表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
16/114

先輩と再会

 ◇ ◇ ◇


《新着メッセージがあります》


 机の上のスマホが震え、私はペンを止めた。


 高校生活が始まったばかりの今。


 課題は自己紹介だの目標だの、

 とにかく“自分という存在”を言葉にさせるものばかりだ。


 まだ形にもなっていない将来を、

 さも確かなもののように書かされる。


 正直、少し疲れていた。


 集中も切れてきたところだったので、ちょうどいい。

 私は勉強机から離れ、ベッドへとなだれ込む。


 夕飯を食べすぎて、少しお腹が苦しい。


 上半身だけ起こし、

 そばにあったクッションを抱えたままスマホを開いた。


「……清継先輩からだ」


 画像付きのメッセージ。


 清継先輩の自撮りだった。


 その背後で、私と圭吾先輩がラーメンを啜っている。

 こんな写真、いつ撮ったのだろう。


 あの人、食べるのがやたら早かったし、その時かもしれない。


 私は『ごちそう様でしたー!』という短いメッセージと、

 お腹の膨らんだパンダのスタンプを添えて返した。


 イラストがぴょこぴょこ動く、お気に入りのやつだ。


 今日の夕飯は、

 清継先輩に奢ってもらった。


 本当に異性として見られていないのだろう。


 連れて行かれたのは、

 ニンニク強め・量多めで有名なラーメン店だった。


 中学時代にも三人で行ったことがあるから、

 もしかすると本人なりの“思い出巡り”だったのかもしれない。


 ……にしても。


 よく私の返事も聞かずに決めたものだ。


 私は気にしないけれど、

 恋花先輩までこんな店に連れて行っていないか、少し心配になる。


 まさか、

 振られた本当の理由が“ニンニクラーメン”じゃないだろうな……。


 スマホが、再び震えた。


『また行こうぜ。

 次は圭吾に奢ってもらおう』


 久しぶりに会った先輩は、相変わらずだった。


 私をきちんと“後輩”として扱ってくれる、

 その距離感が心地いい。


 中学時代も、悩みを聞いてくれたり、

 理由もなくジュースを奢ってくれたり、

 そういう人だった。


 だから――

 そろそろ、私が少しだけ恩返しをしてもいい頃なのかもしれない。


 手伝ってどうにかなるものかは分からない。


 それでも、

 恋花先輩との復縁を応援するくらいなら、できる。


 その方が、私自身も恋花先輩と気まずくならずに済む。


瑞希みずきー!

 お風呂、先入っちゃいなさい!」


「はーい」


 階下から母の声。


 私はわざと気だるげに返事を引き延ばし、

 清継先輩から送られてきた写真を保存して、メッセージを送った。


『ぜひ!

 また三人で行きましょうね!

 今からお風呂入ってきます』


 数秒後、すぐに返信が届く。


「……うわ、最低」


『住所を教えて欲しい。

 今すぐ行く』


 私はそのゴミみたいなメッセージに、

 最寄りの交番の住所を添えて、無言で返信するのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ