近代火力×重力圧殺〜ポポロ村防衛戦、一方的蹂躙〜
近代火力×重力圧殺〜ポポロ村防衛戦、一方的蹂躙〜
俺が足元の起爆スイッチ――小さな魔石を靴底で踏み抜いた瞬間、戦場の空気が一変した。
「ウオォォォォッ!! 村を落とせぇぇッ!」
ヤケクソになって突撃してくる五百の傭兵団。
先陣を切るのは、分厚い岩の装甲を持つ巨大な変異魔獣、ロックバイソンの群れだ。彼らが地響きを立ててポポロ村の入り口、つまり俺が指定した『ライン』を越えた。
直後、地面に埋設されていた数百の『対装甲・魔導地雷』が一斉に反応した。
「――【重力円筒】」
俺はぼそりと呟き、指先を天へと向けた。
通常、地雷というものは爆発すると周囲三百六十度に爆風と破片を撒き散らす。それではポポロ村の農地や防衛線にも被害が出てしまう。
だから俺は、爆発の瞬間に『爆発地点の周囲』を重力の壁で筒状に覆い、威力の逃げ道を「真上」だけに限定した。
ドゴォォォォォォォォォォォンッ!!!
大地が爆ぜた。いや、正しくは『大地から極太の光の柱が上空へ向けて何十本も噴出した』と言うべきか。
横への爆風が一切ない、完全に統制された指向性爆発。
極限まで圧縮された火炎魔石と肥料の威力が、重力の筒を通ってロックバイソンたちの腹部をピンポイントでカチ上げた。
「モゴァァァッ!?」
数トンの巨体を持つ変異魔獣たちが、まるで軽いオモチャのように数十メートル上空へと吹き飛ばされる。
その背後に続いていた傭兵たちは、目の前で強固なはずの魔獣が天高く打ち上げられる光景を見て、足を止めた。
「な、なんだ!? 魔法陣の詠唱もなかったぞ!?」
「伏せろ! 敵の魔法兵が伏兵で――」
「伏せても無駄だ。次弾、撃て」
俺が淡々と指示を下すと、自警団のバリケードから黒光りする銃口が一斉に顔を出した。
タローマンの鉄パイプを俺の【重力圧縮錬成】で極限まで密度を高め、再構築した凶悪な近代兵器群――『魔導誘導バズーカ』だ。
「ポポロ村自警団、一斉射撃開始ィッ!!」
ケンタウロス種の女性リーダー、マンミアの号令が響く。
ドバババババババッ!!
耳を劈く轟音と共に、数十発の魔力弾が白煙を引いて放たれた。
「ヒィッ! 魔導士部隊、防壁魔法を張れ!」
傭兵団の後方にいた魔法使いが慌てて杖を掲げ、土の壁や炎の盾を作り出す。
だが、中世レベルの魔法の盾が、重力圧縮で質量と貫通力を跳ね上げられた魔導バズーカの弾頭を止められるはずがなかった。
ズガァァァァァァァンッ!!
「ぎゃあぁぁぁっ!?」
「た、盾が紙みたいにぶち抜かれたぞ!?」
土壁ごと魔法使いたちが吹き飛び、傭兵団の陣形は完全に崩壊した。
剣と魔法で粋がっていた中世の軍隊が、近代火器の飽和攻撃の前に為す術もなく蹂躙されていく。
俺は一歩も動いていない。ただポケットに片手を突っ込み、もう片方の手で重力場を微調整して、村への被害をゼロに抑え込んでいるだけだ。
「えげつな……」
俺の背後で、ニャングルが煙管を落としそうになりながら呟いた。
「いくらなんでも一方的すぎまへんか? 鉄屑と肥料から作った急造品で、五百の軍隊が赤子扱いとか……兄さんの錬成技術、冗談抜きで世界が引っくり返りまっせ」
「元が鉄屑でも、重力で分子レベルまで圧縮すればミスリル以上の硬度になる。佐藤太郎が残した図面が優秀だっただけだ」
俺が肩をすくめていると、戦場に紫電の閃光が走った。
「月影流・乱れ鐘打ちッ!!」
バキィィィンッ! というガラスの割れるような音。
パニックに陥り、逃げ惑っていた重装甲の傭兵たちを、キャルルがマッハの速度で駆け抜けながら次々と蹴り飛ばしていた。
タローマン特注の安全靴に込められた圧倒的な破壊力。彼女が一度蹴りを入れるだけで、分厚い鋼の鎧がひしゃげ、傭兵たちがコマのように回転しながら吹き飛んでいく。
「クロトさん! 前衛の制圧、終わりましたわ!」
キャルルがウサギの耳を揺らしながら、満面の笑みでこちらに手を振る。
「ああ。よくやった、キャルル」
俺が褒めると、彼女は「えへへ♡」と嬉しそうに頬を染めた。
一方、敵陣は完全に戦意を喪失していた。
「ひぃぃっ! バケモンだ、あいつらバケモンだぁぁ!」
「降伏だ! 武器を捨てる! だから撃たないでくれぇっ!」
傭兵たちが次々と剣や槍を投げ捨て、地面に土下座を始める。
豪華な馬車に乗っていた悪徳商人だけは、震える足で馬車から降り、踵を返して逃げ出そうとしていた。
「ま、待ってくれ! 俺は騙されたんだ! ゼロス様に命令されただけで――」
「逃げられると思うなよ」
俺は指先を、逃げる商人へと向けた。
――【広域重力障壁】。
「ガハァッ!?」
ズドンッ、と。
商人の体、そして土下座していた五百人の傭兵たち全員の背中に、通常の五倍の重力がのしかかった。
誰もがカエルが潰されたような悲鳴を上げ、地面にペッタリと這いつくばる。指一本、ピクリとも動かせない圧倒的な圧制。
「そのまま地面の味でも楽しんでろ。……おっと、動くなよ。重力に逆らって無理に立ち上がろうとすれば、自分の筋肉と骨が自重でへし折れるからな」
俺が冷たい声で警告すると、商人たちは「ヒィィッ!」と悲鳴を上げ、涙と鼻水を流しながら地面に顔を擦り付けた。
戦闘開始から、わずか三分。
五百の討伐軍は、ただの辺境の村の入り口で、誰一人として村の敷地に足を踏み入れることすらできず完全制圧された。
「終わりましたわね、クロト様! 私のお賽銭箱もいっぱいですわ!」
みかん箱から降りてきたリーザが、空っぽのはずの掃除機を撫でながらドヤ顔を決めている。
「ああ。お前たちのおかげで、村には傷一つ付かなかった」
俺は仲間たちを見回し、そして、ゆっくりと上空を見上げた。
「……だが、メインディッシュはこれからだ」
空気が、急激に変わった。
俺の言葉に合わせるように、空を覆っていた薄い雲がパカッと不自然に割れる。
そして――空から、金色の羽やキラキラとした星屑のようなエフェクトが、これでもかとばかりに降り注いできたのだ。
『シャララララァァァン!』
どこからともなく、大げさな聖歌のようなBGMまで鳴り響く。
前世のソシャゲで、最高レアリティ(SSR)を引いた時のような、目に痛いほどケバケバしい過剰演出。
その光の中心から、純白の鎧を着込んだ金髪の男が、ゆっくりと空から舞い降りてきた。
男の周囲には、俺の【特異点】にしか見えない「神界の配信カメラ(ドローン)」が、ハエのように何台も飛び回っている。
『待たせたな、哀れな子羊たちよ!』
男――炎上神ワイズの契約勇者である『ゼロス・ディバイン』は、カメラのレンズに向かって完璧な爽やかスマイルを向けながら、大仰に両手を広げた。
『魔族に支配された村の浄化は、この勇者ゼロスが引き受けた! さあ、世界に平和を――』
「自動車教習所も通ってないくせに、随分とド派手なフェラーリに乗ってきたもんだな」
俺が下から冷ややかな声でツッコミを入れると、ゼロスはピクッと顔を引きつらせ、こちらを見下ろした。
「……貴様が、我が神の台本を汚したというテロリストか。平民の分際で、この僕を前にして膝もつかないとはな」
カメラから見えない角度で、ゼロスの顔が極悪人に歪む。
「いいだろう。貴様には、僕の『踏み台』としての名誉ある死を与えてやる!」
ついに、舞台の役者が揃った。
理不尽な神の台本で踊る、中身のない張りボテの勇者。
俺は腰の剣の柄に手をかけ、マリーシア(狡猾な笑み)を深めた。
「踏み台か。……せいぜい、全世界のカメラの前で無様にすっ転ばないように気を付けるんだな」
最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!
「近代兵器×重力、最強すぎるww」
「偽勇者の登場エフェクト、ソシャゲのガチャ演出で草」
と少しでも楽しんでいただけましたら、ぜひ画面下(または上)にある、
【ブックマークに追加】
そして、評価の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、大変励みになります!
皆様のポイントが、主人公が偽勇者をボコボコにする「重力」の強さになります!
次回、ステータスだけは最強の偽勇者ゼロスとの対決! 黒星剣士の圧倒的な「受け流し」が炸裂します。お楽しみに!




