第二十二審 命愛と書きなんと読むの巻
今回書いてて気づいたんですが、
茨戸が主体のときの気持ちとか状況描写が
雁来や映姫様と比べて苦手なんです。
主人公......。
でも、茨戸は主人公ぽくないなあ。茨戸はけっこうクズですよ。
〜紅魔館3階廊下〜
「テメーはこの茨戸秀が地獄に引きずり落とす!」
「ウラァー!ナニカッコつけてんだーーーー?お前も砂利にしてやるがーー!」
男が突進してきた。直感的にヤバいものを感じハンマーで迎撃した。
「初めてだな......コレ使うのは」
「鉄のカナヅチごときに何ができるというのだ」
ハンマーの先、金属部分に命を与えた。
「クマの手だ!鉄5キロの重さで引っ掻くぜ!」
肩に当たった。ハンマーの1本や2本使い捨てにしたって構わない。マイハニーを守るためならな。
「まともに受けたな!お前の肩はもう皮でかろうじてつながってるような状態!お前ごとき映姫様の手をわずらわせるまでねぇーぜ!」
「まだです、茨戸。しっかり取り押さえなさい」
映姫様に急かされ、とりあえず縛り上げてやろうとした時、男の手が自分の足に向かってのびてきた。
「うおっ、てめぇ!まだやろうってのか?死にたいようだな!」
「よくも、俺を怒らせたなああああ!!ぶっ殺すうううう!てめぇええええ、砕きちらしてやるぜええええ!!」
この男は......異常なほどのキレようだ......。口調も顔のパーツまで変わってるようだ。
「映姫様!下がってください!オレがなんとかします!」
先がなくなったハンマーの棒で男の顔面にクリーンヒットさせ、窓までふっ飛ばした。ガラスの割れる音を聞きながら外へ飛び出した、
「茨戸ーーっ!」
映姫様がオレを呼ぶ声が聞こえた、落下しながら映姫様に呼びかける。
「作戦があります!映姫様は小町さんを持って外に出てください!」
返事は聞こえないが映姫様は大丈夫、聞こえているはずだ。
ボタンを制服から引きちぎり、ツタを生み出し2階の窓に伸ばした。そこから、ジャングルのターザンのように移動窓を蹴破り、再び、中に入った。
「ハァー、ハァー。こっちに来い!映姫様を危険な目に合わせはしねぇ!」
窓から顔を出しあたりを見回すと男が壁を這い上がっていた。その目はただこちらを見ている。
「マイナーなホラームービーのキャラクターかあ!?本当に人間かよ〜?2階ってもロッククライミング上級者向けぐらいの高さだぞ!」
不満ぶつけてる場合じゃなかった。ひとまず2階の奥に向かった。接近戦は圧倒的に不利!触れたら石なんて対策の仕様がない。
「やるしかない、逃げることはできない、映姫様のためだ!」
野郎をどうにかして能力を封じなければ、小町さんと雁来は戻らない。それもある。だがオレは映姫様を最も優先する!当然、好感度を上昇させるためだ!
「さあ、来なよ〜!今度は、こっちがお前を石みたいに動かなくすっからな〜〜!」
大きく声を出して宣戦布告した。映姫様の地獄から逃げようとするものはぜってぇー許さないぜぇ!この茨戸秀は!
生命だ!確かに感じた、野郎の命を!間違いない、やつだ!
だが、どういうことだ?さっき顔をぶん殴った傷がない......。ハンマーの柄だけだったが、1キロくらいはある、くらえば軽傷ではおさまんないだろうに。
「フザケたマネしてくれたなああああ!!テメェが地獄に落ちやがれええええええ!」
マッチを擦って床に投げ捨てながら言った。
「テメェがまず!この世から消え落ちろッ!」
マッチの小さな火が、導火線へ移動する。ついた火は音を立てて、導火線を燃していく。その先にあるのは、何本かでひとくくりにされたダイナマイトだ。
「な、何だこれは?ココごと俺を吹き飛ばそうってのか?」
さっきまでの声色と違い、怯えを感じる。
「NOだ!!お前を吹き飛ばすために、爆破するんだぜ!」
ドドドドォーーーーーン!!
手当り次第のものが窓から飛び出していく。壁も耐久性の限界に達し、崩れ落ちていく。ドアも真ん中で折り目がつき開けられることはないだろう。
「木の防護壁。すっごいな。2階の半分が3階の吹き抜けになったぜ......。さすがにヤツは微塵になったろう......」
かちっ、かちっ。耳に何かの音が聞こえてくる。まるで、固いもの同士をぶつけ合わせたような......。
ばっと、後ろを振り向くとそこには見たくない男が半身岩になって立っていた。
「確実に殺す!お前だけは許さない!俺の第二の人生を邪魔するものはみんな石にするうううううう!!!!」
「出たァーーーー!!なぜだ!あれをくらって生きていられるのか!?」
さっきの作戦で頭は使い果たした。もう正々堂々戦うしかない。
「よし、来い!映姫様には指一本どころか同じ空気も吸わせる気はねえぞ!」
「さっきから、閻魔のためだとかばかり言いやがって。お前、あの閻魔ことが好きなのか?」
考えるまもなく殴っていた。そのとき自分の中を駆け巡ったのは恥だとか怒りではない。もっと強く、もっと真っ直ぐなものだった。
「ぶげあっ!ふ、不意打ちとは......。し、しかし、お前は俺の能力のスイッチを自分で入れたのだ!見な!手がキレイに岩になっていくぞおおおお!」
殴った右手が動かなくなっている。手という感覚はあるが動かない。
「おい、ホコリ野郎。何で右の手で殴ったかわかるか?」
「知るもんかああああ!!左も等しくしてやるぞおおおお!」
右手で向かってくる男を叩きつけ、こう言った。
「左手はウェディングリングをはめるからだ、もちろん映姫様のリングをな。左手で映姫様に愛を捧げる」
「フ、フフヒヒヒ!閻魔に愛?だーははははへへへへへへへ!大バカものはどこにでもいるんだなあ!お前があれと結婚!?おかしくって顔がにやけてくるぞ!ならば......先に......」
「何だとォッ!この砂利野郎!」
ぶん殴ろうとすると、やつの生命反応がなくなった。あるのはやつの形に掘られた、ただの石だ。
「消えやがった!どこだ!出てきやがれ!オレが殴りのばしてやる!ゼッタイに許さねえぞ、コノッ!」
瓦礫を蹴飛ばしながら探していると、ようやく正気に戻れた。感覚器官で感じた、周りの状況がやっと頭に届いた感じだ。
「さっきあのワタゴミ野郎、『先に』とか言っていた......ような......。まさか!」
窓から外を見回す。あの先に、の意味が先に映姫様を手をかけようって意味だったとしたら......。
なんてこった!あいつを映姫様から引き離したのに、オレが引き離されちまった。
「映姫様!どこにいるのですッ!野郎が逃げました!お気をつけてください!」
手を石化している直前で切り落とし新しいものに付け替えた。痛みは激しいが、叫んでいられない。
オレがついていながらに、こんなことを!あの野郎ゼッタイに許さねえぞッ!
・
・
・
・
・
〜映姫サイド〜
「よいっしょっと......。小町、思っていたより重い......」
やっとの思いで中庭に出る。茨戸なら、きっと捕まえてくれる。あの男は命令は忠実にこなそうとする。どういうつもりなのかはわからないが考えがあるんだろう。私が迷うなんてらしくないじゃないか。心配することはない、大丈夫だ。
「見〜〜つけたぞ〜〜〜。閻魔〜〜」
振り向くと、すぐ後ろに黒麻が立っていた。茨戸はどこにもいない。
「黒麻明!茨戸はどこにいるんです!」
「教えたところで、お前はもう助けられない。どんなに地獄で偉かろうとも、この世じゃお前は、誰一人救えないんだよ!」
「だまりなさい!あなたをもう一度!地獄に落とします!」
小町を置いて、身構える。自分が震えているのを感じた。
普段なら罪人の意見なんか聞き入れないが、さっきの言葉には胸の内をえぐり取られたような気分になされた。
「判決はもう決まっています!無期懲役!くらいなさい!審判『ラストジャッジメント』!」
「弾幕ごときが!相手になるか!隙だらけだ!」
ドゴオ!!
お腹のあたりを衝撃が襲った。腕でお腹を貫かれたようだ。痛みは不思議とない。代わりに傷口から石化していく。
「そ......そん......な。馬鹿な......」
「他人の死に目の表情を見んのは気分が良くなる!まだ死ぬなよ......。あの男にその顔を見せてやる!」
茨戸のことだろうか?生きているのか。良かった、無事ではないだろうが。
「死ぬ前に教えてやろう、俺は体を違う岩に乗り移れることができるのだ。傷なんてのは、体を取り替えてしまえばなんの問題ないんだよ!さっきのも、お前の後ろの岩になっている地面へ体を乗り換えた!後ろからの不意打ちもわからないようだな!」
手を足で踏まれる。手の甲が赤くなり、それよりもっと赤い血が溢れ出てくる。
「う...い...はあっ。う...う...はぁはぁ」
「閻魔ともあろう女がよ!大したことねぇなぁ!ほらほら、左手が真っ赤になるぞお〜〜!」
「テンメェええええええ!いたなぁぁぁッ!映姫様に何してやがんだァァァァァァァァァッッッ!!!!」
バッゴォオーーン!!
左手が解放された。まだジンジンしているが楽になった。
「映姫様ッ!ケガを見せてください、傷はオレが埋めます......大丈夫です、激しく動かさなければ開くことはないっスから」
「私よりも、罪人を!黒麻明を!」
「わかっています。でも...映姫様を放ってはおけませんよ。ましてケガしてるっていうのに。オレの不注意で映姫様にケガさせたみたいなもんですし......ね。わがままっスけどわかってください」
茨戸秀......。よくわからない。この非常時に何を考えているんだろうか。ただの優しさなのか、それとも何か違うものが茨戸を動かしているのだろうか。
「さてと、もうキレたぜッ!ぶっ殺してやるぜッ!黒麻明ッ!」
「殺すだ?やってみな!そうすりゃお前も同じ罪人になる!それでもいいんですかねえ!」
「それ以上しゃべると寿命が無くなるぜーッ!」
さっきまでの慈愛にあふれたような顔が変わり、怒りの絶頂に達した顔で茨戸は向かっていった。あの顔は人を殺してしまう顔だ。
「や......やめなさい...。茨...戸...。殺しては......なりません......」
茨戸の足が止まった。振り向きはしなかったが手の握る強さは少し弱まっているようだった。
「映姫様......止めようってんスか......?この油汚れ野郎に小町さんも、雁来も、何より映姫様が!」
「どんな人間でも、その人間にどんな過去があろうと、同じく等しい命を持っている。あなたならよく知っているはずです......。その命を奪うのは大罪です......」
「それは...わかって...ますよ......。でも、このヘドロ野郎のせいで、あなたまで...映姫様まで、死にかけてるんですよ!?」
「命令......です。わかりました......ね?ば...ら......と......」
返事はなかった。耳まで石化したから、ただ聞こえなかったのかもしれない。最後には何も見えなくなって、意識が奪われた。
・
・
・
・
・
「映姫様......。あなたは、いい人すぎますよ......。どうしようもない垢だらけ野郎を殺すな、なんてよ......」
ついに映姫様がやられちまった。オレのせいだ......。映姫様を1人にしなければ、こんなことには......。
「安心しろよ。すぐに嫁さんのところに送ってあげるからな!」
パンチを受け止め、殴りかかろうとした。だが腕は当たる直前で止まった。
「な、何がしたいんだ?さっきまでの怒りはどこいった?」
映姫様の言葉が脳裏に思い出された。『その命を奪うのは大罪です.....。』
「......。わ.....わかりましたよ、映姫様......。この茨戸秀、命令は守り通しますよ......。もっともこいつには殺す価値もなかったっスから......」
「お人好しもここまでくると病気だな!お前が俺を殺さなくても、俺はお前を殺す!!さぁ、ファイナルバトルだ!!」
次で決着か!?
乞うご期待!!




