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セカンド〜第二の人生を得た人間はどう生きるのか〜  作者: 鱒科の人間
一章 出会い
3/8

特殊エンカウント

「来たか」


 脳内に響くアナウンスが条件の達成を告げる。だが、視界に大きな変化は起こらない。


 水面が()()()揺蕩うだけで、先ほどまでと特に変化は無い。


「あぁ知ってる。お前には随分と苦戦したしな。早く出て来いよシジミ野郎」


 だが、俺は()()()()()。ぽつぽつと雨が降っているのに静かに揺蕩うなんてのは可笑しいって事を。


「【鬼化】【鬼力解放】」


 種族”鬼”のスキル。【鬼力解放】は一定時間強大なバフを得るが、徐々に体力が減り、一定時間が過ぎると強大なデバフを得る…と言う捨て身のスキル。


「派手に行こう」


 右手を振り上げる。種族的特性で攻撃力…筋力が大幅に上昇している為、ただのパンチでも軽い爆弾レベルの威力になる。


「どーんとな」


 そして振り上げた右手一気に水面へと叩きつけた。叩きつけると同時に激しい風と水しぶきが、周囲を蹂躙する。


 折角綺麗な月が映っていた水面は、今や水が無くなり、砂を映すだけとなった。


 ジュジュ…ジュルル


 何も映っていなかった所から音が鳴る。粘液が這うような、気持ち悪い音が静かな海に木霊する。


 瞬時に物理エンジンに従い水の無い場所に水が殺到する。


 水面が揺れる。ほんの少し、だが、偶然と呼ぶにはあまりに不自然な程の揺らぎ。


 そして……水面に映る月が”割れる”。何かが水面の月を割ったのだ。


 ”割れた月”から触手の様な物が音速を超える速さで迫りくる。


 だが…


「遅ぇ」


 Special encounter initialized.


 ”特殊個体【月殻幻想セレナセラス】”


 機械的な音声が、特殊個体の存在を確認したかのように、鳴り響く。


 その触手は相当な速さで自身へと到達した”筈”だった。少なくとも現実では反応こそしても、体が追い付かない程の早さだった。

だが、現実と違う事があるとするならば…今の俺には反射神経に見合った身体能力もあるという事。


 触手が到達する前に体を捻り回避する。ビュンと音を鳴らしながら触手が目の前を通過していく。


 ...そして通過した触手が消波ブロックと衝突する。


「おいおい、俺は弁償しないぞ」


 触手はそのまま消波ブロックを粉々に粉砕し、再び()()()()空間へと戻っていく。


 戦闘で発生した破壊行為は何もしなければ元に戻ることは無い。AIが自動で直してくれる…という事は無いのだ。


「でもなぁ…あの時は今とは全く違う状況だったしな…こうなるのも無理はねぇよな」


 ズロロ…ブジュル。


「スリルも無ぇ。もう()()()()()()…お前は【解放】」


 先程の【天覇】と違い拳を突き上げなかった。しかし俺の指から放たれたエネルギーは”見えない何か”を殺すのには十分な威力だった。


 高密度エネルギーの一閃が地平線の彼方まで伸びる。そして…やがて”それ”は浮かび上がった。


「このシジミ野郎」


 ”見えない何か”の正体は馬鹿でかい貝だ。ただ、その生態が非常に初見殺しなのだが…。


 奴の出現条件として月を照らすとある通り、奴は月の光を反射する事で高性能なステルス機能を持っている。それが見えない奴の正体。そしてその見えない状態を破る事は出来ない。”月が隠れる迄”は。


 月の光を反射しステルスを得るという事は月光が無くなれば必然的にステルスは解除される。()()はそれまで耐える必要のある個体なのだが…如何せん俺はレベルが高い。初期環境のエネミーにやられるレベルでは無いのだ…悲しいことに。


 俺が出会った直ぐはこいつに何度もボコボコにされ、数日掛けて倒す事に成功した。そもそも月を水面に反射させるのが難しすぎてそれどころでは無かったのだが…それは別の話だ。


 Target neutralized.

 Lunar reflection collapsing.


 All recorded data… secured.


 — Special Entity Defeated —

 《月殻幻想セレナセラス》


 Congratulation


【標的の討伐


 月光の反射…崩壊


 全データを記録しました


 おめでとうございます】




 機械アナウンスが敵の消滅を告げる。そして先ほどまで”静かに”揺蕩っていた水面にドロップアイテムを知らせる表示が出ていた。


【ドロップアイテム】

 幻想貝の月殻×3

 幻想の雫

 幻想真珠のネックレス


 前と同じか。こいつの素材は高値が付かないからな。ネックレスは飛鳥にでも上げよう。


 何時も通りドロップアイテムを確認していた。だが、今回は何かがおかしかった。だが、何かおかしいのか自分でも分からない。討伐を知らせるアナウンスは流れた。そしてドロップアイテムもある。何故だ?何が気になる…。


 考え終わるより先に、機械的なアナウンスが再び流れた。


 Condition exceeded.

 Hidden requirement… fulfilled.

 Lunar phase — incomplete.

 Reflection state — sustained.


 — Irregular Entity Detected —


【達成条件…超過

 隠された真実…満たされました

 月相—未完了

 反射—維持中

 —イレギュラーを検知—】


「あ?()()()()()()()()()()()()だと?こんな条件聞いた事無い」


 だが、流れたアナウンスは確かにそう告げていた。新たなる敵を感知した…と。多分だが、このアナウンスは”図鑑”に乗っていない種の出現を知らせるアナウンス。それすなわち…未確認の個体って事だ。それにイレギュラー?どう言う事だ。


 アナウンスが更に鳴り響く。


 Connecting to neural network...

 Analyzing unknown entity...

 Classification: failed.

 Reconstructing data…


 — Initiating naming protocol —

 …

 《【夜光】ルナフィム・ケラス》

 Individual name confirmed.

何故英語なのかって?かっこいいから!

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