表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セカンド〜第二の人生を得た人間はどう生きるのか〜  作者: 鱒科の人間
一章 出会い
5/8

「ニューラル…オプション設定、【痛覚制限完全解除】」


一般的に”セカンド”では痛みを感じる事は無い。だが、幾重にもかかったロックを解除する事で、”セカンド”でも痛覚を()()に再現する事が出来る。そのロックは起動シーケンスに特殊なコードを加える事、そして”セカンド”を生み出したAIに申請する事で解除が可能となる。


そして、一般に広がっていない情報として、痛覚制限を解除する事により、感覚の細部まで把握する事が出来る為、動きなどにラグが限りなく少なくなる…なんて言っているが、その情報源は”俺”なので本当かどうかは誰も分からない。ただ、俺はそう思っていると言うだけである。


「痛みだけじゃねぇ…全身の感覚が戻った」


それも俺の気のせいかも知れない。だが、そう思う事が大事なのだ。


こうでもしないと、あの光線を避ける事が出来ない。人間の反射神経で回避するのは限りなく難しいのだ。


「あれも使うしかないよな…癪だけどな」


アイテム欄から一つの小瓶を取り出す。この小瓶は【小さな勇気】と言う消耗品…ポーションだ。入手方法が余りに面倒臭い事で有名で、何度でも獲得可能なポーションなのだが、所持率が異常に低い。かく言う俺もこのポーションは一つしかない。最後の一つなのである。


そして何よりも重要なポーションの効果はあらゆる()()()()()()である。入手難度に見合った破格のポーションである。


小瓶を口いっぱい含む。青汁の様な苦みとえぐみが舌を蹂躙する。その異様さに脳が理解を拒もうとするが、何とか意識を保つ。【小さな勇気】はこのポーションを二回目に飲む時では無いだろうか…。


「とっとと姿を見せやがれ!!」


轟音を轟かせながら海が割れる。デバフが無くなった今、俺は”修羅”となっている。全職業で()()だが、最も火力が高い。ただ、時間経過で膨大なデバフが掛かる為、捨て身なのである。


そして、海が割れた事により、水面に存在する月が割れる。


割れた月が夥しい光を乱雑に放つ。


「クソっ...視界が…」


ただでさえ眩しかった月が何倍もの光量を放っているのだ。疑似的な閃光弾である。


しかし、その視界が無い内に攻撃がやってくる事は無かった。次第に光は収まり、視界が元に戻る。


そして光を放っていた割れた筈の月…いや、”やつ”が姿を現した。


「それが…お前の()()()姿()って事かよ」


水面に映る偽の月は奴を護る為の防護柵見たいなモノだった訳か。


「貝野郎だと思っていたが…なんだっけか、クリオネだっけ?まぁ貝の仲間だろ?」


割れた月から出て来たのは馬鹿でかいクリオネだった。だが…奴の背中には六対の羽。そして頭長には光の輪がある。


「ルナフィム…月の【ルナ】と熾天使の【セラフィム】ね…。そんな神々しい奴の事をぶん殴っても良いのか?怒られない?」


Classification: non-divine.


Authority: system-generated.


No problem


【神性無し


 問題ありません】


 


ご丁寧にどうも…。


「始めようか…ここからが”戦い”だろ?死ぬまで楽しませろよ」


マサキの戦闘を見た人間は口を揃えて言う。あいつは狂っている…と。その所以たるが痛覚制限の解除時に見せる”顔”である。


どれだけボロボロになろうと、絶望的な戦いだろうと、嗤うのだ。まるでこの戦闘を一生続けていたい…そんな顔で。


「※※※※・※※※—※※」


巨大クリオネ天使が聞き取れない何かを呟く。


いや、呟いている…と言うより脳に直接流し込まれている感覚だ。


「何言ってんだ」


特に変化は無い。だが、それだけな筈が無い。何か……来る。そんな予感がマサキの胸中に渦巻く。


そして目に見える変化が現れたのは数秒経った時だった。


「おいおい…それってお前の殻じゃねぇのかよ?」


先程”割れた”【偽の月】が再び水面に現れ始めた。


「※※※ー※※」


そして巨大天使クリオネが何かを呟いた瞬間、【偽の月】から無数の光線が放たれた。


「マジかっ...!」


可能な限りその光線を避けようと試みるが、避けきれない光線が体を貫く。


貫かれた箇所は激しい痛みからか、熱を帯びる。


「んの野郎っ…」


焦りが渦巻く。巨大クリオネは水面に映る【偽の月】、その上に浮かんでいる。光線を無数に放つ【偽の月】をどうにかしないと、奴に近づく事さえできない。


「【破砕】ッ!」


咄嗟に水面に踵落としをする。水面の【偽の月】が霧散するが……やがて水面が安定を取り戻し、再び【偽の月】が姿を現した。


「ならば…【解放】っ!」


近づけないなら遠くから攻撃するだけだ。


拳を巨大クリオネに向け突き出す。【鬼化】により蓄積したエネルギーが”全て”放たれた。


ただのエネルギーの塊。だが、威力は絶大である。使用するまで【鬼化】によりエネルギーを溜める必要があると言う点を除けば、汎用性が高いスキルだ。


「※※※※・※・※※※※※※」


「冗談キツイぜ」


だが、そのエネルギーの塊も、奴の呟き一つで、霧散してしまった。


殴り合いも出来ない、遠距離攻撃も無効化される。どうすれば良いってんだ?


「※※※※・※※※ー※※」


「だからなんて言ってん……だ!」


拳から出る衝撃はも奴の目の前で”元から無かったか”の様に霧散する。


そして再び【偽の月】の光が強くなる。もはや、本物の月より明るいのではないかと言う光量だ。


「クソっ!」


そして先ほどよりも更に多い数の光線が降り注ぐ。まるで機関銃で撃たれていると錯覚する程の物量である。


「完全にソロでやる相手じゃねぇな」


本当にそうか?逃げてないか?勝つのを諦めるのか?勝てないと思い込んでいないか?お前は何の為に”セカンド”に居る?強い奴と戦う為だろ?ならば…言い訳なんかしないで、もっと()()()()


「……そうだよな。なに弱気になってんだよ?自分に説教されるとは思わなかった…ぞっ!!」


「【天覇】」


だが…奴に到達する前に霧散する。”夢”を見てるんじゃないかと自分を疑ってしまう。


夢?……そうか。


「幻覚……なんで思いつかなかった?」


特殊条件にもあるじゃないか…”月の光を反射”させると…。それにシジミ野郎も似た様な事をしていた。奴は姿を隠す位だったけどな。


「俺が今見ているお前は…”偽物”だな?」


いや……偽物って言うより…本体を反射した”虚像”って奴だ。


多分エネルギーが霧散した様に見えたのは…光の屈折をいじられて見えなくしていただけじゃ無いだろうか?


「良いぜ…特殊個体。ならば俺の”特殊職業”の”特殊スキル”見せてやるよ」


「※※※※※※」


「だからなんて言ってんのか分かんねぇよ!!来いよ…【閻魔】」


全身を赤黒いオーラが包み込む。全身が焼けるように痛み、思考が”黒い何か”に塗りつぶされそうになる。


だが、その分全能感もある。今なら何でも出来る。そう思わせる程…力が溢れてくる。


「※※※ー※※・※※」


「【ゲヘナ】」


俺に纏わりつく”赤黒い何か”が周囲を覆う。海も、岩も、偽の月も、何もかも。

予約投稿って日を跨ぐと同日に出来ないんだ...

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ