第八百七話 力天使メルキセデク(後編)
---三人称視点---
高らかに宣戦布告する力天使メルキセデク。
その姿に少し心が打たれたが、
ラサミスも自分のやるべき事を忘れない。
「とりあえずオレが奴を引き受ける。
メイリンはその間に『能力分析』を頼む!」
「了解よ、――能力分析」
メイリンが職業能力・『能力分析』を発動。
それと同時にメルキセデクが踏み込んできた。
キュイイイインッ!
メルキセデクは、地面を滑るようにホバー移動して耳障りの音を周囲に響かせる。
『加速装置で倍加された為、
想像以上に早いスピードで間合いを詰めてきた。
「まずは小手調べだ! ――ハード・ヒットッ!」
「舐めるなァッ! 「――諸手突きっ!!」
黄金の戦槌と斬魔刀が正面から衝突。
だがパワーではメルキセデクが勝っていたので、
ラサミスは衝撃に耐えきれず、後ろに数歩下がった。
「くっ……想像以上に重い一撃だ。
そしてホバー移動かよ、こちらも想像以上に早いっ!」
メルキセデクはホバー移動をしながらも、
所々で絶妙にターンして、ラサミスに対して連続攻撃を仕掛ける。
だが大盾を持っている為、
武器スキルも片手用に限定されていたが、
レベル90を超えるラサミス相手に肉薄していた。
「駄目だ、こちらの攻撃はあの大盾で完全に防がれる。
でも片手だがあの黄金の戦槌もかなりの威力だ。
直撃を受けたら、一気に骨が砕かれるな、コイツはヤベえぜ」
「ラサミス、そろそろ分析が終わるわ!!」
「メイリン、そうか! めぼしい数値を読み上げてくれっ!」
二人がそう言葉を交わすと丁度、分析が終わり、
メルキセデクの能力値の数値がメイリンの脳裏に浮かび上がった。
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名前:メルキセデク
種族:天使
階級:力天使・レベル86
能力値
力 :5350/10000
防御力 :10000/10000
器用さ :2485/10000
素早さ :6215/10000
知力 :3300/10000
魔力 :5500/10000
攻撃魔力:3865/10000
回復魔力:3250/10000
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「なっ、力が5350もあるわよ。
防御力に関してはなんと10000! カンストしてるわ!」
「なっ、防御がカンストだと!? マジかよ?」
「こんな嘘言わないわよ!」
「……それもそうだな」
そう言葉を交わして、
ラサミスは斬魔刀を右手に持って、
すり足でメルキセデクとの間合いを計る。
恐らく生半可な攻撃じゃ通用しないだろう。
となると魔法や属性攻撃による「魔力反応」を起こして、
相手に一気にダメージを与えるべきか。
でも奴が魔法攻撃が得意というパターンもある。
そうなると背中の「吸収の盾」を使うという手もあるが、
片手の状態では、アイツに掠り傷を負わせるのも難しいだろう。
ラサミスは頭の中であらゆる状況を想定した。
ここはレクサーとミネルバと共闘して、
メイリンとシーネンレムスの魔法攻撃に賭けるか……。
ここでラサミスは「耳錠の魔道具」による通話を試みる。
『魔王陛下、聞こえるか!』
『聞こえてるぞ、どうした?』
レクサーも「耳錠の魔道具」で応答する。
『奴の防御力は、なんと10000だとよ!
こりゃ並の攻撃じゃまるで通じねえ。
だからオレとアンタで奴を一瞬でも動きを止めて、
メイリンと大賢者の魔法攻撃で、
「魔力反応」を何度も起こして、
最後に大技で一気に叩き潰す、というのはどうだい?』
『悪くない判断だ。
では余がその趣旨をシーネンレムスに伝えよう』
『嗚呼、オレはメイリンのこの事を伝えるよ!
メイリン! この通話が聞こえているか!』
……。
三秒ほど待つと、メイリンの元気な声が聞こえてきた。
『ラサミス、どうかしたの?』
『オレとレクサーで奴の動きを何とか止めるから、
お前と大賢者の魔法攻撃で、
奴に対して何度も「魔力反応」を起こしてくれ。
そして最後にオレか、レクサーが決める!』
『そうね、それが良さそうね。
とりあえず妨害系の魔法攻撃を仕掛けてみるわ!』
『おう、任せたぜ!』
こうして各自で意思の疎通が成されたが、
戦況が厳しい事には変わりなかった。
巨大な機械兵相手に幾つか刀術スキルや能力を使った状態。
「黄金の時間」を使えば、
また刀術スキルや能力を使えるが、
それはあくまで最終手段。
「とりあえずまだ技の再装填が出来るから、
ここは出し惜しみせず、強化能力を使うぜっ!
行くぜっ!! ――明鏡止水っ!!」
ここでラサミスも奥の手を使った。
これによって彼の能力値も倍加された。
その姿を見るなり、レクサーも奥の手を使う事にした。
「余も全力を尽くそう! ――魔神降臨っ!!!」
レクサーも階級能力「魔神降臨」を発動させた。
それと同時に魔王の頭上に暗い影が生み出された。
その黒い影は渦巻きながら、
魔王の身体に呑み込まれように吸収される。
それと同時にレクサーの身体に溢れんばかりの力が漲った。
「良し、行くぞっ! ――カーマイン!」
「おう! 行こうぜ、魔王陛下!」
その姿を見て、メルキセデクも不敵に笑う。
「ほう、強力な強化能力か。
流石は特異点と魔王。 だがワタシはそう簡単には倒せんぞっ!
さあ、何処からでもかかって来るが良い!」
次回の更新は2026年7月20日(月)の予定です。
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