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森に差し込む朝日が花梨に注ぎ込むと花梨はゆっくりと瞼を開ける。
昨日と変わらない風景に花梨は、やっぱり夢じゃなかったか……と思ったが、こうしてはいられないと立ち上がり、森の中を歩き始める。
道中、色々な動物に会い、街の道を聞いていく。
どのくらい歩いただろうか……ようやく街が見えてきた。
「これが人間界……」
天使以外の人間をみたことなかった花梨は天使の羽根がないだけで自分と変わらない姿に驚いていた。
花梨は街の中を歩き始める。
見た目が幼いので周りの人間達は、親はどうしたのかと思っているのか、花梨をジロジロと見てくる者が多かった。
そんな中、1人の女性が話しかけてきた。
「お嬢さん、1人?お母さんとお父さんはどうしたの?」
「え……あの、えっと……」
初めて声をかけられ花梨は何て答えたらいいのか戸惑う。
両親は天界にいて、自分は天使で……戻れるまで生きていかなくちゃいけなくて..……と答えようとしたが、戸惑っていた花梨はそう答えれなかった。
「大丈夫?」
心配そうに花梨を見ている女性を見て話そうとした時だった。
ガシャーンッと何かが割れる音とドンッという何かに当たった鈍い音がその場に響き渡った。
何事かと思い、その場にいた全員が音のした方へと向かう。
花梨もまたその場所へと向かった。
その場所へと着くと人集りが出来ていて、何があったか花梨からは何も見えなかったが、誰かが助けてください!と叫ぶ声がしたのは聞こえてきた。
「事故だ」
「子供が馬車の下敷きになったらしい」
「あれは、ダメだね……もう助からない」
花梨は助けを求める声に、導かれるように人集りを掻き分けて進んでいき、事故現場へと着く。
すると花梨の目の前に割れたガラスと馬車が店に突っ込むようにしていて横転していた。
その近くで花梨と同じくらいの血まみれの女の子を抱えてひたすら助けを求めてる女性がいた。
だが、誰がどう見ても女の子は虫の息で助かる見込みはなさそうで集まった人々はその場に立ち尽くすしかなかった。
「あの……」
花梨は助けを求めていた女性の前まで行き、話しかける。
「この子は私が助けます」
「え……?あの……あなたは?」
まだ子供の花梨にそう言われ、助けを求めていた女性は驚き花梨を見る。
花梨は一度深呼吸して女性の腕に抱かれてる女の子に手をかざす。
花梨の背中に羽根が生えて花梨の手から光が溢れ、女の子に注ぎ込まれる。
するとたちまち女の子の傷が治っていく……そして光が収まると女の子が目を覚ます。
「ママ……?」
「奇跡だわ!ありがとう!本当にありがとう!!」
どうやら母親だったらしく、女の子の母親はひたすらお礼を言っていた。
「ねぇ、あれって天使の羽根?」
「あの子、天使なの?」
「でも、天使って伝説な生き物だろ?」
周りからは花梨の背中に生えた羽根に注目していた。
この人間界では天使は伝説な生き物……存在しない者。
周りの人の話から花梨は以前母親から、もし人間界に来ても無闇に力を解放しては行けない……それを利用する人がいるかもしれないと教わっていたことを今、思い出した。
花梨は天使の力を解放してしまった。
しかも大勢の前で……でもここで解放しなかったらこの女の子は助からなかった。
花梨は後悔はしてなかった。
「もう、大丈夫だね。どこも痛くないよね?」
「うん。ありがとう」
「じゃあ、またね」
花梨は羽根をしまってその場から走りだした。
力を解放してしまった以上、自分を利用する人が出てくるかも知れないと思い、その場から逃げるように走るしかなかった。




