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【天界編開始!】黄昏のウェルガリア【累計100万PV突破】  作者: 如月文人
第三部【天界】編

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第七百八十八話 新エリアへ(後編)


---三人称視点---



 砂時計が一時間半分落ちたところで、

 無事に230人全員が転移に成功。


 とりあえず全員、身体の不調とかなく、

 健康体でこの新エリアに降り立った。


「良し、全員揃ったな。

 ならば各部隊に分かれて、隊列を組んで、

 あの巨大な城を目指して進むぞ」


 魔王の言葉に全員が素直に従った。

 その道中で再び魔物や魔獣と遭遇したが、

 当然の事ながら、天界遠征軍の敵ではなかった。


 更には周囲を探索して、

 食料になりそうな物を探したが、特に見つからなかった。


 ただ水に関しては、

 巨大な城の水路に繋がる河を見つけた。

 ここでマライアなどの魔物調教師モンスター・テイマー

 ガルムを捕獲して、水を飲ませたが特に異変はなかった。


 その後、水を浄化して飲料。

 更には浄化せずに水を飲んだが特に問題はなかった。


「……うん、本当に普通の水です。

 美味くも不味くもない感じです」


 と、荷物持ち(サポーター)のキャミルが無表情で答えた。

 どうやら浄化されてない水を飲まされた事に少し怒っているようだ。


「水場は確保出来たか。

 だが今回はあえて休まない方向で行く。

 あの大きな城目指して行軍を続ける」


 休息は前の「楽園エリア」でたっぷり取ったので、

 魔王レクサーは今回はあえて休まず、

 高い士気を維持した状態で目的地である大きな城を目指した。


 そして時間に換算して、約二時間後。

 ラサミス達の眼前にその光景が広がった。


 壮麗、雄大、絢爛けんらん

 その言葉を融合したような巨大な城。

 大きな槍のような尖塔群が、

 幾つも並んで天に向かっていて伸びていた。


 それらに護られるように、荘厳な宮殿が鎮座する。

 その周囲に高くて分厚い壁が巡らされ、

 更にその外側を深く広い断崖が取り囲んでいた。


 あらゆる壁や柱は深い藍色で彩られ、

 内部には赤い灯火が無数に揺れていた。

 

「あそこの城が間違いなくこのエリアの攻略対象だな。

 我が魔大陸のアストンガレフ城より立派な城構えかもしれん」


「確かにあそこまで立派な城は、

 ウェルガリアでもそうはないよな」


 レクサーの言葉に相槌を打つラサミス。

 二人だけでなく、他の周囲の者達も目の前の巨大な城。

 「迷宮城めいきゅうじょう」が醸し出す圧倒的なオーラに気圧されていた。


 するとその時、異変が起きた。

 迷宮城の中心部から、物凄い魔力が解き放たれて、

 その直後、城の上空に巨大なホログラムが浮かび上がった。

 間もなくして、その巨大なホログラムは人の形をかたどった。


 頭部はバイザーつきのヘルメット型。

 胸部もボディも逞しい感じに重量感がある風貌。


 だが大天使というよりかは、

 その姿は神化しんかした熾天使してんしウリエルの姿に似ていた。

 その少し異形な姿の巨大なホログラムが急に言葉を発し始めた。


『ウェルガリアの天界遠征軍に告ぐ!

 ワタシはこの迷宮エリアを統括する力天使りきてんしメルキセデクである。

 ワタシは諸君等が今、目にしている迷宮城めいきゅうじょうの中枢部で、

 諸君等を待っている。 ワタシを倒して、先のエリアを目指すつもりならば、

 この迷宮城めいきゅうじょうを攻略してみよっ!』


 見た目と同じく声も機械的であったが、

 この堂々たる宣言には、ラサミスやレクサーも素直に敬意を抱いた。


 敵とはいえ敬意を抱くべき好敵手。

 ラサミスやレクサーだけでなく、他の者も似たような考えに至った。


『とはいえこの迷宮城がいくら広いと言えど、

 諸君等全員を入城させたら少々手狭になるのも事実。

 またこの迷宮城は北門と南門からしか入城出来ない仕組み。

 そして北門エリアに居る黒い虎「黒虎くろとら」。

 南門エリアに居る白い龍「白龍はくりゅう」を倒す事によって、

 得られるエンジェル・コアを祭壇に捧げる事で、

 ワタシが鎮座する城の中枢部エリアが開放される』


 要するに部隊を二部隊に分けろ、との話のようだ。

 また幾つかのルールも説明するようなので、

 ラサミス達もメルキセデクの言葉に真剣に耳を傾けた。


『その中枢部エリアまで来れば、

 このワタシが諸君等の相手をつとめよう。

 但し北門、南門に一度に突入できる人数は制限させてもらう。

 各門ごとに18名、二門合わせて36人。

 これが一度に投入できる人員の上限としたい。

 そして投入した部隊が全滅すれば、

 また新たに人員を投入しても構わない。

 このルールに従うなら、諸君の迷宮城の入城を認めよう』


 ここで入城制限が決められた。

 いくら広い城と言えど、230人全員が入城すれば、

 迷宮城の攻略自体は、意外と簡単になるかもしれない。


 城内に配置する魔物や天使兵、機械兵にも数の上限はあるだろうし、

 メルキセデクがこのような入城制限をつけるのも当然と言えた。


『では人数を決め次第、

 それぞれ北門と南門から入城するが良い。

 そして黒虎と白龍を見事倒して、

 中枢部で待ち受けるワタシのもとまで来てみろ。

 その時はワタシの持てる全ての力を持って、

 諸君等を迎え撃とう。 では諸君等の健闘を祈る』


 それだけ言い残すと、

 上空に浮かび上がった巨大なホログラムが綺麗に消え失せた。


 何処までも正々堂々とした態度。

 そこに幾ばくかの敬意を抱きながらも、

 ラサミスとレクサーも現実に引き戻らされて、

 この迷宮城をどう攻略するか、と考え始めた。


「とりあえず北門と南門に人員を振り分けるが、

 城に突入する人員も厳選する必要があるな。

 ここは魔王権限で突入する人員を決めるが、

 我こそはと思う者は、立候補してくれても構わん」


 こうして天界遠征軍は、

 迷宮城を攻略するために、話し合いをして、

 まずは突入する人員を決める事となった。


次回の更新は2026年6月7日(日)の予定です。


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