するが、瘴気を取り込んで生まれている。その為、精霊と同じで精霊核、魔石(精霊石)を持っている。精霊と違い属性を持ったモノでは無く、瘴気を帯びたモノで魔族核、魔石(魔族石)と呼ばれるべきものだ。瘴気は生物にとって毒や害となるモノだが、適量であれば薬と同じで生命体を強化する働きがある。戦闘による強い因子の選択、瘴気による生命体の強化や進化の為の存在だ。暗黒大陸はこの星の瘴気が集まるようになっている為、強力な生命体が多い。魔族が人や亜人を襲うのは、知的生命体であり、弱い生物の為、この星の他の強力な生物よりも強化すべき対象だからだ。魔物は魔族が使役するので強化が図れる。今回魔物はいないがな。お前らは、精霊と言うより妖精の一種だ。受肉しているからな。今回魔物を使役しないのも、お前らの正体が、強力な生物である竜種や亜竜種だからだろう?竜種一匹で人の国など簡単に滅ぶからな。今は人型だが、変化術を使って元の魔物の姿になれるだろう?瘴気を周囲に拡散するのに問題があるから、元の魔物の姿には基本的になれないがな。魔物の姿になると拡散する瘴気のコントロールが効かなくなり、瘴気だけで周囲の生物が死ぬからな。受肉した魔族が討伐された時に、魔物の姿に戻った場合は問題無いが。お前らが魔族化したのは、巣が”魔力溜まり”にでもなったんだろう?星が魔族を産むために地脈の流れを変えたりもするからな。詳しいことは調べようと思えばすぐ分かるが、その情報も必要か?』
魔族A 『…ふむ。我らの存在理由をそこまで正確に知っているとはな。ならば、我らが汝、いや、貴殿を排除しようとした理由は分かるのではないか?』
紙 『当然分かる。異世界人である俺の存在は、この世界の生命体を強化する目的に反するからだ。それは分かるが、召喚と言う人攫いにあった上に、黙って殺される理由は無いからな。お前らが、俺に宣戦布告行為をした時点で、星を破壊しても良かったんだぞ?俺はそれが可能だし、お前らと違って、宇宙空間でも死ぬことは無いからな。自分の世界にも帰れるし。』
魔族A 『分からないのはそこだ。自分の世界に戻れるのに、何故この世界に戻った?貴殿を召喚した勇者召喚魔法陣は、理由は不明だが既に消滅している。自分の世界に戻ってくれれば、メソポ王国は責任を持って滅ぼそう。勇者召喚が行われなかった前回の我らの攻撃周期でも、メソポ王国を滅ぼそうとしたのだが、何故か一定以上の攻撃が出来なかった。しかし、今回は滅ぼすことを誓おう。』
クリミナルが介入していたからな。だが、こいつらに説明するわけにはいかない。
次元管理局関係の情報は、星も知ることが出来ない。俺のデータシートは、平行次元世界の狭間を移動時に空間から影響を受けて得たモノだが、どの世界の理にも捉われないので、勇者召喚魔法陣の情報を確認・改変が出来たそう。クリミナルが変質したモノだったのもあるけど。(力を失う前だったので、クリミナルもいじれたんだって。この世界の管理権限が制限されていなかった時だし。あ、クリミナルが名を失ったと言うのは、神としての名”神名”と言われるモノだ。名を失って、管理している世界に閉じ込められると、その世界と同化する関係で、存在自体が小さくなっていく為、力を徐々に失っていくんだってさ。俺が引き継いだのは、力以外に力の器のようなモノもあるので、馴染むとクリミナルの本来の存在力の大きさなどが加算される。まあ、一部制限があるモノもあるけど、次元管理局の所属になれば解放されるそうだ。)神域にある状態だと俺の存在力よりもずっと強力な力で制限されているので、何もできなかったそうだ。その状態なら俺も召喚されていないし。
他にもシステム的にかなり違うモノだったと言うのも理由みたいなんだよね。電気設備の動作確認テストで、ブレーカーのテストボタンで動作するか試験したりするけど、地上にあった勇者召喚魔法陣は、動作確認テスト用みたいなシステムをいじった物らしい。本来のシステムじゃ無いから、クリミナルがいじっても次元管理局が分からなかったそうだ。滅多に使用しないシステムだから、テストしてから地上に適用する感じとか言ってたかな?何かOSの修正パッチみたいだよね。それなりの能力をクリミナルは持っていたそうで、色々いじれたそうだ。テスト用とは言え、本システムと機能や性能などは同じだって言ってたから、勇者召喚魔法陣をデータ化して、特殊能力として取り込んだ俺はかなり特殊な存在になったそうだ。俺は元々特殊だったらしいけどさ。神代さん曰く、『変態がド変態にランクアップした感じ!』とか失礼な例えで説明されたけど。この辺の詳しいことは、次元管理局に正式に所属しないと話せないそう。
それと亜人を虐殺対象から外していたのは、戦闘奴隷などにされた連中の生き残りは強化された知的生命体になるからだ。俺が召喚されたことに関して無罪では無いので、助けてやることは無いけど。差別されていて、罪を背負っているともいえるし。この辺は次元管理局的な判断だ。まあ、必要があれば殺すけどね。
話がそれたな。戻そう。
紙 『俺には俺の都合がある。お前らに説明する必要は無い。お前らがメソポ王国を滅ぼすことを誓っても信用は出来ない。勇者召喚魔法陣が消滅していても、復活しないとは言えない。魔族に勇者召喚魔法陣が復活しないようにする対策が出来るのか?アレは星も手出しできなかったモノだぞ。俺が自分の世界に戻るのは、お前ら魔族の攻撃を見届けて、二度と勇者召喚が行われないように対策してからだ。安心しろ。俺は魔族と戦うつもりは無い。だが、俺に攻撃するようなら、容赦はしない。俺はメソポ王国を滅ぼし、召喚勇者がいなかった場合の人口まで、この世界の知的生命体を最低限間引く。その目的のために協力してもらうぞ。俺の目的は、魔族の存在理由にも合致するだろう?』
魔族A 『ふむ。確かに貴殿と協力関係を結ぶ方が良いだろう。しかし、我ら魔族は、本能で生物強化を行おうとしてしまう。貴殿と行動するのは無理だ。我らが倒されれば、他の魔族が発生するだろう。貴殿の目的を聞いたから、次からは貴殿に攻撃は行わない。我らを殺してくれ。』
紙 『ふざけるな!俺に喧嘩を売って、予定を狂わせたんだ。その分の仕事はして貰うぞ。安心しろ。お前らは、元の魔物に戻る。そうしたら、拷問だ!この世界の人族や亜人に、俺が恐怖の対象と知らしめる為にな。』
魔族A 『そのようなことは不可能だ!魔族化してしまったら、元には戻れないはず。核、魔石のどちらかを破壊・取り除くかをすれば、すぐに消えてしまうのが、我ら魔族の特性だ!もし、貴殿の申すことが可能ならば、我らは貴殿に従魔として忠誠を誓い、従属しようでは無いか!』
”診断書”を使って、核と魔石を分離する。当然、魔物に戻った連中は消滅しないように設定済みだ。
核と魔石は、分離した時に回収済み。紙変換して回収したので、周りの連中は俺が回収したのを分かっていない。
魔族が巨大な竜と亜竜に変身したので、驚いているな。
人だけじゃなく、竜と亜竜もね。まあ、竜と亜竜は消滅しないからだけど。
紙 『消滅したかよ?元の魔物に戻っても魔族の時の記憶は残っているだろう?力や能力なんかも引き継いでいるはずだ。従属するんだろうな?因みに、俺はお前らを強制的に隷属することも可能だぞ。どうするよ?回復魔法を掛けたから体調などは問題無い筈だ。魔力もな。』
魔族A 『まさか元の魔物に戻れるとは。勿論従属する。”但し、いつ従属するとは言っていない。”などとごまかしはせん。ごまかしても意味が無いからな。…ただ、我らに責任を取らせるために拷問するなら、我らと戦って力を見せて欲しい。』
そう来たか。地上の連中対策で、多少力を見せるために戦うつもりだったが、手間が省けたな。
まあ、知能が高いから、俺の行動を読んだのかもしれないが…。
それに魔物は本能で、魔族の魔石から漏れる瘴気の生物強化作用に引き寄せられるから、それも影響しているんだろう。俺のネームホルダーの魔石から漏れる瘴気に惹かれるせいだ。実際に強化されるが、こいつらの様に最上位種だと魔力が極僅かにアップする程度だがな。但し、ネームホルダーの魔石は、人族や亜人を強化しないようにデータシート改変で対応済みだ。強化してやる理由も無いし。
さっき回収したこいつらの魔石は、データ化しているし、使い道は後で考えるとする。
紙 『良いだろう。戦ってやる。安心しろ。お前らは、俺の攻撃で瀕死状態になりはするが、死にはしない。それに持続型の回復魔法を掛けてやる。ただし、この回復魔法の効果は抜群だが、回復時に激痛を伴うからな。(激痛を伴わないのも当然あるけど、今回は使用しない。)詫びを入れるなら、早い方が良いぞ!』
魔族A 『わかった。ここからは念話では無く、通常の会話の方が良かろう。我らの目的では、周りに聞かせる方が良い。』
紙 『その通りだ。お前らの行動不能を解く。いい台詞を期待しているぞ!』
すでに魔族は魔物に戻っているが、従属した関係で、俺の目的の為の行動をとっているようだ。力の差を理解しているからだろう。魔物になったこいつらのデータも保存済みだ。お面にデータシートを確認してもらったが、既に絶対服従の従属状態だ。この世界の理を無効化可能なのを証明したからだろう。
ここから更に心を折る。データシート改変で対応もするが、主従関係を理解させ、自ら俺の為に働くようにする必要があるから。例えるなら、俺に心の底から心酔し、献身するようになる感じだな。魔物は、群れを作る動物と同じような本能があるから、圧倒的な力を示して従属させれば、恐怖と憧れで心酔するようになる。(力の強い個体がボスになるアレだ。群れを作らない魔物もこの本能は持っている。本能と言うより性質か。まあ、相手が弱るとその地位を奪おうともするけど、俺の場合はねぇ。不本意だが、”在るモノ”でもあるしさ。)
行動不能を解いた竜と亜竜どもは、俺から距離を取った。あ、説明していなかったが、大型で上位の竜種は人語を話すことが可能だ。知能も高いので、魔法も本能的に使用できる。今回魔族から元に戻したのは、大型の竜種でも最上位種だな。小型の竜種は、発声器官の関係で人語は理解するが、会話は出来ない。竜種でも下位種になるほど力や能力・知能が下がる。それでも人より知能などは高い。寿命も長いし。亜竜は、ワイバーンと呼ばれるやつの最上位種だな。これも大型だ。亜竜は、竜種と違って魔法が使えない。竜種より知能が低い為だ。その代わり、ワイバーンは尾から毒を噴射したり、注入する攻撃が出来る。尾自体も魔力を通すと槍のような感じで、刺したり切ったりの攻撃が可能だ。(尾を魔力で槍のようにする攻撃は、竜種でも似たようなことが出来る種もいる。)更に、色々な効果がある毒を体内で生成することが出来る。酸などの化学物質も生成可能だ。生成できる化学物質は多くは無いようだけどね。基本的に毒に関連する化学物質らしい。解毒用の化学物質とか。生成できる毒の種類は、上位種になるほど増える。ファンタジー世界の生物らしく、石化毒などもあるらしい。これは竜種に無い能力だ。(毒や酸を生成できる竜種はいるが、攻撃としては毒爪や毒のブレスとかになる。竜種は解毒物質を生成できない。その代わりに、回復魔法や解毒魔法と言った状態異常に対応する魔法が本能的に使用できる。)飛行能力も同程度の大きさの竜種よりも小回りが利く。下位種になるほど力や能力・知能が下がるのは、亜竜種でも同じだ。ただ、魔族から魔物に戻したこいつらは、知能も高くなっていて、魔法も使える。人語も話せるし。あ、竜種との違いが他にもあった。竜種は番いと巣立ち前の子以外と群れを作ることは無く、基本的に単独行動だが、亜竜は群れを作って行動する。この世界において、竜も亜竜も強力な魔物で、ゲームなどで言うボスキャラ的存在だ。
話がずれたな。
さて、戦闘・拷問ショーの始まりだ。
人や亜人に認識できる程度で、圧倒しないとね。
従魔ども拷問時には、きちんと”いい悲鳴”で鳴けよ!
残虐性のアピールタイムなんだからよ。
全く、めんどくさい仕事だな。
早く解放されたいぜ。
記録も撮っておかないとな。記録用魔法があったから、それを使うとしよう。地球のバーチャルリアリティーよりも正確で、臭いさえも感じることが出来る高性能な記録がとれるから。
高度な魔法だが、存在自体は魔導書に書かれている。
記録用魔法の魔導書は存在しないから、この世界で使える者はいないけどね。
…いや、魔法じゃないがビデオのような記録方法を地上の連中の一部は持っていたな。各国の諜報機関が召し抱えていたはずだ。錬金術で作る記録用の魔法生物があったはず。魔法生物が見聞きしたものを記録として再生できる奴。亜人国の連中も同じ能力を持った、記録用で蟲をいじった生物を持っていたな。両方ともハエ程度の大きさで機密になる存在だが、どうやら近づいている。説明が省けて丁度いいが、巻き込まれるなよ。遠隔地への情報転送機能は付いてなかったはずだから。
わざわざ俺は守らんぞ。
よし、準備完了だ。
従魔どもも準備出来たし、魔法生物と記録用の蟲も来たな。
出入口のあたりに隠れているなら、出てくるなよ。目撃者が必要だから、その周辺だけは結界を張ってやる。(串刺し連中のあたりまで結界を張った。)結界は攻撃を通さないが、出入りは可能だ。
それでは、派手に戦闘開始といこう。




