2:復讐
ーーーー都内某日 裁判所ーーーー
「被告、清水 陽を死刑に処す」
芽愛の死体を見つけ、一縷の望みを託して救急車を呼んだがやはり間に合わなかった。間に合うどころか即死だったらしい、なぜあんな所で芽愛は寂しく死ななければならなかったのか、いったいどうしてそんなことになってしまったのか。もし事故ならば、せめて即死で苦しむことがなかったことを気休めにするしかないのか。そんな絶望の中で警察に告げられたのはもうこれ以下はないと思っていた絶望をさらに深めるものだった。
検死の結果、芽愛の体内には3名の男性の体液があったということだ。女性の体内に男性の体液が存在する状況なんて限られる、限られすぎる、それも3名分。芽愛は凌辱されたのだ、そしてその事実が耐えられなくてビルの屋上から身を投げたのだろう。それが警察の見立てだった。
警察の捜査のおかげで明らかになったのは芽愛がナンパについていき凌辱されたということ、芽愛を見つけた所に裏口があるカラオケがその現場、芽愛が受けた屈辱を収めたビデオが一部で販売されており、それが物的証拠として決め手となって、実行犯3名、共犯者であるカラオケ店の店長と店員が逮捕され実刑となった。
そんな実行犯の懲役は6年、俺は到底納得できなかった、大切な娘を凌辱され、命まで奪われ、たったの6年?ふざけるな。納得できるわけがない。
警察は強制性交の罪しか問えないと言って力になってくれない、自殺を強要したわけでも、自殺を唆したわけでもない以上、犯人に適用できる罪状はその程度だと。この絶望から誰も助けてくれない、にもかかわらず6年もすれば俺と芽愛を地獄に落とした男達は刑務所を出てのうのうと生きるのだろう。そんなこと、許せるわけがない。
だから殺した。実行犯も、共犯者も探し出して、全員確実に殺すために計画を練って、全員の生活クルを把握して、1日のうちに全員銃で撃ち殺した。最後には芽愛をナンパしたやつを簡単には殺さずに腕を、足を、腹を、男根を、順番に撃って奴の苦痛に歪む表情と悲鳴を聞いてから撃ち殺した。
なにも楽しくなかった、一切気分が晴れなかった、あの日止まった俺の時間が再び動き出すことはなかった。けれど一ついいことがあるなら、これで俺はこの地獄から解放される。
雪もいない、芽愛もいない、幸せにしたい相手も、守りたかった相手も誰ももういない。生きていても幸せだった頃を思い出して辛くなるだけだ、一刻も早くこんな地獄からは解放されたかったが、復讐も果たさずこの地獄から解放されるわけにはいかなかった。
復讐が終わって、抜け殻になった俺は自殺する気力も残ってなかった。なにもしたくなかった、そんな俺を司法は殺してくれるのだ、犯人を罰するのに役に立たなかった司法も、この一点においては役に立ってくれた。
ーーーー数か月後 都内某所ーーーーー
「526番、出ろ」
「わかりました」
今日、俺の死刑が執行される。最後に別れを告げる相手はいるかと聞かれたが、そんな相手はもういない。ここにはいないから早く俺を二人の元に送ってほしい。首に縄が掛けられ、踏板が開く音がする。苦しい、息が出来ない、妻との約束も守れず、娘を守れなかった情けない男にはお誂え向きな末路だろう。
苦しんで、懺悔の中で死を迎える。雪、ごめん、約束を守れなかった、芽愛を託されたのに、幸せにしてあげることができなかったよ。芽愛、ごめん、守ってあげられなかった、1人で寂しく死なせてしまって、こんなことになるなら夜更かしぐらい許せばよかった。あの世で会えたら土下座でもなんでもしよう。けど、そうだ、これからあの世で2人に会えるんだ、ははっ、そうだな死後が楽しみになってきた、頭もぼーっとしてきたし、もう苦しみも感じない、ああ、楽しみだ、今2人に会いに行くよ。
作者は法律のプロでもなんでもないのでここおかしくね?とか思っても現実の日本とこの作品の日本では法律の解釈とかその辺が違うんやろうなあぐらいに思ってください。一応死刑執行までは確定すれば6か月以内って決まってるし暘は再審請求とかしないだろうからそこまで変じゃないだろうと自分に言い聞かせてます




