第八百三話 合流
---三人称視点---
予想に反して、早く終わった黒虎討伐。
そしてその止めを刺したニャラード団長の全身に物凄い力が漲った。
「……またまた来たニャンっ!」
そしてニャラード団長は、尋常でない経験値を得た。
全身から溢れ出る力と万能感。
その余韻に浸りながら、
ニャラード団長は、腰のポーチから自分の冒険者の証を取り出す。
そしてレベルの表記を見て、ニャラード団長はニヤリと笑う。
「レベルが84まで上がっているニャン」
最上級職の「ハイ・セージ」で、レベル84。
ウェルガリアのここ数百年の歴史を見ても、
「ハイ・セージ」でこのレベルは規格外そのものであった。
「レベル2も上がったのでニャンすね。
流石はニャラード団長!」
「ツシマン、ありがとうニャン。
とりあえず黒虎がドロップした石を拾うニャ」
気がつけば黒虎の肉体は既に消え去り、
力を失ったエンジェル・コアだけが残っていた。
「この残った石がエンジェル・コアだよね。
とりあえず回収しておくニャ」
ニャラード団長は地面に落ちたエンジェル・コアを拾い、
自分の赤いコートの内ポケットの中に入れた。
「とりあえずこれで黒虎討伐は完了ニャ。
恐らくこの先に祭壇があるだろうから、向かいましょう」
そしてニャラード団長達は、再び庭園エリアを歩き出した。
庭園エリアを歩く事、二分余り。
すると本殿に続く道の先に大きな朱色の門が立っていた。
その前に程よい大きさの黒曜石でできた古びた祭壇が鎮座していた。
「あの祭壇にこの石――エンジェル・コアを置けば、
あの朱色の門が開く、という事かニャ?」
ニャラード団長が自分の赤いコートの内ポケットに、
左手を入れて、先程拾ったエンジェル・コアを取り出した。
するとその時に周囲から突如声が聞こえてきた。
『ここは迷宮城の本殿前の祭壇の間です。
どうやら皆様は、無事に黒虎を無事倒したようですね』
「これも自動音声の類いかニャ?」
「ニャラード団長、そうと思います」
と、剣聖ヨハン。
『では本殿へ進むのであれば、
黒虎を倒した際に入手した石。
「エンジェル・コア」を祭壇の上に置いてください』
「……では置いてみよう」
『「エンジェル・コア」を確認しました。
準備が出来たら、祭壇の上へ置いてください。
その後、条件が揃い次第、本殿へ続く扉が開く事になります』
ニャラード団長はゆっくりと祭壇に近づいて、「エンジェル・コア」を置いた。
すると祭壇の周囲に強い魔力の波動が走った。
『「エンジェル・コア」が無事に置かれました。
おめでとうございます、これにて北門エリアの攻略は達成されました。
また南門エリアでも『白龍』討伐を無事成功。
これで北門と南門の両エリアの攻略が無事達成されました。
これより北門を開きます、皆様、大変ご苦労様でした』
そう自動音声アナウンスが聞こえて、
しばらくすると本殿に続く道の先にある大きな朱色の門が
「ゴゴゴッ」と音を立てて、門が綺麗に開いた。
「どうやら南門の味方部隊も無事に『白龍』を倒したようニャ。
そして門を潜る前に小休止して、
回復薬と魔力回復薬を使って、
体力と魔力を回復しよう」
こうして北門エリアと南門エリアも無事に攻略されて、
本殿へ続く門が開いたが、
ニャラード団長は次なる戦いに向けて小休止した。
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「無事に門が開いたな。
どうやら北門突入部隊も無事に黒虎を倒したようだな」
「そう考えるのが妥当だな。
じゃあ魔王陛下、この先を進もうぜ」
「そうだな、カーマイン。
では今まで通り隊列を組んで奥へ進むぞ」
魔王レクサーの言葉に従い、
ラサミス達も先頭に立つ魔王の後を追う。
南門を越えた先も 玉砂利の乾いた匂い。
古い神社特有の、湿った木と土の匂いが漂っていた。
「エンドラやデュークハルトの魔力の鼓動を感じるな。
どうやら連中もここに向かっているようだ」
「ならばまずは彼等と合流すべきでしょう」
「シーネンレムス、そうするべきだな」
大賢者の言葉に従い、
魔王レクサーは自身が感じる魔力の方向に歩を進める。
すると前方に十数名の人影を探知した。
数からして北門突入部隊に間違いないだろう。
レクサーは陣形を組んだまま、その人影に近づく。
その先に見知った顔ぶれを見つけて、
レクサー達の表情も自然と和らいだ。
「……北門突入部隊か?」
「その声は魔王陛下ですか?」
聞き覚えるのある声が聞こえてきた。
そしてお互いに間合いを詰めると、声の主が明らかになった。
剣聖ヨハン、ャラード団長、エンドラ。
デュークハルト、シモーヌ隊長、シャルク団長。
アーリア、クロエ、カリンなどの「ヴァンキッシュ」の面々の姿も露わになった。
「おお、ヨハン団長達も無事だったんですね!」
「ラサミスくん、お陰様で何とか無事だよ」
「黒虎は意外と大した事なかったニャン。
この私が止めを刺したよ」
と、少しドヤ顔気味のニャラード団長。
「これで無事に合流出来たな。
北門突入部隊は体力と魔力の補充は充分か?」
「ハイ、魔王陛下。 準備万端ですニャ」
「そうか、ならばこの先にある赤い小さな門へ向かおう。
恐らく敵――力天使メルキセデクが居るであろう」
魔王の言葉に周囲の者達も無言で頷く。
そしてそれぞれ二部隊に分れて、
赤い小さな門――鳥居へと向かった。
次回の更新は2026年7月12日(日)の予定です。
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