第二十一話 酷烈なる呪い
色々と段取りする必要はあるが、案内役に昼食を食わせに食堂へ来た。
食事は時間をずらす交代制なので、それほど混雑してはいない。
紙 「もう昼飯の時間だな?この世界の基準だと、一日三食だったか?移動時や個人の都合などで変動はあるようだが。」
メイド見習い 「はい。勇者様の仰るのが、一般的です。我が国ではありませんが、食事は日に二食と言う国もあると聞いたことがあります。」
神域で確認したが、食糧事情が悪い場所では、食事回数が少なくなったりするようだ。
勿論、貧民街などは、もっと劣悪だが。
紙 「なるほど。まあ、どうでもいいな。昼飯は何だ?」
見ると、クリームシチューみたいな汁物とハードタイプのパン、芽キャベツだなあれは。茹でた物が付いている。
そうそう、この世界で栽培される作物は、この世界の元になった消滅した世界の残滓の影響で原種では無く、地球の品種改良された植物と同様の物なので、味や栄養価は改良された形になる。勿論原種もあるけど。
うーん、どうしよう。一応食ってみるか。今日一日食ってみて、不味いようならデータから複製して食えばいいか。
あ、神代さんが授けてくれたデータ、地球の物品のデータが大量に入ってるんだよね。病原体以外にもさ。
ロケットとか軍艦まであるし、どうしろって言うのかね?コンビナートの原油タンク(原油入り)とかガスタンクとかもあるし、扱いに困るよ。
めんどくさいからって、神代さん地球丸ごとデータにして無いか?これ。生物以外をさ。
さて、話を戻そう。食事しないと。
俺は、この世界にいる分には食事は必要ないが、この世界の者に知られない方が都合が良い。(毒を盛るとかしてくれれば、サクッと殺せるしね。)
…シチューもどきは、日本人の知っている味では無い。香辛料は使っているし、肉(これは羊のようだ。ラムでは無く、マトンだな。)も入っているが、脂が強い。ミルクとして使っているのは山羊だな。だが、香辛料の量が少なく、味は酸味が強い。
パンもライ麦パンの全粒粉タイプでザワータイクを使うタイプだ。不味くは無いが、独特の味がする。
…何故酸味のある料理に酸味のあるパンを合わせる?せめてバターが欲しい。
芽キャベツは、塩ゆでしたものだ。これは、まだ大丈夫だ。何故かオリーブオイルが掛かってるけど。
何とも微妙な気持ちで食っているが、他の連中は普通に食っているな。
紙 「なあ、酸味が多い気がするが、この国の味付けは、こんな感じなのか?」
メイド見習い 「城の料理は酸味が強いですね。街の料理は塩味が強いと言いますか、香辛料は割高なので、酢か塩を使うことが多いです。砂糖などもありますが、高価なので、特別な時以外は口にできません。」
紙 「王族や貴族もそうなのか?」
アクチノ 「我が国だとそうです。穀倉地帯が壊滅したので、作付けする作物が限られます。」
トレモ 「隣国のインダース教国では、香辛料の生産も多いので、我が国の料理とは違った味のようです。」
騎士見習い 「私は貴族の娘ですが、家の料理も城の味付けと変わりません。」
魔導士見習い 「私も貴族の娘ですが、料理の味は城と同じです。ただ、魔導士は錬金術なども修めているので、薬草を食べる場合があります。香辛料ではありませんが、辛みなど味に変化をつける薬草もありますから。」
魔導士見習いが言っているのは、ハーブも含んでいるな。この世界では、ハーブも薬草の一種として扱っているから。
穀倉地帯が壊滅したのは自業自得だろう。作物の代わりに、石材の採掘場所になってるようだがな。
土地に高温高圧が掛かったせいで、宝石なども生成されて採掘されているようだ。二回目の召喚勇者も想定外の状況だと思う。
権力者って、こういったことに鼻が利くよな。ま、それは良いか。
紙 「なるほど。街に行った時は、比べてみるとしよう。」
料理の味が微妙なので、保存データからペットボトル入りのお茶を複製して飲む。常温の水やお湯よりいいからな。
周りの者が見ているが、やらないよ。説明もしない。残った分は、マジックバッグに入れた。
メイド見習いが話しかけてきた。
メイド見習い 「勇者様、質問してよろしいですか?」
紙 「何だ?」
勇者と呼ばれるのは本意では無いが、仕方がないので許可している。名前で呼ばれるのは、もっと不愉快だし。
メイド見習い 「先ほどお飲みになっていた飲み物は、お酒ですか?」
紙 「違う。気にする必要はない。」
地球の物をこっちの連中に与える場合、データシート改変で対応する必要があるからな。そんな面倒な事やってられるかよ。
必要があれば対応するが、別に必要ないし。
メイド見習いを見ると物欲しそうだが、やらないよ。
紙 「勘違いするなよ?俺はお前らの味方では無い。俺の物を欲しがるな。報告書を見ただろう。魔族対応が始まる前に死にたいか?一年程度は運が良ければ、生き残れるのによ。」
死にたくはないようだ。ま、生き残っても殺しますけど。
さて、午後はどこへ行くかな。
…魔導士の所へでも行くとするか。時間的にどうだろうか?食後の休憩も必要だし。
そんなことを考えていると、屑王の寝室にいた白服Aとフッカーがやって来た。
フッカー 「勇者殿、こちらにおられましたか。」
紙 「何か用か?」
白服A 「知らなかったとはいえ、勇者様にご無礼を働きましたこと、誠に申し訳ございませんでした。」
白服Aは土下座した。
紙 「で?わざわざ、謝罪に来たわけでは無いだろう。用件は何だ?金なら返さんぞ。」
フッカー 「お金のことではありません。必要なら臨時徴税が可能ですので。魔族対応の会合に関連して、お願いがあって参りました。」
紙 「願い?会合には出ると言っただろう?公開処刑の準備が間に合わんのか?」
先延ばしにして、うやむやにはさせんからな!
フッカー 「公開処刑も人数が多いので、猶予を頂きたいのですが、それとは別件です。」
白服A 「勇者様、陛下の病を治して頂けませんでしょうか?勇者様が一時的に治した期間では、魔族対応の会合に陛下が参加できません。」
紙 「お前らが治せよ。仕事だろう?俺の用事は済んだし、俺には屑王を治してやる理由がない。公開処刑については、後で調整するとしよう。王都に広場があったな。貴族街じゃなくてよ。場所はあそこで良い。それなら準備要らんだろう?貴族街でやるなら、俺が魔法で貴族どもの屋敷を吹き飛ばしても良い。処刑の知らせだけ出しておけ。」
そう言うと、白服Aが食い下がる。
白服A 「勇者様、フッカー参謀から話は聞きました。勇者様の言われるように、我々は人攫いです。歴代の勇者を奴隷として扱ったことも事実です。そのことについては謝罪致します。しかし、お力をお貸し頂けませんでしょうか?お願いします。我らでは、陛下の病は治せません。」
紙 「別に屑王が出なくても問題は無いだろう?さっきも言ったが、俺には治してやる義理も義務も無い。俺はお前らの味方じゃないんだぜ。お前らにとって、異世界人は下等な生命体なんだろう?下等な異世界人を頼るなよ。屑王の代わりにアホ王子を会合に出す為に、自室に軟禁しているのだろう?それで問題無いだろうよ。それとも謝罪したから許せってか?馬鹿じゃねーの。償いもしねーで、何様だ?あ?」
フッカー 「勇者殿、治して頂けるのでしたら、軍は勇者殿の為に働きましょう。勇者殿の命令に絶対服従を誓います。この条件では、如何ですか?」
軍などどうでもいい連中だ。使い道が無い。その程度は分かるだろうに、取引に使うかね?参謀の癖に何言ってんだ。
絶対服従とか言ってるが、軍は辞めれるんだからよ。頓智じゃないが、一度軍を解散して、新たな軍を作れば、俺に従う必要無いとかじゃねーのか?俺に忠誠を誓った軍とは別とか言い出すつもりだろう。大体、人攫いの連中を信用しろとかふざけんなよ。
紙 「随分と尊大だな。俺の為に働く?話聞いてたか?償いもしないで、取引できると思うなよ。どうせお前らは死ぬ。多少、早いか遅いかだ。それに、俺はこの国で何をしてもOKなはずだぞ。書類を作っただろうよ。屑王のサインと国璽も入った正式な書類をよ。それとも書類に細工でもしたか?していないって?だったら、軍に命令も出来るはずだ。信用できない能無しどもを使う気は無いがな。屑王を治す理由が俺には無いし、権力者って奴は、基本的に恩も義理も感謝の心もない。人に何かして貰って当たり前と考えるんだから、そんな不愉快な連中を助けねーよ。」
書類に細工が無いのはチェック済みだ。まあ、隷属しているから、おかしなことは出来ないけどね。呪いもあるしさ。
二人が食い下がろうとした時、女騎士を伴った女性が食堂に入って来た。30代半ばと言ったところか。歳相応だが、美女と言えるだろう。金髪碧眼だな。アクチノとトレモと同じような格好をしている。貴婦人と言う感じだ。
貴族か王族かな?
女性 「フッカー、そちらが召喚された勇者殿ですか?」
フッカー 「王妃様、このような場所へ何用です?勇者殿は、こちらの人物ですが…。」
王妃 「勇者殿に助力して頂きたく、お願いに参ったのです。」
フッカー 「王妃様、勇者殿は我らの協力者ではありません。…勇者殿からすれば、我らは人攫いで敵です。勇者召喚は、勇者殿の故国に対する侵略行為を行ったのと変わりませんから。」
王妃 「分かっております。しかし、我らは勇者殿におすがりする以外に手立てがありません。」
王妃と呼ばれた女性がそう言うと、フッカーは黙った。アクチノとトレモ以外の連中は、片膝をついて跪いている。俺は勿論椅子に座っているが、文句は言われない。変な目で見られることも無い。呪いなどの情報は共有されているようだな。
様子を見ていると、王妃とやらが俺に向き直った。
王妃 「貴殿が勇者殿ですね。私は、メソポ王国第一王妃アンソフィ・メソポと申します。第一王子と第二王女の母でもあります。我らの都合で召喚を行い、貴殿に多大なご迷惑をおかけして申し訳ありません。我が国にできる償いは、貴殿の望みを可能な限り叶えます。どうかお力をお貸しください。」
王妃は名乗りの時にスカートを摘まんだ礼をし、助力を願って跪いた。
紙 「俺は人攫いに名乗る名は持っていないぞ。俺の名が知りたければ、屑王にでも確認するんだな。お前らに力を貸すのはお断りだ。そのことは、既に屑王に言ってある。俺の望みを可能な限り叶えるだと?無理だね。無理無理!お前らには叶えることできないね。出来ない出来ない!出来ないよ!俺の望みはな、勇者召喚する前まで時間を戻して、俺も含めて歴代勇者を召喚しないことだ。それに、召喚に関するすべての存在を破壊しろ!できねーだろ?それに、聞いてねーのかよ。俺にとってこの国やこの世界は虐殺対象だぞ。故国に対して侵略行為をしたんだからな。お前らにとって、俺や歴代勇者は、下等な異世界人なのだろう?自分達が俺らよりも高等な存在だって自負があるんだろう?だったら、下等な異世界人を頼るなよ。それに白髪頭、ガリヤーンと言ったか?あいつから聞いたが、召喚勇者なしで魔族対応するつもりだったと言ってたぞ。前回の魔族の攻撃から、かなり短い周期で来たようだが、俺には関係ない。前回は勇者召喚しないで対応したらしいじゃねーか。かなりの被害が出たようだがな。手立てが無いんじゃなくて、自分達が戦いたくないだけだろう?お前らに実行可能な事でも俺の望みは拒否するだろうよ。”この国の連中は、一人残らず殺しあって死ね。”と命じれば死ぬのか?拒否するだろう?まあ、この国の者は、全員俺が殺すから気にするな!”死が全てを解決する。人間が存在しなければ、問題も存在しないのだ。”とスターリンって、俺の世界の独裁者が言ったんだが、これはある意味真理でもある。まあ、この言葉の独裁者の国は滅んだがな。それより、ちゃんと芸を考えておけ。つまらんことで話しかけるな。全く、やれやれだぜ。」
ここで、”やれやれ”のポーズだ。
芸術的な”やれやれ”を披露していると、ノシノシと擬音がするような貫禄ある女性が、女騎士を伴って食堂に入って来た。
…太めのおばちゃんかと思ったが、これ筋肉だな。見た感じでは、第一王妃のアンソフィと同じぐらいの歳だ。格好も同じだが、大柄だ。若い時は美女と思われる顔立ちだ。おばちゃんも金髪碧眼だ。
印象としては、プロレスラーとかと同じ感じだ。格闘の経験者かも知れない。
俺の話を聞いて、交渉が通じない相手だと分かったのだろう。俯いていたアンソフィが立ち上がって、おばちゃんに話しかけた。
アンソフィ 「アモサ!あなた、何しに来たの?軟禁されていたはずでしょ!」
アモサ 「軟禁されていたが、あたしはアクチノ達を止めたのを証明できたんでね。娘が迷惑を掛けた勇者殿に、一言お詫びしようと来たんだよ。」
アモサと呼ばれた女性が、俺に向き直ったと思ったら、いきなり土下座したぞ。
アモサ 「勇者殿、申し訳ない。あんたにどんな償いをしても、あたしらは許されないことをした。あたしは、メソポ王国第二王妃アモサ・メソポだ。第一王女のアクチノは、あたしの娘だよ。第二第三王子もあたしの息子だ。アクチノに協力した連中の筆頭は、あたしの親父さ。禁忌を犯す大馬鹿公爵だよ。聞いたよ、あんたの呪いで死んだんだろ?牢に囚われていた連中の一人だからさ。あたしら王族や貴族は、処刑されて当然だ。だけど、民は許してくれないか?民は勇者召喚の真実を知らない。責任が無いとは言わないが、あたしらの命で勘弁してくれないか?そして、出来れば魔族から民を守って貰えないか?無理な願いだというのは分かっているが、お願いだよ。」
このおばさんが、公爵家の三女で家督と関係無いから、冒険者として活動していたという人物か。(神域で確認した情報)
近接戦闘もこなす腕のいい高位魔導士らしい。神域の情報だと、勇者召喚を止めようとしたのは事実だ。
実際、高位魔導士なのに、勇者召喚の儀式に参加していないし。この人、高位魔導士の関係で王妃になったみたいなんだよ。(魔法陣の召喚条件関係だ。)
そうそう、おばさんの息子の第二第三王子は、双子なんだよ。
おばさんの家は、公爵家と言っても王族から分かれて何代も経っている家だ。屑王とは、かなりの遠縁になる。
そんなことはどうでもいいな。
紙 「断る!人攫いに掛ける情けは無い。この世界の連中の都合など、俺には関係ない。民が勇者に関する真実を知らないから何だと言うんだ?お前らは、俺や同胞の歴代召喚勇者を下等な異世界人と蔑んで奴隷扱いしただろう。お前らは同胞と交わした約束や契約を無視して破棄したよな。同胞が亡くなってからスグによ。この世界の連中は、恩も義理も感謝の心もない、約束も契約も守らない屑だ。人攫い風情が、勝手なことを抜かすな!」
アモサ 「身勝手なのは分かってる。歴代勇者との約束を守っていないと、あたしも文句を言ったさ。でも誰も反省しなかった。王妃になってから、国王にも進言したよ。でもね、『勇者との約束を守ったら、国が回らない勘弁してくれ。』って言われたのさ。奴隷に対して、最低限の生活保障だけは確約させたのが、あたしのできる限界だったよ。言い訳に過ぎないね。あんたの言うように、あたしらには助けを求める資格は無いね。すまなかったよ。ああ、芸は考えているから、楽しみにしてな。あたしらが出来る償いは、命令された芸ぐらいだからね。」
そう言って、アモサは出て行った。
第一王妃のアンソフィより潔い人物だな。アンソフィは助力要請だけで、自分が犠牲になることを言わないし、態度も尊大だ。抽象的な償いをすると言っただけだし。手助けする報酬のことは無視してる。アモサは報酬に関しては、俺の要求を叶えるのが無理なのを理解していたんだろう。どんな償いをしても許されないと明言したし。
まあ、身勝手なのは同じだけど。
さて、居残った連中は、どうするんだ?
紙 「用事は済んだな?ここにいても仕方がない。貴賓室に一度戻る。下らんことで時間を食ったな。」
貴賓室へ戻ろうとすると、フッカーから待ったがかかる。
フッカー 「勇者殿、お待ちを。陛下の病を治すのではなく、現在の状態をひと月ほど期間延長は出来ませんか?」
紙 「…それは、俺の能力のことを聞いているのか?それとも屑王の状態を期間延長しろと言うのか?」
フッカー 「現在の期間ですと、芸を陛下が行うのは無理です。ひと月とは言いません、二週間ではどうでしょう?」
誘導しているな。その手に乗るかよ。
紙 「芸が出来ない奴は、別にいい。お前が気にしなくて大丈夫だ。」
屑王は生かしておく予定だが、健康である必要は無いからな。寝たきり状態で生かしておいても良いんだし。データシート改変で、どうとでも対応できる。
俺の命令を無視すれば、呪いが発動して死ぬだけだしな。呪いの調整も、俺は自由自在に出来るし。
フッカー 「…本当は治せないのでは?」
そう来るかよ。煽るねぇ。
紙 「治せるさ。必要無いから治さない。」
フッカー 「その証明をしていただきたい。」
紙 「良いだろう。延長では無く、治してやる。ただし、俺に仕事をさせるんだ、代わりに一月後、自動で酷烈なる呪いが発動する。この国の全土で全ての者を対象としてな。他国へ逃げても無駄だぞ。ただし、呪いの目撃者として、亜人は除外する。フッカー、以前俺がこの世界の連中を全員敵にして、虐殺できるのか聞いてたな。証明してやるよ。今から一月後、お前にも呪いが発動する。どんな呪いが発動するかは、お楽しみだ。」
メソポ王国全域に呪いが自動発動するようにして、約束通り屑王のデーターシートを改変して治した。
治療系の魔法の基礎に、”診断の魔法”と言うのがあるから、屑王の状態は分かるだろう。呪いは掛けてあるが、俺の呪いだと分かるようにしているし。
”診断の魔法”は解読されている魔法で、この世界の治療系魔法使いなら使えるはずだし。
フッカーと白服Aは、真っ青になっているな。他の連中に睨まれている。
俺にタダ働きさせようとするからだ。アホが。
フッカーと白服Aは、青い顔をして屑王の所へ行くようだ。他の連中も真っ青な顔をしている。
呪いは、一月後の朝から発動する。今回掛けた呪いは、”痒み”を与えるものだ。
最初は、頭や足の指の間、股間など体の一部が、短時間少し痒いだけだが、徐々に痒みは酷くなり、痒みを感じる時間も長くなる。最終的には、死んだほうがマシと思うほどの痒みになる。全身がね。
痒みに耐えられず、掻けば掻くほど痒みが酷くなるのが速くなり、痒みの時間が長くなるようにもしたぞ。
是非この台詞で呪われた連中を煽ってやりたいね。
『搔けば掻くほど痒くなる!!掻き毟るほど酷くなる。苦しめ!苦しめ!』
ってね。
痛みはある程度我慢できるだろうが、眠れ無いほど酷い、掻き毟るような痒みに、この世界の連中はどれだけ耐えられるかな?
戦闘時など痒みで集中できず、死亡者も増えるだろう。事故も増えるだろうね。
今回の呪いは、メソポ王国の人口が、四分の一程度痒みによる寝不足などで死んだら、自動解除されるようにした。あ、俺は呪いを複数同時に掛けることも可能だから、王都の連中に掛けた呪いは、そのまま掛かっている。
屑王はデータシート改変で、魔族対応が終わるまで死なないようにしたよ。まあ、改変しなくても良かったんだけどさ。
フッカーは俺を煽って利用できたと思ったんだろうが、甘かったな。
さあ、酷烈なる呪いのカウントダウンの始まりだ。
もうちょっと段取りしてから、色々やるつもりだったのに、予定が狂ったぜ。
恐怖を与えるのに、ジワジワやるのが良いんだから、余計なことさせるなよ。
アホどもが。




