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『炎上神のヤラセに巻き込まれた重力剣士、神界配信をジャックして真の『神殺し』を始めます〜カメラの前で偽勇者を公開処刑〜』  作者: 月神世一


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雷神の月兎と極貧アイドル〜異常者だらけの緩衝地帯ポポロ村〜

雷神の月兎と極貧アイドル〜異常者だらけの緩衝地帯ポポロ村〜

 半壊したファミレスの入り口に立っていたのは、全くもってちぐはぐな二人組だった。

 一人は、ウサギの耳をピンと立てた可憐な美少女。仕立ての良い上品なブラウスを着ているが、足元はなぜかタローマン(魔導ホームセンター)で売られている無骨な『特注安全靴(つま先鋼鉄芯入り)』を履いている。

 もう一人は、色褪せた紫色の『芋ジャージ』に健康サンダルを突っ掛けた少女だ。なぜか鼻の穴に「五円玉」がすっぽりと詰まっている。

「初めまして。私はキャルル・ムーンハート。前村長が駆け落ちして失踪したため、急遽このポポロ村の新村長に就任いたしました」

 ウサギ耳の美少女――キャルルは、丁寧なお嬢様口調で優雅にお辞儀をした。

「そ、そして私は! 海中国家シーランから来た絶対無敵の地下アイドル、リーザですの!……フンッ!」

 芋ジャージの少女――リーザは、胸を張ってドヤ顔を決めた。鼻息が荒い。

「……おいニャングル。なんであいつ、鼻に五円玉詰めてんだ?」

 俺が小声で尋ねると、ニャングルは呆れたように煙管をふかした。

「ああ、アレはリーザはんの護身用武器(マズルランチャー)ですわ。タローソンの廃棄弁当を巡って野良犬と争う時、鼻息で射出して眉間を撃ち抜くらしいでっせ」

「アイドルが廃棄弁当を巡って野良犬と縄張り争いすんなよ」

「ちなみにキャルルはんは元・獣人王国の姫君、リーザはんは元・人魚族の王女ですわ」

「どこの国も王室の教育どうなってんだ」

 俺が頭を抱えていると、キャルルがトテトテと歩み寄り、俺の顔をジッと見上げてきた。その瞳が、なぜか熱っぽい。

「先ほど、外から拝見しておりました。あのAランク魔獣を、指先一つで一瞬にして……! 私の大切な村を、あんなに鮮やかに守ってくださるなんて」

「いや、俺は自分の朝飯を邪魔されたから――」

「クロトさん、と言いましたね! もし貴方がこの村に定住し、共に村を守ってくださるというのなら……私、貴方との結婚を前向きに考えてもよろしくてよ?♡」

「重い。色々と重いぞ、村長」

 出会って数分でプロポーズ(仮)を叩きつけてくるヤンデレ気質の村長に、俺は思わず後ずさった。

 そんな俺たちの漫才のようなやり取りを、突然の『殺気』が引き裂いた。

「――隙だらけだな、田舎者ども」

 ファミレスの天井の影から、五つの黒い人影が音もなく音もなく舞い降りた。

 全身を黒装束で包み、手には毒の塗られた短刀を握っている。その身のこなしは、明らかにプロの暗殺者だった。

「な、なんやコイツら!?」

 ニャングルが慌てて俺の背後に隠れる。

「我らは勇者ゼロス様が放った先遣隊。この村は間もなく、魔王軍の拠点としてゼロス様直々に『浄化』される。その前に、村の幹部である貴様らの首を――」

「……私の村を焼くですって?」

 暗殺者が口上を述べ終える前に。

 キャルルの雰囲気が、劇的に、そして致命的に変わった。

 可憐なお嬢様のオーラが消え失せ、歴戦の武闘家のようなゾッとするほどの闘気が全身から立ち上る。

「せっかく、運命の旦那様(クロトさん)と良い雰囲気でしたのに……よくも邪魔してくれましたわねッ!!」

「なっ――!?」

 ダンッ!! と石畳が爆ぜた。

 キャルルの姿がブレたかと思うと、マッハの踏み込みで暗殺者の懐へと潜り込んでいた。

「月影流・鐘打ちッ!!」

「ガハァッ!?」

 タローマン特注の安全靴による、凄まじい遠心力を乗せた回し蹴り。鋼鉄のつま先が暗殺者の腹部装甲を紙切れのようにへこませ、男はくの字に折れ曲がって壁を突き破った。

「ヒッ!? な、なんだこのウサギは――」

「私のスパチャ(御縁)を邪魔する奴は、許しませんわよ! そぉいッ!」

 怯んだ別の暗殺者に向けて、今度はリーザが鼻に力を込めた。

「フンッ!!」という強烈な鼻息と共に、装填されていた五円玉が音速で射出され、暗殺者の眉間にクリーンヒット。男は白目を剥いて脳震盪を起こし、その場に崩れ落ちた。

「チィッ! まずはあの黒服の男から――!」

 残る三人の暗殺者が、キャルルたちを無視して一斉に俺へと刃を向けて跳躍する。

 どうやら、俺が一番の脅威だと判断したらしい。

「判断は正しいが、遅すぎる」

 俺はため息をつき、軽く指を鳴らした。

 ――【重力空間固定】。

「「「ガ、アァァァッ!?」」」

 空中に跳び上がっていた三人の暗殺者が、突如として見えない巨大な手にハエ叩きのように叩き落とされ、床に激突した。

 通常の十倍の重力。指一本動かすことすらできず、三人は石畳に顔を擦り付けたまま呻き声を上げることしかできない。

「す、凄いですわクロトさん! やっぱり貴方は私の――」

「キャルル、そっちの蹴り飛ばした奴、死にかけてるぞ。情報を聞き出す前に死なれちゃ困る」

「あっ、いけませんわ! 死んじゃダメぇぇ!」

 キャルルは慌てて、自分が壁にめり込ませた暗殺者に駆け寄り、両手をかざした。

 彼女の手から眩い月の光が放たれ、暗殺者の折れた肋骨や破裂した内臓が、一瞬にして『完全治癒』していく。

 男はハッと息を吹き返し、「お、俺は助かったのか……?」と安堵の表情を浮かべた。

 だが、キャルルはその男の胸ぐらを恐ろしい握力で掴み上げ、満面の笑みで告げた。

「さあ、お話しなさいな。でないと、もう一度さっきの蹴りを叩き込んで、また全回復させますわよ?♡」

「ヒィィィッ!! い、言います! 言いますからァ!!」

 ヤンデレ気質と暴力と過剰回復のフルコース。俺ですら少し背筋が寒くなる尋問に、暗殺者は泣き叫びながら全てをゲロした。

「ゼ、ゼロス様は……悪徳商会と結託して、この村の利権を狙っています! 明日の夜明けには、五百名の大部隊が『村を占拠した魔族を討伐する』という名目で進軍してくる手筈に……!」

「なるほどな。大義名分をでっち上げて、村ごと略奪する気か」

 俺は暗殺者たちを重力で気絶させると、背後の相棒を振り返った。

「聞いたな、ニャングル。敵は五百の大軍だ」

「へえ。完全な戦(いくさ)ですやんか。こりゃあ、ワイらも逃げる準備をせなアカン――」

「ニャングル」

 俺は、冷酷なマリーシア(狡猾な笑み)を浮かべて言い放った。

「タローマン(魔導ホームセンター)の資材を買い占めろ。鉄パイプでも肥料でも、発火性の魔石でも何でもいい。使えるものは全部だ」

「……へ?」

「神界の配信カメラの前で、偽勇者のメッキを全部剥ぎ取ってやる。アイツらが絶望する、最高の『処刑場』を作って歓迎してやろうぜ」

 俺の言葉に、ニャングルは一瞬キョトンとした後、ニヤリと悪党の笑みを浮かべて算盤を弾いた。

「……ククッ、言うと思いましたわ。よっしゃ、敵の兵站ルートも裏からワイが買い占めて、腹ペコにさせときまひょか!」

「ええ、私も村の自警団を招集しますわ! クロトさんとの初めての共同作業、燃えますわね!」

「私も歌いますわ! 歌って、敵から御縁(お金)を巻き上げますの!」

 重力チートの剣士。

 守銭奴の商人。

 武闘派ヤンデレ月兎。

 そして、極貧の地下アイドル。

 異常者だらけの緩衝地帯ポポロ村で、神と勇者を迎え撃つ、極悪非道な防衛準備が幕を開けた。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

「ヒロインたちのクセが強すぎるwww」

「タローマンでホームセンター無双の予感! 早く敵をボコボコにしてほしい!」

と少しでも楽しんでいただけましたら、ぜひ画面下(または上)にある、

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そして、評価の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、大変励みになります!

読者の皆様の評価ポイントが、クロトたちが罠を作る「タローマンの資金」になります!

次回からいよいよ、本格的なクラフト無双と、極貧アイドルの絶対無敵ざまぁが始まります。応援よろしくお願いいたします!

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