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東方創生判  作者: オリーブ油
永夜抄編
15/38

第十五審 ネズミとウサギは夜行性の巻

とにかく状況描写に目覚めたオリーブ油です



 "竹は1日でゆうに1mは伸びる。家に新聞がある人は開いて、長方形の対角線を見てみよう。おおよそ1mだ。当然竹も植物の一種だ。だがここまでの成長力をもつ植物はもう生まれないだろう......。"

「竹がありー、たーけーがあーりー、また竹がありー......」

「ついには?」

「たぁーけぇーがぁーあぁぁるぅぅぅ」

「いかん、ついボケを煽ってしまった」

「やれやれ、どうやら迷っちまったようだな」

この竹林に入ってから約一時間経つ。依然何も見つからない。夜の暗さも手伝われ、余計に道が分かりにくい。

「どうする?引き返す道もわからない」

「そうだなぁ、お互いの持っているもの全部出してみるか」

 ポケットやバッグからあるもの地面に撒いた。

「えーナイフ、手帳、財布、ハンカチとティッシュ、鍵......って何だよこれはッ!」

「何って......仕事するときの持ち物だが?」

「何だこの真面目な持ち物!女子か?お前はァー!」

「じゃあお前のは何だ?使えるのは武器ぐらいで、あとはせんべいとか割り箸とかろくなものがない」

「まだいっぱいあるぞ。内側のポケットにはソーイングセットとかマッチとか入ってるぜ」

 雁来はいい顔はしなかった。当然といえば当然だ。良い反応を期待した自分が悪かった。

「こんなんで、どうやってここを抜け出せばいいんだ......」

「なあ、連立方程式ってわかるか?」

「俺はお前より先輩だ」

「知ってたか。そいつの解き方には2つあるだろう?1つは教わったような解き方で解く方法......。もう1つはひたすら合う解の組み合わせを当てはめていく方法だ......。一緒だろ?XとYを求めることと、東西と南北を求めることは」

「その考えがどう役に立つんだ?」

「確かにオレたちは解き方も知らないしずっと歩いていてはいつになるかもわからない......」

 ボウガンを取り出しながら話を続けた。最近使っていなかったせいか動きが悪い感じがする。

「だから、奥の手を使うんだ」

 雁来は目を丸くして聞いてきた。雁来らしくない顔だ。

「奥の手?マッチで火を点けて家ごと竹林を焼き尽くそうってのか?」

 ボウガンの矢を指の間にはさみ、今の空のような色をしたくろぐろとした矢じりをネズミに変えた。ネズミは手首、二の腕と向かって歩き、そこが気に入ったのか肩に身を止めた。

「お、結構可愛くできたな。そうだな、お前の名は......カンボとかどうだ」

 肩に手をのばすと手のひらに乗り移った。カンボと名前を呼ぶとしっかり反応してネズミなりの表情を見せてくる。

「ネズミなんかでどうするんだ?道でも教えてくれるのか?」

「ああ、教えてもらおうぜ。ネズミ達にな」

 カンボを肩に乗せさっきの要領で矢じりをネズミに変えていった。途中で矢が無くなり、落ちている石も拾っては生まれ変わらせた。

「1匹、2匹、3匹、4......あれ?こいつさっき数えたような......」

「ざっと見て200匹だな。都会の奴らが見たら気分を崩すぞ。こんなにネズミを生み出してネズミの会社でも作るのか?」

「ネズミは体は小さいが、脳は他の小動物たちより発達してるんだぜ。ネズミ捕りの罠にネズミが引っかかる。そのネズミを罠から逃がしてやるとどうなるかわかるか?」

「恩返しでもしてくれるとか?」

 雁来が冗談を言うとは珍しい。ネズミに人間の話はわからないようでまことに遺憾である。

「もう2度と罠にはかからないんだ。ネズミは学習する動物なのさ。そこでこのネズミ達に竹林を歩いてもらう。竹じゃない人工物が見えたら主人の元に戻ってくるように命令してな」

「なるほど、帰ってきたネズミに案内させるのか」

「ご名答。んじゃ早速、行けッ!ネズミ達!」

 ネズミはまるで軍隊の行進のように走り始め、5~6匹のチームを組み、16方位に向かっていった。

「おい、そのネズミはいかないのか?」

「カンボのことか?こいつオレにすげーなついてんだよ。なんか愛着わいちゃってさ」

 カンボは肩に乗るのが好きらしい。ときどき頭をなでると声をあげて甘えてくる。映姫様ほどではないが可愛い。

 10分ほど経つとグループが2つ同じ方向から帰ってきた。ということは信ぴょう性は高い。ネズミにすぐその場所に戻るように指示した。

「こんなに早く見つかるとはな。優秀なげっ歯類だ」

「オレの能力で作ったんだ。当然だぜ~」

 ん?1、2、3、4......。なぜこっちのグループ4匹しかいない?この2つのグループはどちらもたしか6匹ずついたはず。なのに今、全部で10匹だけだ。いや、考え過ぎか。きっとはぐれたんだろう。

「おい......どうやら、見えてきたようだぜ......」

「あそこにかぐや姫がいるはずだ。それと月に住んでた女もね」

 和風な作りな屋敷だ。白玉楼とは違う時代のつくりだろう。そうとう昔から建っているのに、新築のようなものを感じる、不思議だ。

「どうする?入るか?」

「ああ、入ろうや。そろそろ夜を終わらせてもいいだろう。雁来、ノック頼む」

「お前がやれよ。ニガテなんだよ、こういうの」

 自分もこういうのアレなんだよな。緊張というかなんというか。

「なあ、一緒にやらない?」

「断る」

 舌打ちしながら怒りをぶつけるように戸を叩きつけた。だが、どこからも声は聞こえてこない。

「......留守か」

「よし、ここまで来たんだから入ろう」

「不法侵入罪だろ」

「構うことはねぇ。こっちは捜査令状もらってんだ」

 バンッ!と戸をぶち開け、家の中に進んだ。中は夜中のせいか薄暗く、足下が危なっかしい。玄関を抜けると、外国の道路のように長い廊下が見えない先まで続いていた。

「現実じゃないよな。外観の割に広すぎる」

「横幅だけで10mはあるぜ。下手すればさっきの竹林より厄介かもなぁ」

 またネズミを使うか、と準備をしていると、

『ドギューンッ!』 

と何かが風を切って飛んできた。

「おい!見えたか雁来!何だ今の!」

「わからない......。だが、当たっていたら傷になってたろうぜ......」

 脳裏に一抹の不安を感じた。ネズミが減っていたことだ。さっきの高速移動体が原因か。

「茨戸、今俺が思っていることを聞きたいか、あまり良いことじゃないが」

「話してみろ。処分は後で考える」

「もしかすると、今のは威嚇だったのでは......とか」

「......。お前の考えがトゥルーだとすると......さっきのが無数に飛んで来るのか......」

「すまねぇ、茨戸。俺は変な時ばっかり勘が当たるようだ......」

 さっきの高速移動体が無数に飛んで来たのだ。

「ううっ!伏せろ!茨戸!」

「わかってんだよぉ!でも、今見えた!これは白い弾丸のようなものが飛んできてんだ!」

「じゃあ、拳銃があるのか!?こっちの世界に?」

「それを考えるよりも撃ってくるやつを倒すことを考えろ!」

 疑惑が確信になった。慧音さんから話を聞いた時この永琳が犯人だったらいいな、なんて思っていたがオレの勘も優秀なもんだぜ。

「それより雁来、なんで空気で防御しない?」

「それが、さっきからやってんだがすり抜けていくんだ。一体どうなってんだ?」

 弾丸は激しさを増して飛んで来る。

「らちがあかねぇぜ!鉄球を撃ち込む!」

 ボウガンを取り出すと雁来が手をかけてきた。

「やめろ!そんなもの撃てば居場所が知られる。このまばらな状態なら何とか避けられるかもしれないが、重点的に撃ち込まれたら蜂の巣だぜ!」

「『撃つ』と言っても、この廊下にだぜッ!」

 ぶち込まれた鉄球は廊下にヒビを入れ、穴を開けるに至った。反動で肩に衝撃がかかったせいで、カンボが腕を転がり落ちていく。それを手のひらで受け止め、床下に潜った。

「やっぱり誰かが廊下を広く見せてたんだ。さすがに、ここまではやらないみてーだがな」

「どちらにしろ、居場所はわれたか。ある程度かくらんさせられればいいが」

 上の廊下より狭く短い下の道を這って進んでいく。ある程度進み、次は上に向けてもう一度鉄球を撃ち込んだ。雁来にはまたやめろと言われたが、この狭い中で見つかっては避けようがないから、と説得した。

「うう、まぶしいぜ。だいじょぶか?」

「木片が飛んできたけど大丈夫だ」

「いや、お前じゃなくてカンボだよ。ん、よく考えたらネズミは夜行性か」

 畳を上に上げはい出てくるとそこは小さい部屋だった。空気がほこりっぽい感じがする。

 とりあえずあの永琳を探そう。ふすまをゆっくり開け、奥に向かった。

「行けども行けども、同じ部屋みたいだ」

「止まれ雁来。9m先に何かいる。人間ぐらいの大きさのうさぎか?」

「うさぎだと?あの歴史家が言ってた月のうさぎか?」

『ドギャーンッ!!』 

 この聞きたくない音は。もうこんなに早く追いついてくるとは。

「さっきの弾丸だ!逃げるぞ雁来!」

「わかってる!けど、さっきよりも数が多いぞ!」

 ふすまを踏み倒し、隣の部屋に逃げると大きな部屋に出た。まるで宴会でもやるような部屋だ。物が雑多に置かれてある。誰かの部屋なんだろうか。中央にはさっき感じたウサギがいた。ウサギと言っても人間にうさ耳を付けたような見た目だが。

「うわああ!びっくりした!誰!?一体どこから入って来たんだ!?」

 知らない人間が突然部屋に入った時の反応は、ウサギも人間も変わらないようだ、面白ぇ。

「てゐ、どかないと侵入者ともども撃つわよ」

 後ろから聞こえた声に振り向くと、もう1人バニーガール(ド直訳)がいた。

「ふー、あんたか?さっきからバンバン弾を撃ってた奴は。今、侵入者って言ったな。少し誤解してるようだなぁ。オレはノックはしたし、出なかったお前らが悪いんだ」

「下手なとぼけを、月の犬め。私を連れ戻しに来たんだろ」

「やれやれ、話がアメリカンフットボールだぜ。月の犬だって?オレは犬って言われんなら、閻魔の犬って言われたいね。おっと、話がそれたか。永琳という奴に会いに来た。どこにいるんだ?」

「私ばかりでなく、師匠にまで手をかける気か!」

「ししょー?だったら話が早いぜ、そこまで連れてけよ」

「黙れ!今引き返せば、私も鬼じゃない、命は見逃してあげるわ」

「引き返すとなるとまた迷って面倒でねー。送ってってくれんなら考えるけど?」

「ええ、私が地獄に送ってあげるわよ」

「覚えとけ、バニーガール。この罪は重いぜ」

雁来&てゐ「(まずい、会話に入りにくい......。)」

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