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青葉が部屋から出るのを見届けると、花梨は再び空を見上げる。
「お母さん……皆……会いたいよ……」
そう呟き、花梨は目を瞑り、ここに来た事を思い出していた。
そう、あれは10年も前の事だった。
当時5歳になった花梨は天界で友達と遊んでいた時だった……たまたま人間界を覗ける鏡を見つけたのだ。
最初は何なのか分からず、鏡を見つめていた時だった……目の前が歪み始めた。
「花梨!!」
母親の声にハッと意識が戻ったが、既に遅く花梨は鏡に吸い込まれていた。
眩い光が花梨を包み、あまりの眩しさに目を瞑り、少しすると地面に叩きつけられた。
「痛っ……」
痛みに花梨は顔を歪めるがすぐに辺りを見渡すと先程自分がいた場所じゃないことに気づいた。
「ここ、どこ?……お母さん!」
花梨は母親を呼ぶと上から声がして花梨は上を見ると母親が自分のことを呼んでいるのが見えた。
「お母さん!?」
「花梨!花梨!!」
母親は必死にこちらに来ようとしていたが、どうやら母親は花梨の場所へと来れないでいた。
花梨は羽を出し、母親が見える場所へと行こうとしたが、飛べずにただ羽が動く音だけが響いた。
実は花梨はまだ5歳になっても飛べないでいた。
特に天界でも不便もしていなかったため飛ぶ事もしていなかったのが今は仇となっていた。
「お母さん!お母さん!!」
必死に母親を呼び、飛ぼうとジャンプするが母親のいる場所へと行くことが出来ない。
そうしていると、段々と母親の姿が見えなくなっていった……花梨はこのままだと帰れないと本能的にわかった。
必死に飛ぼうとしたが虚しく、母親の姿は完全に見えなくなり声もしなくなってしまった。
「お母さ――ん!!!」
花梨の泣き叫ぶ声が辺りに響く。
どのくらい泣いていたか……辺りはすっかり暗くなり真っ暗な闇が広がっていた。
花梨は、これからどうしようか……と考えていた。
天界に戻れないとなると、この人間界で天界に戻れるまで生きていくしかない。
だが、まだ5歳になったばかりの花梨は生きていけるだろうか……花梨は不安になったが、天界に戻るためにも生きていくしかない……花梨はそう考えて、とりあえず今日はこの森の中で過ごし、朝になったら街まで行ってみるしかないと花梨は考えた。
近くの木の下に座り花梨は眠りにつく……無駄かも知れないがこれが夢であって欲しいと願いながら……。




