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東方創生判  作者: オリーブ油
永夜抄編
18/38

第十八審 紅白いのと狐と烏の巻

永夜抄最終回なのか?

廊下から声が聞こえてくる。

「おかしいわね。誰かが出てくると思ってたんだけど」

「あそこにウサギが倒れてるわ」

 声は段々と大きくなり、部屋に2人の少女が入ってきた。

「あら?永琳が男を雇ったのかしら?」

「誰だ?この女に用があんなら無理だ。さっき倒しちまったからな」

「倒したですって?あの永琳を?」

 女の片割れが近づいて寝てる永琳の側にしゃがみこんだ。

「あら本当。ま、手間が省けて良かったわね、霊夢」

「え?ええ」

「霊夢だと?聞いたことがあるような気がするぜ」

 記憶の引き出しの奥底から記憶を引きずり出す。そうだ、確かあの白黒魔法使いがなにかそんな風に言っていたような。

「私は博麗霊夢(はくれいれいむ)。そんなに有名人かしら?」

「さあねえ、オレは茨戸秀。よろしくね」

 2人が驚いた顔でこちらを見てきた。それを見た自分も少しびっくりした。

「あなたが茨戸......。もっと年上かと思ってましたわ。私は八雲紫(やくもゆかり)ですわ」

「......よろしく」

 なんだろう。この嫌なオーラは。体がこの女の事をニガテだって拒否反応示してるぜ。

「この前の春雪異変に続き、この月の異変まで解決しようとしたってとこかしら?」

「月ィ?オレはこの夜をもとに戻すために来たんだ」

 自分で言って思い出した。よく考えたら月はおまけみたいなものだった。

「そうだぜ!この夜を止めてる奴を倒せって言われてんだ!こんなところで油売りさばいてる場合じゃねーぜ!」

「あー......言いにくいだけどさ、それ私らなんだわ」

「ハァ!?テメーらかァ真犯人は!!」

「いや、別にそういうわけじゃなくて、この月の異変を解決しようとするために止めたのよ。ほら朝になったら面倒だし」

 同業者が犯人だったというわけ......なのか?よくわからんが敵ではないらしい。

「ねえ、ところで、気になってたんだけどなぜ異変を解決してまわってるのかしら?」

「映姫様の命令だ。上司命令だから断る訳にはいかない」

「映姫......ああ、あの閻魔!」

「私、あの人ニガテなのよね」

 映姫様は休日に幻想郷の住人に説教してまわってるらしい。映姫様曰く、罪を少しでも軽くするためとからしい。

「閻魔の部下ということは、地獄の人間なのかしら?」

「いずれは地獄のNo.2になるぜ」

 ......あれ?何か忘れているような......。

「そうだ、夜!!おい、この夜を早く戻せ!!月をいじってた奴はオレが倒したからいいだろ?」

「誰を...倒した...ですって?」

 さっき炎に巻かれた永琳が復活した。

「チッ、もう復活してきやがった」

「あなた、なぜ月を入れ替えたのかしら?」

 紫が質問した。彼女には風格というか貫禄みたいなものがある気がする。目に見えない圧力みたいなものがある。

「それは、月の追手を避けるためよ。入れ替えれば、ここは外からは入ってこれないですからね」

「あーあのー、ちょっといいかしら?」

 霊夢とかいう紅白巫女服女が話に入ってきた。見た目そんな強そうには見えないが、異変を解決しようとするというのだから実力派あるんだろうか。

「幻想郷には『結界』が張られているのよ。ウチらが張ってるんだけどね。だからその......二度手間になってるわよ、あんたのやったこと」

「え......?」

「(え、結界?そんなのあったの?知らねぇぜ、オレ。)」

 巫女が言うには、外の世界と幻想郷の行き来をほぼ不可能な程に強力な結界らしい。全く通った覚えはないけれど。

「だから、何もこんなことをしなくても、あなた達の安全は守られているのよ。わかった?」

「......そう、ごめんなさいね」

「解決したか?じゃあ、早いとこ夜を元に戻せよなぁ~っ!」

「はいはい。でも、結構掛かるかもねぇ」

 外が急に明るくなり日差しが窓から差し込み顔を照らした。

「お、やれば意外とできるじゃあねぇの」

「え?まだ解除の最中なんだけど......」

「でも外はもう明るく......」

「明るくしたわよ」

 聞いたことない声が聞こえて顔を上げると、髪の長い和服の女が立っていた。

「誰!?まだ誰かいたのかしら?」

「まだ相手はいたわね」

「待ちな、2人共。あんた、かぐや姫だな?」

 長髪の女はうなずいて、微笑んだ。

「ええ、そう呼ばれたこともあった。私は蓬来山輝夜ほうらいざんかぐや

「姫様......?」

「月からは誰も来れないんでしょ?じゃあ、別にいいでしょ!」

 永琳よりものわかりがいい。それとも信じやすいだけの素直な子なのか。

「とりあえず、夜が終わらせてくれたことは感謝する。かぐや姫。雁来、帰ろう」

「茨戸とか言いましたか、たまには遊びに来てね」

「姫様!そいつは危険です。先程まで私の命を狙っていたんですよ!」

「何も危険はないもの。命まではとられない。もちろんそこの2人もね」

「「......」」

「ま、たまには来てやるぜ。嫁が風邪でもひいたらなぁ。介抱してやらねーといけねからなぁー」

 光が目に突き刺さる。半日日光にあたっていなかったせいか、目がなかなかなれない。虹彩が鈍っている。

「嫌な夜だったぜ......。まだ朝の気分だ......。おい、姉ちゃん。霊夢とか言ったな、さっき何とか結界を張ってるとか言ってたが......何だ、そりゃ?」

「え?あんた、見ない顔だから外から来たと思ってたんだけど、通って来なかったの?」

「そうね、結界を通り抜けなければこっちには来れないはずなんだけど」

「紫が話すと話が面倒になるからもう帰りなさい」

そういえばこっちに来たのは死んでからあの世を通ってか。そういや、オレ1回死んでたなぁ。

「ああ、そのややこしい話だがよ。こっちへはあの世を通って来たのさ。表現するなら、外からこっちの彼岸、こっちの彼岸からこっちのこの世っつー訳だ。ぶっ飛んだ話だとは思うが」

「......あの世ねぇー。ま、そっちにまで結界は張っていないし、これから張ろうとも思ってない。網の中をすり抜けるのではなく、網を避けてこっちに......。面白いですわ」

「なあ霊夢、協力しようぜ。オレも、お前も異変を解決する。利害の一致ってやつだ、手を組もうぜ。悪い話じゃないはずだ。いいだろ?」

「興味ないわ。うかつにあの世の人間を信頼もできないし」

 思ってたよりも大人な対応。SO COOLな女だ。嫌いじゃないが結構キツイ。

「そうかい、じゃあいい。オレは柔軟なんだ。気が変わったら声掛けな......ムッ?」

 シャッター音が3回響いた。生命反応も感じ取れる。場所は......木の上か?

 石を拾ってから、いつもの要領でトビウオの弾丸を放った。

「ぐぴゃあっ!」

 悲鳴を上げながら10mはあろうという木から落ちてきた。まわりは今のでようやく気づいたようだ。

「黒い羽......か。カラスみたいで気に食わねぇ野郎だ。霊夢、知ってるか」

「新聞屋の烏天狗よ」

「はい!文々゜新聞の清く正しい射命丸文しゃめいまるあやです!取材させていただきたいのですが!」

 わからないが怪しい物を感じる。茨戸秀の細胞がそう叫んでいる。

「新聞屋さんか......悪いが取材はまた今度だ。取材ならあの2人に聞きな。あとカメラは手から離さないようにな」

 カメラをカラスに生まれ変わらせた。嫌いな鳥だからか荒っぽい性格になったようだ。

「このカラスは一体どこから、きゃあああああ!」

「これは......茨戸の能力......」

「地獄の人間が持つ能力にしては、命に溢れてるわね」

「映姫様ァーーーーーッ!ただ今戻りましたァーーーーー!」

「茨戸、そう、あなたは少しうるさすぎる。そこのところを少し......あれ、茨戸、肩の小さい子は何ですか?」

「え?カンボのことですか?オレの能力で生み出したネズミですけど」

「ちょっと貸してください」

 カンボを手に乗せ映姫様の手にそっと置いた。

「よしよし、ああ可愛い。名前はなんていうんですか?」

「カンボですけど」

「カンボですか......綺麗な瞳ですね。茨戸、少しこの子を借りていていいですか?」

 カンボがとてもうれしそうに鳴いている。何よりも映姫様が欲しいというのならあげない理由は無い。

「いいですよ。なついてるみたいっスから」

「ありがとうございます。ふふ、いい子いい子」

 これほどまで、ネズミになりたいと思ったことはない。映姫様の手に触れてもらえる!なでてもらえる!いい子いい子してもらえる!あわよくば、映姫様の指を舌で舐めることだって可能!!これ以上の幸福はない!

「肩に乗りますかね、あ、乗った。はい、よくできましたね」

 何......。予想外、肩に乗れば......確実に映姫様の髪の毛に触れられる。い...いや...それだけではない......。首だ!首筋をッ、あの近距離でッ!!なんてこった......。我ながらなんて生物を生み出しちまったんだ......。

「おー、ホントなついてるなー(このドブネズミが!クッソ~、オレの願望を先に全部叶えやがって......なんてうらやましい......)」

 なにも知らないでこのネズ公は......。ああ、猫に小判、豚に真珠、ウサギにルビーだぜぇ......。

 ......!?お、おい......まさかあの「位置」は!胸を......!いや違う!それだけじゃない!

 映姫様の制服は(オレのも一緒だけど)首んところは襟が立たせてある。確認したが、首と襟の間には少しの隙間しかない。指2本が限界ってとこだろうか。だがネズミなら、その隙間に潜り込める!つまり......胸と胸の隙間に入れる......。

「グハァッ!」

「茨戸!?どうしたんですか!?」

「(いかん、茨戸のバカ、またろくでもない妄想を......。)」

「えぇ、大...丈夫...です」

「でも...こんなに血が...」

「あぁ、これは...あれです...口内炎...そう、口内炎です...」

「(血を吹き出すほどの口内炎なんて聞いたこと無いよ!)」

「大丈夫ですか?薬でもとって来ましょうか?」

「(今の嘘が通用したの!?嘘を見抜けよ、ダメ閻魔!)」

「大丈夫です......。ちょっと寝てれば治ります......。ガハァッ!」

「茨戸!?」

次回は茨戸の弾幕修行編です

修行編は読者に不評とかゴホンゴホン。

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