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閑話:元の世界のお話
現代日本で行方不明なんて、そんな馬鹿な話があるかと思った。
最初に望が居なくなったのに気がついたのは娘だ。
「アニキが居なくなった」
家出か何かなのかと思った。反抗期というわけでも無いが思春期の男の子だ、家出の1つ2つ位おかしな話じゃ無いさと妻に言った時は、しかし望も家出より先に相談してくれても良いのにななんて軽く考えていた。
3日経つ頃には高校のクラスメイトの親に片端から家の息子がお世話になっていませんかと電話をかけ、1週間が経つ頃には警察に捜索願を出した。
最初は年頃の男の子が1週間家出した位で、なんて反応だったが、1ヶ月経つ頃には本格的な捜査が始まり……そして未だに息子は見つかっていない。
「拉致、というやつかも知れませんなぁ。何分居なくなったという時間帯から、何処にも見当たらなくなってますしねぇ。あ、いやいや今も全力で捜査しておりますよ? しかしこうも手掛かりが無いんじゃぁ……」
家の中の空気は暗くなり、妻も娘も塞ぎ込む事が多くなった。
望、お前は今どこにいるんだ? どうか元気な姿を見せて欲しい。




