第十九審 地獄の弾幕修行の巻
今回は修行編です
でも修行感はないです
多分茨戸がフルスロットルです
間違いなく茨戸が平常運転です
永夜異変から数日後のある日......。
オレは映姫様に呼び出しを受けた。何をしたわけでもないんだが。もしやアレか?ちょっと仕事サボって合コン行った件。あれは小町に来いって言われて仕方なく......。
「映姫様、アレは小町さんが!」
「小町?何のことです?私は茨戸に教えることがあるから呼んだんです」
「教える...こと...。あ、じゃあ合コンのことはいいんスね」
「教えること、と言うのは『弾幕』と呼ばれるものです」
そう言うと映姫様が小さなカードを取り出した。
すると、まばゆい綺麗な光が走り鮮やかで美しい光景が出来上がった。光に触れようと手をかざすと痛みが刺した。
「イッてぇぇー!!何スか?これ、レーザーとか超高圧縮物質とかっスかぁ?」
「これが弾幕です。科学の塊、決勝とかいうものではないんです」
この幻想郷ではメジャーな決闘とか戦闘方法。何でも強者と弱者の差を無くすために作られたとか。弾幕と呼ばれる弾を使い相手を攻撃するという、シンプルだが奥深いゲームだ。
「私ってばついうっかり、言うのを忘れていました。茨戸、あなたはこの弾幕を訓練しなければなりません」
「面白そうっスねぇ~!やりましょう!」
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「あの...映姫様...ハァ...ハァ...」
「どうかしましたか?」
「いや、本当に弾幕の訓練なんスよねぇ、コレ......」
剣山地獄の針の上で静止したまま12時間、自分は何をしているんだろうと言う気分を通り越して、自分の存在意義を疑い始めたくなる。
「弾幕勝負で一番重要なことは落ち着くことです。精神を集中させ気を沈め、相手の弾幕を避けること。それがまず大事なのです。所詮は遊びですが死人は出ます。あなたのような人間は、それが大事なのです」
耳に正論を叩きこまれた。映姫様は指導者としても超一級品だ。やはりこの人に一生ついていこう。
「......わかりました。けど、あとどれくらいこのままなんスか?」
「12時間です。夜食は運んできてあげます」
「う......聞いただけで意識が......」
「わかってると思いますが倒れたら、そのまま地獄に落ちますからね」
こういう時は気の持ち用で変わる。映姫様は『茨戸は大丈夫』と信じているからこういったんだ!あ、やっぱりだめだ、足が辛い......。
「茨戸、もう限界ですか?」
「な、なんてこと......ないっスよォー。ちょっち、クラっときたんでね」
こういう極限の状況だと今まで見えなかったものが見えてくる。今もそう、映姫様にちょっとSなところもあったというのがわかった。そそるぜ。
「グファッ!」
「吐血するほど辛いですか......。でも、頑張ってください。あなたならできます。終わったら食事作ってあげますから」
「マジっスか!よっしゃ意識完全回復だぜぇ!うおっしゃああああ!」
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~そして12時間後~
「ゼェー...ゼェー...ハァー.......頭がグワングワンするぜ......」
「はい、第一練習合格です。ご飯は作っておいたので食べていいですよ」
「はい...ありがとう...ございます......」
うまい、うまい。やっぱり米だよ、白米。味噌汁に米!これが世界の理だぜ。
「よっしゃ、映姫様。次いきましょう、次!」
「いいですけど、寝なくて大丈夫ですか?」
「必要ありません!映姫様の料理のおかげで目が冴え渡りまくりっスから!」
「元気でいいことです。では、撃ち方を教えましょう」
そう言って、映姫様が後ろに回りこみ自分の腕を掴んで上げてきた。
「うおぉぉぉ!映姫様ァ、何を!?」
「いいですか、まず、手を広げて、そのまま自分の向いている方向に向けるんです」
「ハ、ハイ......(なんて近い......しかも、手が柔らかい......)」
「そのままの姿勢で、手の前の空間に意識を集中させるんです」
「こ、こうですか......?」
言われたとおりにすると、空間に小さな光球が出来上がった。
「できたじゃないですか。最初はここまでが難しいんですよ。茨戸は筋が良いです」
「ハ、ハハ、それは...どうも......はぁー、ハァー」
「ここで気を緩めると暴発しますからね。このまま真っ直ぐ直線上に飛んで行くように意識して」
「はいぃ......(頭が暴発しそうだ......)」
知らないということは恐ろしいことだ。身にしみてわかった。黙っていても息があがる。
意識が何回か飛びそうになるなか、かすかな意識をかき集め手に力を込める。弾幕を出しているという感覚というものはないが、そこにあるということは感じ取れる。
真っ直ぐ飛んでいけ、そう弾幕に訴えかけるようにすると飛んでいった。ゆっくりだし、弾道もぶれているが。
「基本はこの弾幕です。初めてでこの弾幕は優秀です。よくできました」
「ァ、アリガトゴザイマス......。ソ、ソノ前ニチョット寝カセテクダサイ......」
「眠くなりましたか?いいですよ、しっかり体を休めてください」
本当にヤベぇ......。横になりたい。幽々子に殺されかけた時よりヤヴァイかも知れねぇ。これ以上近寄られたらぶっ倒れるのは、虫が光に集まるより確実だ。
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「復ッ活ッ!!映姫様!!この茨戸、もう弾幕のコツは掴みましたよ、ほら!」
弾幕を辺りに飛ばしてみせた。基本は丸だが楕円形や四角にもできる。別に丸でいいけど。
映姫様は避けようとせず、弾幕に触れようとしている。
「まあ、威力は中の上ってところですね。まだ伸びしろはありそうですし」
「ふ~ん。そういえば、映姫様。最初に見せてくれたのものは何なんスか?」
そう聞くと、また映姫様がポケットからカードを取り出した。
「なるほど!この紙切れを使うんスね」
「いいえ、このカード自体はただの紙です。力も何もない、ただ今から激しい攻撃をする、そういうことを教えるカード。名前はスペルカード」
思っていたものと違い、肩すかしをくらった。ということは、あのレーザー放射も自分の力でやっていたのか?なんてこった......。
「スペルカードのことを説明する手間が省けて助かりました。それでは茨戸、最後の訓練です」
「あの苦行に比べれば、な~んてこた~な~いっスよ~~んっ!」
「ほう、じゃあ私を打ち負かすことなんて余裕だと言うんですね?」
「そりゃあもう......え?な、ななななんですってぇーッ!?」
映姫様と戦えっていうのか?無茶だぜぇ!!まだ教わったばかりだっつうーによお!
「ちょちょちょちょ、映姫様!オレはまだ初心者さんなんスよ!?」
「大丈夫です、ある程度の手加減はしますから!でも、茨戸が勝つまでやりますよ!」
「いやいやいやいや、ぜんぜん無理、ぜんぜん無理!」
「男の子が弱音を吐かない!さっそくいきますよ!」
「ちょ、映姫様っ!いきなり激しすぎ、優しくして、やさしくっ、ああああああ!」
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~一方、雁来側~
「イタタ......。大分強くなったねぇ。アタイの負けだよ」
「ふん、弾幕......か。もうすべて理解した。大したことはない。それで、茨戸は誰に教えてもらってるんだ?」
「四季様がついてるはずだけど。あの人なら大丈夫だと思うよ。秀が心配だけど......」
「あいつとあの閻魔とまともに戦えると思うか?まあ、戦うのはいいとして勝てるとは思えない。茨戸の精神が崩れ落ちるのが先だろう」
茨戸のことは信じている。だが少し、いや少しじゃないが変わっている。ただ、茨戸は真っ直ぐだ。曲がらない何かを持っている。そこだけは目標にできる。
「私がどうかしましたか?」
振り返るとそこに閻魔が立っていた。後ろには茨戸もいる。
「だ~れが映姫様に勝てねえってぇ~!?雁来クンよぉ~!」
今ので宣言撤回だ。目標にはしたくない。
「......勝てたのか?なんか、大分やつれてるが」
「1勝、130敗、5引き分け。全136試合だァァァァ!」
「もういい。うるさい」
次回はちょっとオリジナリティーあるようなことしようか、なんて考えております




