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東方創生判  作者: オリーブ油
永夜抄編
13/38

第十三審 長い夜のアンファングの巻

 雁来が来てから半年は過ぎたろうか。春雪異変のことは忘れ去られ、季節はすっかり秋である。秋は好きだ。今まですべての生き物が苦しんでいた暑さから開放され急激に涼しくなっていくのだ。なんて喜ばしいことではないか。実りの秋、スポーツの秋。それに読書の秋......というのは文字を見てると催眠術にかかるオレには関係ないが。

「小さい秋~そんなのより~大きな秋み~つけろっと!」

「変な歌だな、茨戸。」

「そうか?けっこうウケると思ったんだけどよ~。」

 仕事の帰りのいつもの風景。じゅうたんのように大地を覆っている落ち葉も自分たちのいた世界と変わらなくてすこし安心しているような気分だ。

「こっちの世界にも四季というのがあってよかった。」

「ああ、映姫様がいてよかったよ。」

「いや、そっちじゃなくてな。」

 他愛もない話ばかりだが。こういう話題が通じ合えるのは雁来しかいないのである。思えば雁来は2歳近く年が離れている。気にしたことは無かったが。雁来は殺人犯だがそう悪い人間ではない。朱に交われば赤くなるということなのだ。ただそれだけのことだったのだ。映姫様は言っていた、人を憎んではいけないと。

「じゃあな、茨戸。」

「また明日なー。」

 部屋は昼の残暑で少し蒸し暑い。室温は28度がベストだとか聞いたが。こっちに来てからは環境問題とかエコとかは全然聞かない。それだけ環境を大事にしているんだろうか。

「ひーまだーなー。飯も食べてきたし......そうだ!映姫様の写真の切り抜きがどっかに......。」

 こっちでは趣味の漫画が無い。新しい趣味を見つけなくてはと思い、新聞とかの気になる記事を切り抜いたりしようと思ったのだが、いつのまにやら映姫様の写っている記事やら写真を切り抜いていた。たまにまとめて見ると微妙な笑顔の違いとか、目の輝き具合がわかる。

 当然これは世に言う"極秘ノート"である。だから机の台にノートが入る穴を開け、その上から板を置けばバレることはない。ついでにその上にデスクマットだとか言って敷いておけばいい。わざわざ底までさがす人間はそうはいない(ここじゃ人間は希少な存在だが)。

 今は夜だがとても明るい。今日は満月の日らしい。9月だから中秋の名月なんだっけか。月に興味は無いんだが窓の光が明るいのはいやでも感じ取れる。父さんは月にはウサギがいると言っていた。日本人だからだ。母さんは月の模様は薪を担ぐ男だと言っていた。ドイツではそう見えるらしい。国が違うとここまで見え方が変わるものだろうか。何より最初に「あれはウサギだ」「薪を持った男に見える」と言った1人の人間からよく国中にまで広まったものだ。そんなことを考えながら寝た。

「おい、茨戸起きろ。招集だ。」

 ドアの向こうで雁来が何やら叫んでいる。

「何だよ~、まだ朝の9時だぜぇ?寝かせろよ~。」

「うるせえ、ダメ人間が。閻魔が呼んでんだよ。」

「何だとーッ!空、何ぼーっとしてんだよ!行くぞ、おい!」

「全く......。」

 すぐさま映姫様に会いに向かった。眠気はまだ抜けないが顔を見れば目が覚めるだろう。

「映姫様!本日はどんな御用でしょうか!」

「おい、るせぇぞ。連れて来ましたよ、四季様。」

「ありがとうございます。それでわかっているでしょうが、大変なんです。」

「え、なんかあったんスか?」

 そう聞くと、映姫様はため息をしながら立ち上がり、窓のそばに立った。

「茨戸、今何時ですか?」

「えっ?あーんと9時24分スけど。もう2時間ぐらい寝てたいっスね。」

「じゃあ、窓の外に何が見えますか?」

 映姫様はそう言ってカーテンを開けた。

「見るも何も、この部屋は空しか見えないじゃないっスか。」

「なぜ私が、時間を聞いたと思います?」

「時間?外、朝9時、空、星、月......。星に月ィ?」

「やっと気づいたか......。」

 雁来は呆れている。

「映姫様ァ!何でこんな時間に月が出てんスか?」

「それをあなた達に調査してもらいたいんです。」

「でも別に放っておいても何の影響もないんじゃないのか?閻魔さんよ。」

「そういう訳にもいきません。この混乱に乗じて妖怪が何をするかもわかりませんから。」

「映姫様の言う通り。少なくとも人里の住民に被害が及ぶのは防がなくては。」

「頼りにしてますよ、茨戸(ニコッ)。」

「グハァッ!」

「どうした茨戸!いきなり吹っ飛ばされたぞ!」

 しばらく目に映姫様の笑顔が焼き付けられ、立ちくらみを起こしながら現世に向かった。

「やはり暗いな......。それでどうする?どこへ行けばいい?」

「ああ......あてはあるさ。」

「あてだ?」

「おーい、幽々子ー!いるんだろー!」

「門を勝手に開くな。そして叫ぶな。」

 白玉楼にやって来た。理由?それは地獄の人間という立場が発揮できるからね。

 当たり前ながら女剣士に刀を突き付けられて屋敷に連れて行かれたわけだが。

「いや誤解だよ。泥棒に入りに来たんじゃないさ。たしかに勝手に入ったのは悪かったけど、客人に急に剣を向けないでよ。怖いよ。あと、何でオレには長い刀で、空クンには小刀なの?」

「悪意を直観的に察知しました。」

「まあ、落ち着きなさいな、妖夢。それで何のようで来たの?」

 刀は首から離され、さやに収められた。刃の冷たさが急に無くなり、かわりに首をまとう大気にぬくもりを感じた。

「ああ、気づいている通り『夜』だ。何か知らないか。」

「さあねぇ、妖夢何か知ってる?」

「わかりません。一体何を目的としてるんですかね。」

「手がかりなしか......。」

「しょうがねぇな。知らないんならここに長居は無用だぜ。和菓子食べて、お茶飲んだら帰るぞ。」

「早く飲んで帰ってください。」

この幻想郷の誰かが知っているはずだ。どこかにいるはずなんだ。せめて手がかりの1つでもあれば......。

「『月』......。」

 幽々子が急につぶやいた。

「月だと?月がどうしたんだ?ゆゆちゃん。」

「(この地獄ヤローは......。)」

「ほら、見て。」

 商事を開いて、月に向かって扇子を指した。

「満月に見えるでしょう?でもね、ほら微妙に欠けてるの。」

「ああっ、本当です!完全な満月じゃない!」

「目が悪くて、見えねぇんだけど。空くん、見える?」

「ん、言われてみればそんな気もするってレベルだ。」

「妖怪にとってはすぐわかるの。まあ、妖夢は半分妖怪だけど気が付かなかったらしいわね。」

 お茶を飲み干し一息ついた。、

「月......ね。よし、行くぞ。雁来。」

「行く?どこへ?」

「決まってんだろうが。どこかにいる、あの月をいじったやつのとこへだよ。じゃあな、お二人さん。また来るぜ。」

「もう来なくていいです......。」

「バイバーイ、頑張ってねー!」

 白玉楼を後にし、人里へ向かうため森へ向かった。月は依然として元に戻る様子はない。

「いいか、月をいじれる程の人間、または妖怪は限られている。犯人はよっぽどの力があるってことだろうぜ。」

「そう言っても、そんなことができる奴が人前に姿は現さない。能ある鷹はなんとやら、と言うだろ。」

「たった1人で生きている人間はいない。一人暮らしという意味じゃない。今は誰かと関係を持たなくてはならない世界なんだ。ああ、卑猥な意味じゃないぜ。」

 満月の明かりのせいか、森は怪しい感じがする。川にそっていけば着くはずだが川を間違ったらしく、迷ったようだ。

「おい、人里はどこだ?」

「あり?こんなにかかるはずじゃないんだけどなー。木の上に昇ってみる?」

 すると後ろから枝を折る音がした。

「誰だ?こんな夜遅くに?」

「いや、今は朝だ、茨戸。」

 警戒しているオレたちに、向こうから歩きよってくる影は突如、

「くらえー!リグルキィーック!」

 宙を舞い、蹴りを放った。

「茨戸、アブねぇぞ!」

 足先は自分の方に向いていた。

「うおおッ!野郎ーッ!」

 肘で何とか防ぎ弾き飛ばした。

「私のキックを防ぐとは......見たこと無いけど強そうだね、お兄さん。」

「ちきしょー。オレは蹴るのは好きだけど蹴られんのは大嫌いなんだよ~。」

「おい、何してる?早く攻撃しろ!」

 雁来にどやされたがとりあえず煽ってみることにした。

「ぼく、どうしたんだ?家に帰れなくなったのか?」

「なっ!失礼な!私は女だ!」

「おっと、わりぃわりぃ!本気で間違えた。」

「もう起こったぞ!集まれ!スズメバチ達!」

 少年......いや、また間違えた。少女の掛け声とともに蜂の軍団が集まってきた。それも毒持ってまーすって感じの選りすぐりの蜂達。

「やられたな。蜂だけにハニートラップだぜ。」

「冗談なんか言ってんじゃねぇ!」

「いけー!あの2人を蜂の巣にしちゃえー!」

「お前らジョーク大好きか!」

 一斉に興奮状態の蜂が不快音を刻みながら飛んできた。

「おい、雁来!頼むぜ!」

「了解。」

 雁来の側に逃げ込み、雁来はすぐに能力で空気を固め、蜂の侵入を防いだ。

大気半球エアー・サークル。蜂ごときに破れることはない。」

「な、なんなの?どうしちゃったのスズメバチ達!」

「サンキューね、雁来。てっぺんだけ穴開けてくれ。スズメバチ駆除やるから。」

 石をかき集めてから、命を与えた。

「スズメバチは猛毒を持っている。しかし、食物連鎖では中位。なぜなら、その毒を持った奴らを食べる鳥が世界にはいるんだ。名はハチクマ。ほら行け、ランチタイムだ!」

 ハチクマは次々と蜂を食い続ける。その様子を見て逃げ出したものもいて、すぐに撃退した。

「10時か。ランチじゃなくてシエスタだったか......。」

「ちょ、ちょっとハチさん達ー......どこ言っちゃうんだよー......。」

「さて、こいつの処分だな。」

「おい虫女。人里まで案内しな。じゃねぇと、その触覚と羽をズタズタにしてから仲間の虫達と一緒に焼却処分にかけるぜ。」

「ワ、ワカリマシタ......。」

永夜抄始まりました。

いつ終わるんだろ。3月ぐらいかなー。3月ぐらいでしょうねー。

そろそろ弾幕出したいかな。

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