第八百二十一話 風光明媚(前編)
第百二十三章 風光明媚
---三人称視点---
とりあえずラサミス達は、仲間が出揃うのを待った。
程なくして、魔王レクサーとその幹部が無事に転移を終えて姿を現した。
「カーマイン、このエリアはどんな感じだ?」
「見ての通り転移ゲートは、丘の上にあるぜ。
そしてここから見渡すと、
視線の遙か先に居城らしき城が見えるぜ」
「……本当だな。
ここのエリアの名前は「空中庭園」であったな」
「嗚呼、仲間ともその事について話し合ってたよ。
空中庭園がどのような物を指すか、
分からんが、あの居城らしき城の天辺にも庭園らしき物が見えるぜ」
「うむ、常識的に考えれば、
あの城が今回の攻略対象である可能性は高いな」
「……このエリア自体もそれなり広いようですな。
あの城に行く途中で砦らしきものの姿も見えますな」
と、シーネンレムス。
「あの砦と城を攻略するとなると、
結構な数の敵と交戦する事になるわね」
エンドラが珍しく真顔でそう言う。
「……今、遠征部隊の総数は幾つであったかな?」
「え、え~と「迷宮エリア」でも何人か――」
「6名が死んだので、残り224人ですな」
ラサミスが言い終える前に、
シーネンレムスが正確な数字を伝えた。
すると魔王レクサーは、右手を顎に当てて「うむ」と頷いた。
「あの砦、そして城には最低でも敵の配下がそれぞれ百以上は居そうだな。
その大半が天使兵とすると、
奴等の強制調教能力で、
このエリアに居る魔物や魔獣を配下に置いてる可能性が高い」
「それは充分に考えられる状況だな」
と、ラサミス。
「長期消耗戦に持ち込まれたら、我々が不利だな」
と、レストマイヤー。
「その通りだ、天使長ミカエルの所へ着くまで、
このエリアを含めて、後二、三のエリアはありそうだ。
それを考えたら、人員は極力減らしたくないものだ」
と、慎重論を唱える魔王。
「全ては敵の司令官次第ですな。
とりあえず今後の方針は一旦置いておいて、
仲間が出揃うのを待ちましょう」
シーネンレムスの提案に周囲の者が「そうだな」や「ええ」と相槌を打つ。
そして砂時計が一時間半分落ちたところで、
無事に224人全員が転移に成功。
全員、特に身体の不調とかはなく、
健康体でこの新エリアに降り立った。
「良し、全員揃ったな。
では各部隊の隊長とその部下は、
余の許に集まれ、これより作戦会議を行う」
こうして魔王レクサーの許に、
各部隊の隊長と隊員が集まり、
今後の方針について語り合う事となった。
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「成る程ね、敵の天使兵が強制調教するならば、
こちらも目には目を、こっちも魔物を強制調教したら良いのよ!」
そう言ったのは、第十軍の部隊に配置された女性魔物調教師のエルフ族のマライアだ。
「そうか、その手があったか!
それは色々と心強いぜ!」
「ラサミスくん、それ以外にも手はあるわよ。
こんだけ魔導師が居るんだし、
ゴーレムを大量生成する事も可能でしょうよ」
マライアの言葉にラサミスが「あっ」と声を漏らした。
「そう言えばそうだな。
ニャラード団長、ゴーレム生成は得意ですか?」
ラサミスがそう言うと、
ニャラード団長が自分の赤い羽根付き帽子のつばを右手でクイと上げた。
「嗚呼、通常のゴーレムから猫族ゴーレムまで生成出来るニャ」
「猫族ゴーレム? 何、それ? なんか可愛いッスね!」
と、メイリンが興味を示した。
だがニャラード団長は、淡々とした口調で返答する。
「その名の通り猫族っぽいゴーレムの事ニャ。
猫よろしく三次元移動も出来る猫型のゴーレムさ」
「ほう、色々と使い道がありそうだな。
そのゴーレムを自爆させる事も可能ですか?」
「ニャ! 自爆か! それは良いアイデアだニャ」
ラサミスの問いに微笑を浮かべるニャラード団長。
「嗚呼、天使兵に散々自爆攻撃されたからな。
目には目を、というやつさ。
この辺上手くやれば、
こちらの人員を減らさず敵だけを減らせそうだな」
「おいどんも面白いアイデアと思うニャンす!
ここから先のエリアは、
敵の数も増えるでしょうし、
調教した魔物やゴーレムを
適材適所で使うと色々と後が楽になりそうでニャンす」
ラサミスの意見にツシマンも賛成する。
すると魔王レクサーも上機嫌で――
「うむ、非常に有意義な話し合いだな。
ここに居る隊長格やその部隊の者も遠慮無く
意見やアイデアを述べて欲しい。
これから先は、全員の協力が必要となるであろう」
こうして天界遠征軍は、
この「空中庭園エリア」をどう攻略するべきか。
を全員で考えて、それぞれ意見を出し合った。
次回の更新は2026年8月23日(日)の予定です。
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