第三十審 河アソビの巻
久しぶりの投稿。
2本にしようかとも思ったけどまとめてみた。
「防水仕様?まあ、いいけど」
「作ってくれる?金も出そうか?」
「お前......何がしたくてこいつ(光学迷彩装置)が欲しいんだい?」
こういうところで男女の違いというか落差というものを感じる。ちょっと考えればわかると思うよ、このオレは。
「言わせんなよ。やることはたった1つ。映姫様の入浴鑑賞よッ!」
「......さっきまでお前には仲良くしていけるかと思ったが、改め正すことにするよ。ホントに死んだほうがいい、君のことはすぐ忘れることにするよ......」
銃声が響くと右手に鋭痛を感じた。リボルバー?科学力ってのはこの事か?たしか、明治時代にはもう拳銃が作られてあって民間にも販売がされていたというが......本当にこんなものが幻想郷で作れるというのか?
「や...野郎ッ!今のは少しイラッと来たもんね!どこにいやがる!?」
「お前には私を追跡することはできない。あるのに見えない。人間や妖怪の目なんてたいしたものじゃないのさ。言っておくけど、他の感覚さえも役に立たないからね」
「えーと、視覚はダメ。嗅覚、聴覚もダメ。味覚は使えない......。もう触るしかねえよなあ!」
足の細胞を茨に変えて、全方位にまるでヘビのように伸ばしていく。そしてやつの足が触れた瞬間!
「痛っ!一体この茨は!?まさかお前がっ!?」
「そこにいんのか......もう捕まえたぜ。恨みはないが...いや少しあるがな。しばらく縛り上げて置こうと思う」
茨を何重にもして、スパゲティー食べるようにしてみた。いや、かっぱ巻きとでも言うべきだろうか?
「どんな科学力を持ってしても、自然には太刀打ち出来ないことを知れ!」
「フッ、この程度で......我ら河童の科学力に草なんかで対抗する気か?よく見なよ!」
どこからか焦げた匂いが漂ってきた。お盆の送り火とか野焼きのような匂いだ。
「こいつッ、火を!火炎放射機か!足に火が!アッツ!アチィッ!」
河童を放り投げた後、川に下半身を浸かった。秋の水ともなるとバカみたい冷たく、背筋が凍る。いやこれは河童の恐怖からきてんのか?
「水系が火系を使うだ?複数の属性を使うとは......カッコいいじゃねえの......」
「ふぃ~やっとほどけた。正直危なかったよ、茨が肌に食い込む手前まできてたからね......」
「危なかったのはこっちもだぜ。足に焦げ目が付くところだったもんな」
「ここが川でよかったね。この火炎放射器の最大炎圧は4000v。腕輪ぐらいのサイズだけど、マッチの炎圧と比較するなら数十万倍というレベルだ。小高い丘ぐらいなら土まで焦がす強さ!これはなかなかのデキだったよ、ストラップも付けられるからオシャレにも使えるぞ」
「んあ?水の中じゃ使えないのにそんな破壊兵器作ったのか?」
「まあ、火葬は一瞬で終わるからね、くらえ!」
手首から炎の光線とも言うべき細い炎が打ち出された。見えない速度ではなかったから、避けられるが側にいるだけで耐え難い熱気が襲ってくる。そっとペンを近づけてみると、すぐにそのものが溶け始めて指から手のひらへ垂れてくる。
「うわあああ!オレのGペンがああああ!」
「ジーペン?君ジーペンなんか使ってるのか?」
「インクもあるぜ!!そらッ!」
インク瓶の蓋を投げ捨て、中をバラ撒いた。ある一点だけ地面に落ちずに空中に染み込んだ地点がある。その形状は明らかな生物に間違いない。
「くっ...まずい。これでは位置が!」
「位置はわかった!そこだな!いけ、トビウオ弾!」
「な〜ンてね!引っかかった?」
少しずつインクの黒が透き通っていく。しまいには景色と完全に同調してしまった。
「インクをぶつけて、姿を浮き上がらせようって?この装置はそんなにやわじゃないんだよ!身につけているものは透明になるのさ。私の着てる服も透明なんだよ!考え足りなかったね!」
「足りないのはお前の方だ!お前は今、どこに立ってるんだろうなあ!?」
インクの水たまりの中に2つ変わったところがある。その2つの上方に奴の体はある。目標補足、射程2m、着弾まで0.6秒!
「......地面の足跡...透明な足跡のところを見るためだったのか......クハァッ!」
「透明なおかげで、よく見えたぜ。もう見切った!続いて第二発をくらえ!これでトドメだ」
「ハーハー、こんなところで人間に倒されたなんてのは一族の恥だよ。そいつだけはゴメンだ。こいつは完全に想定外ってやつだ。ここは一時退却が望ましいかな!」
間隔的に砂利を踏む音が響いてくる。段々と音は小さくなっていき、見失った。水の中に飛び込んだか?いやそれならインクで川が黒く染まるはずだ。
「奴に逃げ場はない、水の中に入っても場所は知られる。下手に歩きまわるとインクが滴りかねない、ならどこに逃げたか......?」
答えはいくつもある。だがこの場合一番確率の高いものは1つ。やつの住処だ。
かろうじてインクを踏んだ足跡はたどれる。奥に入口の狭い洞穴もあるから間違いない。
「オジャマす・る・ぜぇ~~!河童ちゃああーーん!」
「(もう来た!まだ準備が出来てないのに!)」
中はそれなりに明るくて暮らしやすい明るさだ。電球の光ではないようだ。LEDとかか?しかし、自然な太陽の光ような感覚もする。
「追い打ちかけに来たのかい?私はここにいる。もう透明になる必要もないから装置は外したよ」
「それがお前の姿か。......帽子、とってくんないか?ついでに背中の荷物も」
「嫌だ」
「ホントに皿と甲羅があるか見たかったのによ......。のこのこと......フフ、甲羅だけにな。のこのこと現れやがったな。顔までさらすとは肝っ玉がでかいこった」
「もうお前はここから出られない。人間1人と思って侮っていたよ......。本気にならなきゃ殺されるってわかったから、もてる技術を結集させて倒す!」
河童が手を叩くと、目の前に格子が設置された。出口にも同時にシャッターが降りていった。見たこともない素材でできているようだ。生命が流れていかない。
「しまった!退路も進路も奪われたか!」
洞穴の壁に無数の四角い穴が空き始めた。中からはあきらかに人工の機械が飛び出してきた。
「レーザーカノン砲だ。出力は最大!果たして無事でいられるかなぁーッ?」
「後ろからも!完全にはめられたってか......。くっ......」
一呼吸おいてから格子に手をかけた。どんなに力を込めても、格子は地面と天井にガッチリと固定されていて、動かずに自分が押し負けてしまう。落ちてた尖った石をを拾って、こちらに狙いを定めウィンウィン唸っているマシンに投げつけてみたが、効果はない。
「最後の悪あがきかい?あと30秒ほどでチャージは終わってお前は元からいなかったように消える。骨や髪の毛、服の繊維一本さえ、この世には残らない。遺言でもあるかい?」
「このレーザー止めてくれよ、後生の頼みだ」
「い~や~だ〜。随分手こずらせてくれたからな、これで終わりだ。最後はあっけないほうがいいよ」
「じゃ、この牢屋開けてくれ、シャッターでもいいから、な?」
「しつこいな〜、嫌だ、いやだ、イ・ヤ・だ!もういい、聞かないよ、トドメだ!」
目がくらむほどのまばゆい光に囲まれ、凄まじい熱気に襲われる。
「どうやらやるしかねえようだな、失敗しても死ぬがやらざるを得ない!」
左手で格子を掴んだまま、腕を自分の胸に当てて、肉体に能力をかけた。
「な、何やってんだ!?自殺する気か!?」
「自分...の体......を生命エネルギーに変え...る......」
全体を変え終わり、意識だけが残っている。今オレは格子の中を流れているはずだ。何も見えないし聞こえない、何物も存在しない空間になぜか自分がいる。こういうのは全く初体験だ。
「(そろそろ抜けだすか......)」
外に出るのはあっさりとしていて、がっかりとまではいかないが「あ、ああ、こんなもんか」と言いそうになった。
「き、消えたと思ったらまた出てきた!一体何が起こってんの!?もうダメだー!逃げるしかない!」
女は振り返り一目散に走りだした。妖怪の本気というか、生きようとする姿勢が感じられる。一歩でも遠くに逃げなくては、とでも考えているのか。
さっきのトビウオ弾の着弾点にトビウオのうろこを付着させておいた。当然うろこは生物の一部。組み換えるのは容易いのだ。
「あ、足にイバラが...からまって!わああ!」
「あんなバクチやるほどになるとはな......。手間かかったが、終わったぜ......」
「ま、待て!謝る!謝るから!命だけは見逃してくれ!」
河童に命乞いをされる...妙な感じだが、これも受け入れていかないといかんのだろうな。この河童と仲よくしない手はない。さっきからの発明といい、科学技術といい利用できそうだ。
「まあ、待ちな。オレも少しばかり本気になっちまった。謝るよ。ほれ、傷は埋めてやる」
軽くお互いのことを紹介したりして、親睦を深め合った。落ち着いて話しあえば、素直な子でいい子だった。
「えーとそれでよ、迷彩装置の件だけどよ」
「ああ、お詫びも兼ねて前に作ってあったやつをあげるよ。そのかわり......たまにでいいから遊びに来てくれ。人間の友達が欲しかったんだ」
「いいぜ、いいぜ、友人にでも何にでもなってやるよん。これさえあれば、ふっふふふ、ハハッハハハハッハハハハハハッハァ......グフッ!」
「盟友!?どうした!?」
「ああ......いつものことだ...気にしねえでくれ......」
そろそろ「コレ」本気で治そうかと思ってるんだが......映姫様がお湯に浸かっているのを想像しただけ......。
「ゲボァ!ウグ...うう」
「盟友ゥーッ!!しっかりしろー!」
次話予告、新聞屋さんに食って掛かる主人公が登場




