プロローグ
朝、太陽が顔を出し、日の光が部屋へと入り込む。
少女はその窓を開けると鳥が鳴く声が聞こえてきて風が吹くと少女の長い青い髪がなびく。
「おいで……」
少女が手を差し出し鳥に声をかけるとその鳥は少女の手に引き寄せられるように止まる。
「貴方はいいね、自由で……しかも飛べて……私は貴方になりたい」
鳥の頭を優しく撫でながらそう呟く少女。
そんな少女に鳥はピヨピヨと鳴きながら少女の手を軽くつつく。
それはまるで励ましているようだった。
「励ましてくれるの?ありがとう……」
ピヨピヨと鳴きながらもう一匹の鳥がやってきた。
少女の鳥はその鳥に気づき、近寄ると二匹は空へと羽ばたいていき、そんな光景を悲しげに切なげに髪と同じ色の青の瞳でただ見ていた。
「花梨様、お食事の用意が出来ました」
静かに控えめな声で扉の外から静かな部屋に響いた。
「…………」
だが花梨は気づいていないのか空を見上げたままだった。
「花梨様……?入りますね」
食事を出来たと伝えに来た者は静かに扉を開けるとそこにいたのは花梨と一緒の少女だった。
扉を開けたがそれでも気づかない花梨に近づき肩を軽く叩く。
「花梨様」
「あ……」
「また空を見ていたのですか?」
またとは……そう、花梨は起きると必ず窓を開け、気持ちよさそうに空を飛ぶ鳥と空を見ていた。
「青葉……いつか私も飛べるようになってあの空へと帰りたい……」
切なげに呟く花梨。
青葉は理由が分かるので何も言えない……。
青葉はどうにかしてあげたいと思うが、ただの世話係の自分では何も出来ない。
「あ……食事の時間だったわね。運んでいいわよ」
「はい……」
青葉はそのまま食事を部屋へと運ぶとそれをなんともいえない顔で見る花梨。
「今日は朝から豪勢ね」
食事が質素だったことは1度もないが、今日は一段と豪勢だった。
普段はなかなか手に入らないだろう金平糖があったりしていた。
「今日はなんかあったのかしら?」
「……田口様の子供の病気が治って欲しいとお願いされ、花梨様が祈って下さったら子供の病気が快方に向かったそうです……今日のこの料理はそのお礼だそうです」
つい、数週間前のこと、子供が病気にかかり命が危ないので花梨の天使の力で治してもらおうと思い尋ねて祈って貰った。
そうしたら子供が快方に向かい、今は徐々にご飯も食べれるようになったそうだ。
「そう……良かった」
花梨は思う。
あまり、天使の力は使わないと決めていたが子供の両親があまりの必死だったので、花梨は天使の力を少しだけ使うことにしたのだった。
快方に向かったのなら後はその子供の頑張りで病気も治るだろう……花梨はそう思った。
出された朝食を花梨は全部食べ、金平糖だけは少し食べて、後は世話係達に差し上げてと花梨は青葉に言う。
「ありがとうございます。みんな喜びます」
「ううん。いつもありがとね」
そう言って花梨は微笑む。
朝食を食べ終わったので、皿を片付けるために青葉は部屋を出る。
こうして花梨の長い1日は始まっていく。




