「――さあ。どうするんでしょうね」②
◇ ◇ ◇
電話が鳴った。
『違うんだよ、水上。
聞いてくれよ』
「私、まだ一言も話してないんですけど。
浮気バレしたクソ野郎の逃げ口上のような滑り出しですね」
『だってお前、どうせまともに話聞いてくれなさそうだし』
「そりゃそうですよ。
恋花先輩とデートに行くって言うから応援してたのに、
蓋を開けてみればダブルデートですか。
随分良いご身分ですね、清カス先輩」
『待て水上。
俺の名前に、さりげなく罵倒を混ぜるな』
「それで?
こんな時間に何の用ですか。
ちえりちゃんなら、ひと通り泣いて、今はすっきりしたみたいでしたよ」
『そうか……なら良かった。
面倒掛けたな』
「別に。私の友達ですから。
それを言うなら私の方でしょう。
ちえりちゃんが“面倒掛けましたね”って」
『……なんだ。
気付いてたのか』
「気付いたのは、先輩と一緒に駅に着いた時ですよ。
ちえりちゃん、清継先輩に本気だったみたいですね。
驚いたというか……そこまでしてたのが、ショックだったというのか……」
『怒らないのか?
お前も騙されてたようなもんだろ』
「そうですねえ。
でも……仕方ないのかなって。」
『仕方ない?』
「だって、私たち一年から見れば、
先輩たちって簡単に近づけない距離にいるじゃないですか。
話そうと思ったら、無理やり理由を作るしかない。
清継先輩だって、もし恋花先輩と違うクラスだったら、どうしてたんです?」
『恋花の友達を買収して情報を聞き出して、
恋花の行く先々に“偶然”俺が現れるだろうな』
「なんで即答できるんですか!?
恐怖体験すぎますよ……。
まあ、そういうことです。
恋は戦争。手段なんて選んでいられないんです」
『……なるほど』
「清継先輩は同じクラスで良かったですね。
一歩間違えたら、普通に犯罪者でしたから」
『確かにな。俺はまだ幸運なのかも知れないな。
じゃあ……ちえりの件は仕方がないのか? うーん……。
ところで水上よ。
仮に、お前の好きなやつが別のクラスや学年だったら……
お前はどうやってアプローチするんだ?』
「私、ですか?」
私はしばらく考えを巡らせ、
重たい身体を引きずるように机を離れた。
そのままベッドに身を預け、天井を仰いで目を閉じる。
「――さあ。
どうするんでしょうね」
第一章、清継復縁プロジェクト 完
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第一章、読了ありがとうございます。
ラブコメの形を借りながら、
清継という人間の在り方を、少しずつ解体していく――
本作は、そんな物語です。
ここまで読み進めてくださったということは、
きっと、作者が文字にしなかった呼吸や、
会話の“間”のようなものまで、楽しんでくださる方なのでしょう。
かなり癖のある作品ではありますが、
読後、何かひとつでも心に残るようにと願いながら書かせていただきました。
もし気に入っていただけましたら、
ブックマークや評価などで応援していただけると嬉しいです。
では、引き続き第二章もよろしくお願いいたします。




