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第二十二話 魔導士団詰所にて

貴賓室へ戻ってきたが、王女の二人も付いてきやがった。

まあ、案内の関係ではあるのだろうが…。


紙 「アクチノとトレモよ、午後は宮廷魔導士の所へ行く予定だ。王族に関係する場所でもないだろう?自室に戻っていいぞ。この世界の魔法体系は国によって違うから、他国に対して魔導書を引き渡したりはしていないだろう?解読できている魔導書に関しては、写本が教科書として作られているんだし。錬金術関連も同じだろう?解析できている魔道具に関しては登録されて、利用料を支払えば資料の閲覧と利用が可能だったな。魔導士見習いがいるから、案内は問題無いし。」


ダンジョンや遺跡から発見される魔導書等は、各国で魔法の体系が異なっている。これは、この世界の基になった消滅した世界の残滓が、各国で異なる体系として発見されるからだ。錬金術と魔道具関係もね。錬金術や魔道具は、基礎理論など共通化されている部分が多くて、汎用性はあるけどね。規格は決まっているが、各メーカーで細かい設計やデザインが違う程度だと思ってくれれば良い。例えば、通信用魔道具は、各国で発見されたもので相互通信可能だ。


読者の皆さんに説明しておこう。

世界が誕生し、生命体が最初に発生した惑星は、多様性を持つような形で成長進化するように、惑星自体が一つの大きな生命体として本能と意思を持ち、惑星の寿命まで強力な生命を生み出す様になっているそうだ。惑星が寿命を迎えた時、その世界に生命因子が拡散されるように、星が爆発する形がほとんどだって。

神域でこのことを聞いて、何となく神代さん達が、どういう形の知的生命体だったのかわかる気がしたよ。それは良いとして、現在俺がいるこの星も同様の性質を持っている。ここまで説明すれば読者さんも分かると思う。そう、今いる惑星はこの世界の基になった消滅したそれぞれの世界の残滓で、多様性を国と言う区分けで与えている。まあ、風土など環境も影響してはいるのだが…。生息する生物や魔物などは特にね。遺跡が増えると言ったのは、星が消滅した世界の残滓から生み出すからだ。増えはするが、生命体の状況で生み出すのを調整している。あ、魔導書等発見される資料などは、内容がこの世界に合わせて変化しているので、特に問題は無いよ。ちゃんと使えるし、魔道具などの素材もこの世界に存在する物になっている。

それと魔法自体は適性があればどの体系でも学べば使えるが、通常は自国のモノを学ぶので、基本的に他国の魔導書を戦利品として持って行くことは無い。他国の魔法体系の魔導書の写本も入手するつもりなら、購入可能である。(手書きな為、高価だけどね。)

魔法の適性があっても得手不得手は個人の資質によるので、多属性の魔法を扱えるのは珍しい。

後は、実用化されているレベルの錬金術や魔道具に関しての資料は、各国で同じものが発見されているので(多少違いはあるが、同じ物が各国語版で表現が違う程度の感じだな。)、戦利品などで没収するような物でもない。科学と同じで、同じ目的のモノは、原理や形状などがどうしても同様な物になってしまうからだ。

それと特許のような仕組みもこの世界にあるので、利用料を払えば知識を得ることは可能だし。

まあ、この世界の知識階級が少ないというのはあるんだけど。


アクチノ 「それはそうなのですが、王族がいる方が勇者様は行動しやすいと思います。」


紙 「何故だ?」


トレモ 「城の者は勇者様のことを知っていますが、学院の者は勇者様のことを知っているわけではありませんので…。」


紙 「屑王の署名が入った書類があるから、問題無いだろう?俺のことが伝わるまで、多少時間が掛かるとはいってもよ。確か魔導士を養成する学院は、王都から少し離れているんだったな?歩いて一日程度の距離だったか。」


学院と呼ばれる魔導士養成機関は、王都から離れている。実習や実験の関係で森の近所にある。騎士の養成機関も同じ場所にあったはずだ。

日本の感覚だと郊外にある感じだな。後は、ダンジョンが近所にあるんだっけ?それほど強い魔物は出ないみたいだけど、訓練で使っているらしい。この辺の情報は、特に気にする必要が無いと思って聞き流したんだよ。俺は冒険するのが目的じゃないし。


俺の言葉を聞いて、王女の二人は不満そうだ。


紙 「俺の能力を探っているんだろう?まあいい、教えてやろう。同胞も使っていた記録があるからな。お前らが思っているように、俺は転移魔法が使える。千里眼もな。(同胞は千里眼を持っていなかったので、拠点に移動するのみだったが。)だから、行ったことが無い場所でも俺は転移可能だ。俺が転移魔法と千里眼を持っているのを他の奴に教えても良いぞ。馬鹿でなければ、この能力だけでも国を滅ぼすことが可能だと分かるだろう?それに今日は城を見物するんだから、学院には行かないぞ。お前らは自室に戻って芸の練習でもしろ。」


転移に関しては、次元転移門を使っているのを見られているからな。当然、転移魔法を持っていると思われるだろう。千里眼と言ったが、実際には見るだけじゃなくて、もっと色んなことが出来る能力だけど。俺の能力は単体の能力じゃ無くて、色んな能力がセットになっているようなモノだから。クリミナルから引き継いだ”在るモノ”の能力だからね。”特殊能力:紙”も同様だけど。

許可したこと以外は、王女も案内役も俺の能力について話せないが、この程度の能力が知られても行動に支障はない。伝聞で噂になれば、尾ひれがついて、俺が危険人物であり、異世界人の怒りを買う勇者召喚は魔族以上に危険だと認識するだろうから。

読者さんなら分かるだろうが、千里眼と転移魔法だけで国など簡単に滅びる。一番簡単なのは、人を上空に転移させるだけで良いのだから。それだけで、人はミンチになって終わりだ。転移可能な距離や範囲は魔力量によるが、俺の場合は魔力量関係ないし空中で駄目なら、地面の下へ転移しても圧力と窒息で死ぬから簡単だ。


不満そうだが、王女の二人は出て行った。


紙 「魔導士見習いよ。宮廷魔導士は登城していないのか?王女どもが学院のことを話していたが…。」


魔導士見習い 「そのようなことはありません。休みや学院の仕事は交代制ですので、誰かは必ずいるはずです。姫様は外出したかっただけでは?勇者様と一緒なら、護衛も不要ですから。」


何だよ。単なる我儘かよ。護衛もいらないって、俺はあいつらを守るつもりは無いぞ。


紙 「あいつらがどう思っているのか知らんが、俺は護衛じゃ無いからな。襲われても守らんぞ。あいつらが襲われても傍観する。あ、そうだ。城に亜人国、カタカーム国から派遣されている連中がいるだろう?特殊な移動用生物も。時間に余裕があれば、それも見る。」


騎士見習い 「亜人国の者は、王都の門の近くの厩舎にいます。特殊な移動用生物もです。厩舎には官舎もありますし。王都の中では通常の馬車か牛車以外は、特別許可が無い限り使用禁止です。」


あれ?神域の情報だと城にいるはずだけど。


紙 「城にいたはずだが?移したのか。」


騎士見習い 「今朝移動しています。勇者様のことを正式に各国へ伝えるまで、混乱を避けるために移動したようです。あの国は、魔法と違う特殊な技術を持っていますので、何かあると問題ですから。」


紙 「そうなのか?良く知っているな。でも通達はしたはずだろう?それじゃあ駄目なのか?」


騎士見習い 「朝礼で聞きました。通達は各国の大使館に行っているので、魔族対応の会合の使者に伝えるまでは、正式なものでは無いそうです。形式上ですが。それに各国の使者は、特殊な移動用生物で移動しているはずです。アレは、使用するのに費用負担が多いですが、緊急事態ですので。」


ああ、軍隊だもんな。朝礼があっても不思議はないな。

亜人国、正式名カタカーム国と言うのだが、この国の連中は科学が進んだ世界の残滓の影響を受けている。普通の亜人もいて魔法を使える者もいるのだが、特殊な科学力を持っている。(高度な科学力を持った連中は、亜人でも特別な種族だ。そう言えば、地球よりも進んだ無線通信装置も持っていたな。原理は不明(科学技術情報に関しては、俺は閲覧制限がある。地球に進んだ科学技術知識を与えるのは問題だからだ。)だが、地球が存在する世界の太陽系程度の距離なら通信のタイムラグが無い。)特殊と言うのは、科学が進んだ世界の残滓がこの世界の基になった時に、魔力などの摩訶不思議の力の影響を受けて変質しているからだ。純粋な科学では無く、錬金術や魔法の影響を受けてしまっている。原料の生成方法とかね。基本的には地球と同じ方法で生成可能だが、錬金術を使わないと生成できない物があったりする。詳しいことは説明されても良く分からなかったけどね。俺は素材に関する専門家じゃないからさ。俺の場合、何か必要になったら、神域で用意すれば良いんだし。まあ、影響を受けたのは、魔法世界の方も同じで、植物が品種改良されたものばかりで、原種では無いものがほとんどだったりする。原種も存在はするが、各消滅した世界の近縁種が統合された感じになってしまっている。植物の種類は地球よりも多いが、栽培されている植物の種類は少ない。未発見の植物も多いし。後は魔法世界では、原種に近い方が力や栄養があるとされたりする関係で、植物などの品種改良をあまりしていなかった。(強力な毒を生み出す品種改良とかはしていたようだ。恐ろしい世界だが、魔物がいるから仕方が無いみたいだ。対魔物用って事らしい。)それに魔法世界には、魔素や魔力などの影響で地球には無い植物も存在していた。ただ、その手の植物は植物系の魔物だったり、生息地が特殊な場合も多いようだけどね。後は、魔法世界に存在しなかった植物が、植物系の魔物になっていたりもする。科学世界で開発された遺伝子組み換え種で、動物と植物の特性を持つ樹木など(食用可能だ。種類は色々あるが、実が食肉として使用出来たり、ミルクの実がなったり、木の癖に野菜や果物の可食部部分を持っていたりする。短時間なら動物同様動き回り、水分などを自分で補給可能だ。)は、ほぼ魔物化している。トレントとか言う魔物と統合されてしまったみたいだ。科学世界では、遺伝子組み換え種の管理手法が確立していたようだ。この辺の詳しいことは、俺は閲覧制限があって不明だ。そうそう、亜人国にいる人族だが、数は極端に少ないうえに、因子的に普通の人族と違うと説明したが、少しだけ獣の因子が残っている。地球で言う原人に近いかな?猿の因子が強く残っている人族だ。(この世界には猿の獣人は存在しない。)見た目が猿っぽい(猿顔で毛深い。ただし、尻も赤くないし尻尾なども無い。ゴリラに似ているかな?あそこまで毛深くは無いが。)だけで獣人では無いのだが、普通の人族には亜人扱いされる。それと亜人国は特に生体科学に関しては、地球よりも遥かに進んでいる。地球人の俺から見ると科学と言う名の魔法に思える。動力源も地球には無い”機力(きりょく)”と呼ばれる未知のエネルギーだ。ただ、科学力はあっても工業力などが無い。この世界には魔物などがいる為、鉱山開発などが難しい。(鉱山が無いわけでは無い。最低限必要な鉱物などは確保できている。)森や山などは魔物などの生息域で、鉱物資源などが貴重なせいだ。魔法と違う技術を持っているために、亜人が差別されている側面はある。他にも理由はあるけど。

魔導書などが手書きで高価だと説明したが、活版印刷の知識はあるけど鉱物資源が貴重な為、印刷用には使えない。ガリ版印刷のような技術資料も発見されてはいるのだが、工業力が高く無く、紙の生産が家内制手工業レベルの為、使用できない。知識階級が自分達の立場を守っている関係もあるけどね。

特殊な移動用生物に関しては、見物する時に説明しようと思う。亜人国が、勇者召喚魔法陣のある地下室の鍵を廃止するのを了承したのは、各国が亜人国の要求に対して、特殊な移動用生物の利用条件などで譲歩した関係だ。(移動用生物以外もかなり譲歩している。)あ、亜人国は、メソポ王国のある大陸と別の大陸にある関係で、生態系が異なっている。特殊な移動用生物もメソポ王国のある大陸には本来いない生物?だ。まあ、こういった経緯もあるので、亜人が同胞に協力していたと言っても、亜人を助けてやる義理は無い。必要なら虐殺する対象であって、人口の関係で間引く必要が無いだけだ。利用できる部分では、利用させて貰うがね。亜人どもも自分達の都合を優先したんだから、俺からしたら人族同様敵でしかない。


紙 「まあ、それなら仕方がない。街を見物する時にでも移動用生物は見るとしよう。宮廷魔導士の所へ行く。案内しろ。」


食後の休憩も十分とったので、魔導士の所へ向かう。



◇◆◇◆◇◆



魔導士の所へやって来た。城の中でも端の方に詰所はあったよ。

魔導士団の詰所だそう。

この世界の魔導士は、魔法も使えるが近接戦闘もこなす技師のような存在だ。魔法も特殊技能という位置付けで、高給取りになる。

まあ、錬金術なども修め、生産職かつ戦闘職で、技術・研究職なのだから、当たり前である。

人によって得手不得手はあるので、実際には各分野の専門的な連中の方が多いけど。

宮仕えしない者は、冒険者になる者が多い。

この世界は未開拓地が多いのと、ダンジョンなどから魔導書や錬金術などの資料が発見されることが多いためだ。

あ、この世界のダンジョンでは、魔道具や魔導書などが発見されることも多い。ゲームの様にドロップアイテムや宝箱などから出てくる。

ダンジョンと違って、遺跡からは貴重な物が発見されることが多いが、一度だけになる。ダンジョンは運が良ければ、ドロップされるから。この辺はダンジョンと遺跡の仕様が違う。

話がそれたな。


紙 「ここが宮廷魔導士がいる場所か?」


魔導士見習い 「はい。魔導士団の詰所というか事務所です。」


紙 「魔導書などの資料はあるのか?」


魔導士見習い 「高度な物は学院の研究所にありますが、一般的な物はあります。錬金術でポーションなどを作るのも仕事なので、資料を確認する場合もありますから。魔道具の修理依頼もあったりしますし。」


何と言うか、知識階級なのに、雑用を押し付けられる気の毒な連中に思えてきた。

ポーションは魔導士以外に薬師も作っているはずだが、錬金術師が作る方が品質は高い。魔法を併用している関係だ。


事務所の中は整理整頓されていて、魔法使いの家のイメージで雑然としているのとは違う。

チームで業務を担当して処理しているようだ。人数は15人ほど。今日は男しかいない。女の魔導士もいるって聞いたんだけどな。


紙 「魔導書などの資料を見せて貰おう。どこだ?」


魔導士見習い 「こちらです。師匠に同行して貰いますので、お待ちください。」


事務所に来るまでに説明されたが、魔導士見習いの師匠と言うのは、魔導士団の団長だ。宮廷魔導士の筆頭だとさ。学院の院長とかは、魔導士団の天下り先だってよ。どこの世界でも変わらねーな。

魔導書などがある書庫に入ったが、なるほどね。神域で確認した通りだ。


紙 「翻訳したやつだな?魔導書とかの題名変えているじゃねーか。」


そう言うと、魔導士見習いはきょとんとしている。

団長とやらは、焦っている感じだ。


紙 「何だよ?発見された題名だと不味いのかよ?”魔法入門”とか”錬金術入門”ってなっているけど、”馬鹿でも分かる”とか”子供の”とかって題名に付いていただろう?この資料はよ。」


案内役どもは”えっ!?”って顔してるな。

高度な魔法や錬金術などがあった世界の残滓なので、子供向けでも内容は実用に十分耐えれるモノではある。

日本で言うと子供向けの科学学習雑誌やおばちゃんが配達していた子供の学習教材で、付録付きのモノがあったが、アレに近い物だ。実際の雑誌の名称を出すのは不味いだろうが、”科学”とか”学習”とか呼ばれる雑誌だ。こっちのは”魔法”とか”錬金術”、”魔道具”とかだけどね。

神域の情報だと子供向けの奴以外に、分冊百科とかパートワークとか呼ばれる、ある分野の本格的な知識やハウ・ツーを、気軽かつリーズナブルに学べるようにするため、週刊や隔週刊といった定期刊行形式で発行されている雑誌みたいなのも発見されていたはずだ。付録付きで、全巻揃えると魔道具が完成するとかなっている奴。こっちは内容が多少高度になっていたはずだ。

他にも専門書のような魔導書なども発見されているが、そっちは解読が進んでいなかったはず。

現状でもある程度実用に耐え得る状況に、この世界の者は満足している影響もあるせいだろう。クリミナルが介入したのは、この辺も理由だろうな。


そうそう、屑王の寝室で白服Aが殴られた時、飛び跳ねてたが、アレは防御魔法の一種だ。子供向けなので、派手な演出でダメージを軽減する魔法になっている。見た目はあれだが、子供が怪我しないように作られた魔法なので、結構防御力がある。アホ王子の餅を焼いた時みたいなたんこぶも治療魔法だ。これも子供向けの魔法の為だ。


紙 「俺が魔導書などの資料について、詳しく知っているのが不思議か?見習いどもよ、俺が魔法を使えるのは知っているよな?書庫で使っただろう?お前らが使えない魔法をよ。」


見習いどもは、”あっ!”って顔してる。魔導士見習いが、団長とやらに説明しているな。


紙 「言っておくが、お前らに協力はしないぞ。あ、そうだ。宮廷魔導士ってことは、攻撃魔法も使えるよな?俺に魔法が通用するか攻撃してみろ!こっちからは攻撃しないからよ。呪いも一時的に解除してやる。」


そう言って、事務所の外へ出た。


紙 「避けないし、周りに影響が無いように結界を張っておくから、お前らの最大攻撃魔法を撃ってみな。撃ってみれば、俺に通用するか分かるだろう?」


魔導士団でも攻撃魔法を得意とする連中が魔法を撃ってきたが、俺に届く前に掻き消えた。(攻撃魔法や治療系、防御系の魔法は、子供向け以外にも実用的な魔法の解読が比較的されている。魔法文明の進んだ世界からすると、学生用の入門書レベルの奴みたいだけど。あ、精神干渉系魔法などは、特殊な因子を持った連中が使う。漫画や小説に出てくる魔眼みたいなモノを持っている連中とかね。こいつらは数は少ないが、血筋として特殊な因子を持っている連中だ。話がずれたな。)

魔法が掻き消えたのは、俺の存在力の大きさと魔力の大きさのせいだ。俺は、この世界の連中の魔法攻撃や物理攻撃を無効化してしまうからな。

魔導士どもがあっけにとられている。


紙 「魔導士なら魔力を察知できるだろう?俺が周りに影響が無いように張った結界以外に、魔法を使っていないのは分かるだろう。俺に魔法攻撃が通用しないのが分かったか?」


防御魔法などを使ったわけでは無いのは、理解できたようだな。腐っても宮廷魔導士どもだ。

全員真っ青な顔をしている。


紙 「後で騎士団の連中にも攻撃させてみるか?物理攻撃も通用しないからな。お前らが試しても良いけどよ。」


魔導士団の連中が武器を持ってきて攻撃を試したが、魔法同様通用しないと言うか、俺に触れた瞬間に武器が粉々になった。俺も服も無傷で、武器の残骸は虚しくパラパラと地面に落ちた。弓も使ってきたが、矢は俺に届く前に粉々になった。こっちは、データシート改変で対応した効果だな。

全員愕然としている。

しかし、攻撃しろとは言ったが、こいつら召喚勇者の俺に全く遠慮しねーな。躊躇なく攻撃しやがった。

ある意味清々しい。ま、これなら俺も遠慮なく虐殺できる。こいつらには、この言葉を贈ろう。


『危険人物と判断して、呪いが解除されているチャンスを活かそうとする、その意気や良し!』


紙 「言った通りだろう?お前らの言う”下等な異世界人”は、頑丈なんでな。俺に攻撃は通用しない。人攫いをしたこの世界の連中を、俺は絶対に許さんからな!覚悟しておけ。攻撃が通用しないことを他の連中にも教えておけよ。今は攻撃しないが、攻撃力もお前らよりあると教えておく。さて、用事は済んだ。戻るぞ。」


呪いの一時解除を元に戻して、貴賓室へ戻ろうとすると半鐘のような音がする。魔法も併用して大音量で鳴らしているな、この音。王都全体に警報を出している感じだ。


紙 「何の音だ?うるせーな。火事か?」


騎士見習い 「この音は…。ま、まさか。」


魔導士見習い 「魔物の襲来?…いえ、この半鐘のパターンは、魔族!?」


メイド見習い 「ええっ!?」


オイオイ、随分早いな。昼飯の後に魔族の魔石を紙変換して、ネームホルダーに入れたばかりだぞ。

ちょっとは、ゆっくりさせてくれ。

この世界の連中が殺されるのを見物するとは言ってもよ、段取りが狂うじゃねーか。

折角、力の一端を一部の奴に見せて、噂で恐怖を植え付ける予定だったのによ。

あ、魔導士どもに力を見せたのは、自分達が使えない高度な魔法を使える魔力・知識などがあることを教える為だ。知識階級のこいつらなら、俺の危険性を十二分に判断可能だからな。

攻撃が通用しないことと合わせれば、恐怖の存在でしかないだろう。俺は、この世界の連中を敵認識していて、虐殺すると公言しているのだから。

話がずれたな。

しかし、下手すりゃ魔族対応する必要があるな。

行動するための環境整備前だから、王都が蹂躙されるのは、今は困るんだよ。他国の連中に対応する都合もあるし。

予定では、この世界の連中が魔族と戦っている時に、足を引っ張るつもりなんだよ。

恐らく、魔族は俺の所に来るよなぁ。

やれやれ。



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