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チェリータルトと魔族抜けの女性

 真っ赤な丸い宝石の如く輝きを放つチェリーを沢山乗せて焼いた甘酸っぱくてジューシーなチェリータルト。出来映えも味もばっちりで美味しく出来上がった。

 そして得た魔法はロウラ。大波を起こす魔法である。広範囲な魔法だろうなと思いながら六等分にカットしたタルトのうちひとつを食べたので残りは五つ。

 レイヤとプニーの分を引くとまだ残りは三つ。あとはいつも通りにリリーフとクラフトさんにお裾分けをして……最後はどうしようかな。

 ドルックさんだと一切れでは物足りないだろうし、アッシュさんにあげようとしても本日は定休日だし……。

 あ、そうだ。彼女にお裾分けしよう。






「こんにちはー」


 商業ギルドにお邪魔して受付にいるレアーレさんの元へ向かおうとしたらすでに彼女は誰かと楽しそうに話をしている最中だ。

 割って入り込むのもちょっとどうだろうと考えていたけど、すぐにレアーレさんは私の存在に気づいて声をかけてくれた。


「あ、イルさん。こんにちは」

「えっと、こんにちはレアーレさん。お話の邪魔をしてしまってすみません」

「いえいえ。そんなことありません。ですよね? ザーネさん?」

「はい」

「えっ?」


 どうやらレアーレさんと話をしていたのは職場の上司でもあり、レスペクトのミルクを取引する相手でもあるザーネさんだった。

 お店も定休日だからなのか、コックコートではなくあまり見ない私服姿だったから気づかなかった。


「ザーネさんだったんですね。商業ギルドに何か用事がありましたか?」


 商業ギルドにいるってことは仕事を紹介してもらうか求人募集を出すためとかが主な理由なんだろうけど。

 ……ん? それってつまり新しい人材を募集しに来たってこと? 別に今の従業員の数で事足りるはずなのに……ハッ! もしかしてとうとう私がクビになるとか!? や、やらかしてしまった!?


「私はレアーレさんに新作用のケーキの味見をしていただこうと試作品をお持ちしたのです」

「あ、な、なんだ、そうだったんですねっ」


 理由を聞いて大きく胸を撫で下ろしてしまった。よく見ればレアーレさんはケーキが入っていると思わしきケーキ箱を手にしているようだ。


「ザーネさん、たまにこうして試作品を持って来てくださってるんです。ですが、素人の感想になってしまうので少し照れくさいのですが」

「いいえ、そんなことありません。レアーレさんの素直な感想はいつも参考にさせていただいていますので」


 恥ずかしげに笑うレアーレさんをザーネさんがフォローをする。彼の表情は相変わらず硬いのだけど、言葉は少し必死さを感じた。


「ふふっ。ありがとうございます。こんなことを言ってしまうとちゃっかりしてると思われますが、実はザーネさんがこうして来ていただけるのを凄く楽しみにしてるんです。ケーキも美味しいですし、ザーネさんとお話出来る唯一の機会でもありますので」

「そう仰っていただけると私も嬉しいです」

「……」


 そう言って二人は穏やかな表情で笑いあっていた。表情が硬すぎるゆえに笑みを浮かべることがあまりないザーネさんも優しい顔をしていたし、レアーレさんに至ってはどこか幸せそうに見える。

 なんというか、いい感じの雰囲気。まるで私がいるとお邪魔でしかないくらいに。


「あ、それよりもイルさん。本日はどうされましたか?」

「えっ。あ、いえ! ただ近くを通りかかったのでちょっと覗きに来ただけなんですっ。あ、あはは、それでは失礼しますっ!」


 すでにザーネさんからケーキも受け取っているから私からもケーキの差し入れするのはさすがに困るだろうし、早く退散した方が二人のためかもしれない。

 そう思って不自然かもしれないけど、そそくさと商業ギルドを後にした。


 続いてベーカリー・リーベへと向かい、リリーフとクラフトさんへチェリータルトのお裾分けに訪れる。

 しかし、タイミングが悪かったのか、クラフトさんは配達中でリリーフも沢山のお客さんを一人で相手にしながらレジ打ちとパンを詰める作業で忙しそうにしていた。

 それでもさすがリリーフというべきかテキパキと仕事をこなしている。

 私が「ケーキの差し入れを持ってきたんだけど後にしようか……?」と尋ねたら「上がって冷蔵庫に入れといて!」と指示までくれたので彼女の言う通り、住居となる二階へ上がらせてもらい、冷蔵庫に二人のケーキを入れて置いた。

 再び下へ降りるがまだ時間がかかりそうな忙しなさだったので軽く世間話をする暇もなくそのまま店を出る。

 パンも買いたかったのだけど、少し時間を置いてからまたお店に行こうと考えて残り一切れとなったケーキをどうするか考えることにした。

 うーん……やっぱり物足りないかもしれないけどドルックさんにお裾分けしようかな。

 冒険者ギルドも近いし、念のために緊急討伐依頼とかないか確認しておきたい。

 ランクアップはしたくないとはいえ、誰かが困るような状況なら手助けはしたいし、少しでもスイーツで得た魔法を活用してあげたい。

 カリュブディスと戦ったことを思えば大抵の魔物は可愛いものだろう。……多分。でも、カリュブディスだけはもうごめんである。


 冒険者ギルドへ到着すると一度依頼募集の掲示板を覗く。どうやら緊急性の討伐依頼はなさそうなのでちょっと安心し、そのままフロワさんのいるカウンターへと向かった。


「こんにちは、フロワさん」

「あぁ、こんにちは、イル様。本日はどのようなご用件でしょうか?」

「えっと、ドルックさんにお渡ししたい物があるんですけど、特に約束とかしてないのでお忙しいようならフロワさんから代わりに手渡していただけますか?」


 そう伝えてフロワさんの前にケーキの入った箱を差し出した。

 すると彼は申し訳なさそうな表情で謝罪をする。


「申し訳ございませんイル様。ただいまギルド長はギルド長会議のため王都にいます。そのため数日ほどは帰って来れないかと……」


 なんと。ドルックさんはスタービレにすらいないようである。さらに行き場を失くしてしまったチェリータルトがそろそろ可哀想でならない。

 とはいえ、元々一切れというドルックさん的には物足りないケーキのために数日後にまた届けるのもどうかと思うし、それだったら……。


「じゃあ、フロワさんに差し上げます。チェリータルトなんですけど食べられますか?」

「えっ? 食べられますが、私に……?」

「はい。どうせ一切れだけなので多分ドルックさんには腹の足しにもならないかもしれないですし、フロワさんさえ良ければ」

「あ、はい。そう仰っていただけるならありがたく頂戴します」


 元は彼のお姉さんであるレアーレさんにあげるものだったし、作り手としては食べてくれるなら誰でも構わない、

 こうして残りひとつだったチェリータルトの譲り先も決まり、もう一度ベーカリー・リーベへと向かおうかなと考えたところで視界に見覚えのある人物が映った。

 けれど距離が少しあるため確信を得られないので、せっかくなので視覚強化の魔法を試してみることにする。


「サイトアップ」


 魔法を口にした途端、私が見たかった人物が一気に拡大される。まるで望遠鏡にでも覗いたような気分だ。

 でもそのおかげで確信を得た。クラフトさんの姿である。

 配達帰りなのだろうか、こんな所で想い人に会えるなんてもはや運命ではないだろうか!

 せっかくだから話しかけよう。そう思ったのだが、どうやらクラフトさんはすでに誰かと話をしてる最中だったため、割り込むのが少しはばかる。

 どうやら相手は女性のようだ。随分と綺麗な人に思えるけど……あ! 女の人がクラフトさんの腕に絡んできた!

 何? あの人はクラフトさんの何なの!? あ、あんなにくっついて……!

 今までクラフトさんに女の影はなかったけど、まさかこんな形で見せられるなんて! でも、よく考えたらそうだよね……クラフトさん格好いいもんね……そりゃあ周りも黙っちゃいないよね……。


「うぅ……」


 もし、クラフトさんの大事な人だったらどうしよう……辛すぎて倒れちゃいそう。

 ……ん? でも、さっきからクラフトさんが困惑の表情をしているみたいに感じるけど……よく見てみたら離れたがってるようにも見える。

 ってことは……つまり……クラフトさんの彼女ではない可能性が高いのでは!?

 いや、こうしてはいられない! 困ってるのなら助けなければ! クラフトさんのために!

 足にハイスピードをかけた私は光の速さと言っても過言ではないスピードでクラフトさんの元へ走った。


「クラフトさん!」


 キキッ! とブレーキをかけて止まり、高速魔法を解除して二人の前に姿を見せる。


「おぉ、イル!」

「!」

「クラフトさんの姿が見えたのでご挨拶をと思って来たんですけど……そちらの方は……?」


 ちらりとクラフトさんの腕に絡む女性に目を向ける。

 その人は私を見るなり驚いた表情をしてすぐにクラフトさんの腕を離してくれた。邪魔が入るとは思わなかったのかもしれない。

 彼女はローズピンクのボブカットでまだまだ寒い時期だというのに胸元とか足とかの露出が多くて、男性の好きそうな色気たっぷりの女性だ。……なんという強敵!


「あぁ……なんか突然声をかけられてな。よくわかんねぇ宗教じみた勧誘みてーでよ……」


 困った顔で頭を搔くクラフトさんの話を聞いて、知り合いや彼女でもなさそうなのでひとまず安心する。

 とはいえ、宗教勧誘で困っていることには変わりないようだ。


「よくわかんない、で蹴られるのは困るわ。いつか復活を遂げる我が王のため、円滑にこの土地を侵略出来るように手引きし、同志を増やして、そして魔王様に忠誠を誓うのよ。そうすれば人間だろうとあのお方は受け入れてくれる。それが私達魔王教の活動なの」

「え……?」


 今、魔王教って言った? 確か、最近魔王を信仰する人が増えて宗教が出来たっていうあのっ!?

 この町にはそんな勧誘はなかったって話だったのにとうとうここまで布教活動を広めてきたって言うの……?

 そういえばアドラシオンの話によると扇動してるのは元人間であり魔族抜けのフェーデという人物とのことだ。

 もしかしてこの人がそうなのか、はたまた手先なのかはわからないけど、情報収集しているアドラシオン達のためにも詳しい話を聞いておいた方がいいかも。


「ク、クラフトさん! 私が説得しますからクラフトさんは店に戻っててくださいっ」

「え? いや、それはさすがに」

「リリーフが凄く忙しそうにしてクラフトさんの帰りを待っていますので! 早くっ!」


 大事なクラフトさんを巻き込むわけにはいかなくて、とにかく店に戻るように訴える。それにリリーフが大変なのは事実なのだ。


「あー……わかった。確かに早く戻らねぇとリリーフに怒られちまうな……っつーことは、だ」


 良かった納得してくれた……と思った矢先だった。

 ひょいっ。と、なぜか私はクラフトさんの脇に抱えられ、そのまま彼は走り出した。


「え、えっ!? ク、クラフトさん!?」

「お前を置いてくより一緒に逃げた方が早いだろっ?」


 そ、そうきたかー! クラフトさん頭いい! 格好いい! 男前! 好きっ!!


「あ! ちょっ、待って……お待ちください!!」


 まさか二人ともとんずらするとは思っていなかっただろう。女性は慌てて引き留めようとするがクラフトさんは止まることはなかった。

 いや、でもせっかく魔王教に関わりのある人と接触出来たのにこれでは何もわからないままになってしまう……のだけど、クラフトさんに抱えてもらえるのはめちゃくちゃ幸せなのでこのままでいいかもしれない……えへへ。

 ただでさえ今日は会えないと思って諦めてたけど、こんな形で、しかも密着出来るなんて思ってなかったから今日は凄くツイてるのかもしれない。

 もしかして運の数値さえも克服したのでは!?


 しばらくクラフトさんに抱えられた状態で町中を走るため、色んな人達の注目の的になって少々恥ずかしい思いをした。

 ……そういえば前も肩に担がれた状態で人の視線を集めたっけ。あれも嬉しい思い出であり、ちょっと照れくさい思い出だ。


「よーし、ここまでくりゃ大丈夫だろ」


 後ろや辺りを確認したのち、クラフトさんは大丈夫だと判断して私を下ろした。


「あ、あの、ありがとうございました」

「いや、礼を言うのはこっちの方だっての。悪かったな、間に入ってくれてよ」

「いえいえ! 私なんて何も! クラフトさんに何事もなければ良かったですし、むしろ知り合いとかじゃなくて安心すらしましたし!」

「そうか? まぁ、とにかくサンキュな。じゃあ、俺は帰るぜ。イルも気をつけて帰れよ?」

「は、はいっ。クラフトさんもお気をつけて!」


 手を振るクラフトさんにつられて手を振り返して彼と別れた。

 あとでベーカリー・リーベでパンを買おうと思ってたのだけどこんな別れ方をしたら今日はもう買いに行きづらい。ううん……明日にしよう。一日に沢山クラフトさんを摂取すると心臓に悪いかもだし、今日は帰ろうかな。


「見つけましたわ」

「!」


 目の前に先ほど撒いたはずの魔王教の関係者と思われるあの女性が立っていた。

 なぜすぐ追ってこれたのか。クラフトさんが思い切り走ったし、彼女も追えなかったはずなのにどうして。

 なんだか嫌な予感がした。彼女の目は明らかに私を狙っているようだ。

 息を呑んで相手の出方を窺うと、彼女はすぐに動いた。

 ザッと片膝をつき身を屈めたそれはまるで忠誠を誓うようにも見える。そんな彼女の動作に思わず「えっ」と声が出た。


「お久しぶりでございます、魔王様」


 まさかの言葉に私は一瞬固まってしまった。


「は……えっ、えぇっ!?」


 初対面だというのになぜか片膝をつかれ魔王と呼ばれたことに混乱してしまった。

 って、唐突に何を言い出すのかこの人は! 何を思って私に魔王だと口にしたかはわからないが人違い、いや、魔王違いである。


「いや、私、魔王なんかじゃないです!」

「ご身分を隠されているつもりでしょうが私にはわかりますわ。……それとも、魔族抜けした私、フェーデのことなんてもう記憶にないと仰るのですか?」

「フェーデ、って……元人間で魔族になったっていう……?」


 アドラシオンの言っていた通りだ。やはり魔王教に魔族抜けした元人間である魔族、フェーデが関わっていた。しかもその本人が私の目の前にいるなんて……。


「やはり覚えておいででしたのね! フェーデ、嬉しいですわ!」

「ち、違います! アドから聞いてて……」

「アイントラハト様の元幹部からお聞きして思い出したのですね」


 違う違う! そうじゃないんだって! てか、アドラシオンってアイントラハト様の元幹部だったの!?


「本当に勘違いなんです! 私は普通の人間で魔王でもないんです!」

「確かに今のあなた様は魔王の肩書きを自分の子どもにお譲りいたしましたが、私にとってはいつまで経ってもアイントラハト様が我が王です!」

「そういう意味じゃなくて……あの、私どう見ても女ですし、アイントラハト様とは似ても似つかないはずですが……」

「もちろん、公の姿ではとても勇ましい男体なのは存じております。ですが魔王の血が流れる者は両性体ということも私は忘れておりませんもの。アイントラハト様の女体姿を知る者は特に限られておりますが私にはわかりましたわ!」


 そんなに目をキラキラさせても勘違いなのですが。


「その言い方だと女性のアイントラハト様を見たことがないようですけど……何を根拠に私だと?」

「ふふっ。魔王様はお忘れですか? 私、魔力探知魔法を使えます」

(初耳です……)

「あなた様の放ったインフェルノ。私も見ていましたわ。そのときの魔力を探知してずっと探しておりましたの」

「あ……ああっ!!」


 王都でカリュブディスを相手にしたときのだ! そうか、あれを見たせいでアイントラハト様だと勘違いしたんだ!


「私、魔界を出てからも鍛練は欠かさなかったので魔力探知魔法のレベルも上がったのです。今では魔道具を通してしか見られなかった魔紋もばっちり目視することも出来ますので、あの日アイントラハト様の放った魔法により魔紋を目に焼き付け、あとは僅かに残る魔力を追ってここまで辿り着きました」


 魔力探知魔法……マジックサーチは確かに魔力を探知する魔法だ。

 主な使い方は罠魔法を探したり魔力量を目視出来たりとかだろうけど、個人識別可能な魔力の紋様である魔紋を可視化出来るのは初耳だ。そこまで至るにはやはり彼女のレベルがそれだけ高いように思える。

 ……鑑定魔法で確かめたいけど、本人を前にしてアプレイザルを口にするわけにはいかないだろう。


「常に魔力探知を発動していましたが、まさかあなた様が私の前に現れるとは思いもしませんでした。その魔紋、間違いなくインフェルノを撃ったときに見た魔紋と同じです!」


 常に魔法を発動してるってことはこの人の魔力量も相当なものでは……?

 うう、まさか魔族抜けの人があの魔法を見てたなんて。でも、確かに人間が魔族魔法なんて使えないから人間じゃないと思うのも仕方ないだろうけど、だからといって魔王だと判断するのは早計では?


「で、でも、魔族なら魔族魔法は簡単じゃないですか……あ、いや! 私は先祖が魔族らしく先祖返りだから使えただけで! 本当に魔王なんかじゃ!」

「何を仰いますやら。あの日放ったインフェルノは昔人間に撃ち込んだものと相当する威力ですし、アイントラハト様しか使えません。まだ人間の身であった私はそれを見てあなた様に仕えようと決心したくらいですから」


 こちらはその先代魔王様から一部とはいえ他にも使用可能な魔族がいる魔法って聞いてるのですが! だから他にもインフェルノを使える人いるはずだよ、あなたが見てないだけで……。

 しかし、どうしよう。何を言っても私がアイントラハト様だって信じてる。


「ああっ、でも魔王様がまた人間を根絶やしすることにお目覚めいただけて嬉しいです。私信じていましたわ。あなた様はチョコレートなんていうくだらないものに力を入れてはいましたが、いつか必ずまた人間の地を侵略してくれると! だからその日のために私は人間の土地で同志や使えそうな人間を集めて魔王様のために身を捧げる魔王教を創りました!」


 チョコレートなんていうくだらないもの……酷い言われようである。


「だから私は魔王なんかじゃないんです……髪の色も目の色も違うじゃないですかっ」

「アイントラハト様ならばどうとでも出来ますとも!」


 根拠もない言い分である……困ったなぁ。いくら先代魔王様でも魔王の家系の象徴とも言える金髪赤眼をどうすることも出来ないと思うんだけど。


「さぁ、我が王。何なりとこのフェーデにご命令くださいっ。魔王教の人数はまだ小規模ですがいつでもあなた様に捧げることが可能です」

「だから私は違うって……」


 もうどれだけ否定しても信じてくれないようだ。まともな話も出来そうにないし、こうなったら……。


「ハイスピード!」

「アイントラハト様!?」


 逃げるしかなかった。


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