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そんなある日。
いつものように花梨は空を見ていた。
青葉が扉の外から話しかけてきた。
「花梨様。守様が会いたいと言ってきてます」
「守様?」
初めて聞く名前だった。
また自分の力を求めて来た人間かな?と思い、花梨は会うことを承諾した。
守という人間が入ってきた時、花梨はすぐにわかった。
この守という人間は自分を捕まえた人だと。
「久しぶりだね、花梨ちゃん」
「…………」
花梨は何も答えずにいると守は後ろにいた花梨と同じくらいの男の子を部屋に招き入れる。
「来れなくてごめんね……今日は俺の息子を紹介しようと思ってね」
「どうも奏です。よろしくね」
その男の子は赤髪で瞳も赤いのが印象的だった。
「実はお願いがあってね。息子と結婚してくれないかい?」
「え……?」
いきなりの申し出に思わず声を出した花梨。
驚くのも無理はない……いきなり知らない男の子と結婚してくれないか?と頼まれれば驚くに決まっている。
近くにいた青葉も驚いていた。
「今すぐじゃなくていいんだ。そうだな……3ヶ月後にしよう」
うんうんと頷きながらそう言う守。
花梨はいきなりで着いていけなくて唖然としていた。
そこから話がどんどん進んでいき、あれよあれよと守の息子の奏と結婚することになってしまった。
それから毎日のように花梨の元に奏が訪ねてきた。
「こんにちは、花梨。今日は天気が良くてお昼寝したくなるね」
「……そうね」
何てことない会話。
奏は特に花梨に変なことするわけでもなくてただ、他愛のない話しをしに来ていた。
次第に花梨は奏を受け入れてきていた。
またそんなある日。
いつものように奏が花梨の元へと訪ねてきたが1人ではなかった。
奏の後ろに茶髪で緑色の瞳の男性が立っていた。
「こんにちは、今日は友人を連れてきたよ」
「……こんにちは、遥人です……よろしく」
花梨は遥人と言う人物を見てでカッコいい人だと思った。
そして緑色の瞳がとても綺麗に見えて、花梨は瞳をひたすら見ていた。
遥人もまた花梨の瞳を見ていた。
しばらく見ていたら、奏が間に入ってきた。
「もう花梨、遥人、2人とも見すぎだよ」
「……あっ……ごめんなさい!……なんか瞳が綺麗だなあって思っていて……」
フイッと花梨は遥人から目線を外す。
遥人もまた目線を外す。
「綺麗ねぇ……ねぇ僕の瞳は?綺麗じゃないの?」
「そんなことないわ。燃えるような瞳が素敵よ」
「燃えるような瞳か……ありがとう」
それから奏は遥人を連れて花梨の元へと訪ねてきた。
退屈な1日を過ごしていた花梨はいつの間にか2人の他愛のない話が楽しみになっていた。
そんなこんなで2ヶ月が経った時だった。
いつものように奏が訪ねてきた。
「いらっしゃい、今日はどんな話をしてくれるの?」
「花梨……君は本当にこのままでいいの?」
「え……?どうゆう意味?」
いきなり奏にそう聞かれ、花梨は戸惑う。
「……君は、あの空へ帰りたいんじゃない?」
「どうして……」
「お父様がいきなり君と結婚してくれないか?って頼まれてなぜ?って思って君のこと調べた……君は10年前にお父様が連れてきた天使だったんだね」
確かに10年前にこの城に幽閉したのは紛れもなく、奏の父親の守だ。
「後1ヶ月で君は僕と結婚させられる。そうするともう一生ここから出ることが出来なくなる……いきなりで悪いけど、今すぐ決めて……君はあの空へと帰りたい?それともここで一生暮らしたい?」
いきなりで驚いていた花梨だがずっと胸しまっていた思いをぶつけた。
「……帰りたい!!」
「そう……だったらここから逃げよう!」
奏が花梨に手を伸ばす。
その手を花梨は取り、繋ぐとそのまま扉の外へと向かう。
初めて扉の外へと出るとすでに遥人と青葉が立っていた。
「人払いは出来ています……どうか逃げ延びてください花梨様」
「青葉……」
青葉はぎゅっと花梨の両手を握る。
「私はあなたに命を救ってもらいました。次は私があなたを助ける番です」
「え……?まさかあの時の……?」
青葉にそう言われ、花梨は思い出した。
ここに幽閉される前に馬車に轢かれ助からない命を救ったのことを……そう、あのときの子供は青葉だった。
青葉はずっと命を助けて貰ったことを恩義に感じながらそばにいたのだった。
そして花梨には幸せになって欲しいと今回の計画に加担したのだった。
「ありがとうございます、花梨様。どうかお元気で」
花梨は青葉に抱きつく。
「ありがとう青葉。私、あなたのこと忘れない!」
「えぇ……私も忘れません。さぁ行って下さい!」
青葉はポンポンと花梨の背中を軽く叩き、体を離す。
花梨は奏と共にその場を後にする。
人気のない場所へと向かい出口近くまで来た。
出口には兵隊が立って見張りをしていた。
「奏、準備は出来てるぞ」
貨物馬車に花梨は乗り込み、荷物に隠れる。
「奏は?行かないの?」
荷物に隠れる花梨は奏にそう聞く。
奏は花梨のそばへといき遥人に聞こえないように話しかける。
「だって君、遥人のこと好きだろ?」
「なっ……!に、言って……!」
「1ヶ月ちょいしかいなかったけど、花梨が遥人を見る目はまさに恋する乙女の瞳だったからね」
花梨は顔を真っ赤にしてうつむいた。
「何してる。早く行くぞ」
「遥人、花梨をお願いね」
「……あぁ、分かっている」
そう遥人が答えると、貨物馬車を走らせる。
すぐに門番が止めて荷物を軽く調べるが、花梨が隠れた荷物は調べずそのまま外へと走り出した。




