第八百五話 力天使メルキセデク(前編)
第百二十章 力天使メルキセデク
---三人称視点---
魔王レクサー達は、陣形を組みながら、
力天使メルキセデクが張り巡らせた封印結界の内部を歩んだ。
縦横の幅はかなり広い。
下手な貴族の邸宅の庭より広いかもしれない。
高さに関しては、流石に青天井ではないが、
それでも高さ十メーレル(約十メートル)はありそうだ。
そんな中、ラサミス達は、
前衛ラサミス、魔王レクサー、レフ団長、ミネルバ。
中衛にシーネンレムス、ニャラード団長、親衛隊長ミルトバッハ、カチュア。
そして後衛にエリスとメイリンという布陣を組んだ。
対するメルキセデク達は、
中央にメルキセデクが陣取り、
その左右を銀色の全長三メーレル(約三メーレル)はありそうな巨大な機械兵二体が固めていた。
左側の巨大な機械兵は大型のレーザー大剣を、
右側の巨大な機械兵は大型のレーザー斧を構えていた。
その中央で陣取る力天使メルキセデクは、
見事な空色がボディカラーで、四肢も胸板も太く分厚いが、
締まるところは締まっているので、
鈍重な印象はまるでしない。
そしてその巨体の左手に白銀の大盾。
右手に神々しい輝きを放つ黄金の戦槌を持っていた。
その二つの神器もさることながら、
全身からとてつもない殺気と魔力を解き放っていた。
それだけメルキセデクの実力が分かった。
ケルプ戦の苦戦したが、それ以上の戦いになるだろう。
この場に居る誰もがそう思った。
「カーマイン、良く聞け!」
「魔王陛下、何だい?」
「余とシーネンレムスと親衛隊長。
そしてニャラード団長の四人で、メルキセデクに攻勢をかける。
だから貴公等はまずは左右の二体の巨大な機械兵を倒して欲しい。
無事に二体を撃破したら、こちらに加勢してくれ」
「……分かった」
そう言葉を交わして、魔王レクサーは数歩前へ進んだ。
そして右手に持った魔王剣の切っ先でメルキセデクを指して――
「力天使メルキセデクよ!
もう戦いは始まってるのだな?」
すると前方のメルキセデクが機械音的な声で応じる。
「嗚呼、いつでもかかって来ると良い」
「そうか、ではそうさせてもらおう!
うおおおっ……おおおっ……あああぁっ!!!」
レクサーはそう言うなり、、両手に持った大剣を頭上に振り上げた。
そして眉間にしわを寄せて、魔力を篭めて、大剣を振り下ろす。
すると大剣の切っ先から漆黒の真空波が放出された。
「シーネンレムス! ニャラード団長!
貴公等も撃てっ!」
「はっ! ――シャドウ・フレアッ!」
「アイアイサー! ――ニャーマン・ビームッ!」
同時に放たれる強力な攻撃。
だがメルキセデクは、慌てる事なく、
左手に持った白銀の大盾を僅かに持ち上げた。
そして三人が放った攻撃が大盾に命中。
それと同時に鼓膜に響く爆発音が周囲に鳴り響いた。
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「……やったか?」
「いえ魔王陛下、この程度では死にやしないでしょう。
でも相手の反応が分かるので、
それで相手の力量を推し量りましょう」
「ニャ、私もシーネンレムス殿と同意見ですニャ」
「うむ。貴公等の言う通りかもしれん」
「魔王陛下、そろそろ爆煙がおさまりますニャ」
視界を遮っていた爆煙が思いの他、早く弱まり、
レクサー達の攻撃を受けたメルキセデク達の姿が露わになった。
だがメルキセデク達は、ほぼ無傷であった。
仮にもレクサー、シーネンレムス、ニャラード団長の攻撃を受けたのだ。
通常なら致命傷ではなくても、
多少なりのダメージや傷を負うものだ。
だがメルキセデクは、左手に持った白銀の盾を悠然と構えて、
「お前等の攻撃など効かぬ」と言わんばかりに、
その太くて長い両足で地面を強く踏んでいた。
「うむ、想像以上に破壊力のある攻撃だった」
「何だと? 見た感じまるで効いてないではないか?」
と、苛立ちを隠さずそう言うレクサー。
対するメルキセデクは、何処までも堂々としていた。
「それはそうであろう。
ワタシは熾天使や大天使の中でも、
一、二を争う防御力を有している。
諸君等の攻撃は大したものだが、
ワタシもそれ以上の防御力を有している。
ただそれだけの話さ」
「……成る程、見かけ倒しではなさそうだな。
――カーマインッ!」
「……何だ、魔王陛下!」
「先程、言ったように貴公には巨大な機械兵を任せる。
なんとか早く倒して、こちらに合流してくれ」
「了解だ、レフ団長!」
「何だい、ラサミスくん!」
「左側の巨大な機械兵は、
オレとミネルバ、メイリンで対応する。
レフ団長はカチュアさんとエリスで右側の奴を頼む!」
「了解した!」
「よし、じゃあオレ達は左側の奴を倒すぞ。
ミネルバ、オレのフォローを頼む。
メイリンは良いタイミングで水及び氷結魔法を撃ってくれ」
「ええ!」「分かったわ!」
こうして上手い具合に、
パーティが分散して敵を迎え撃つ事になったが、
まだまだ油断出来る状況ではなかった。
次回の更新は2026年7月16日(木)の予定です。
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