表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

1.5:親不孝

「お父さんのお弁当にでもすれば勿体なくないって!それにちゃんと遅刻しないように今起きれてるんだからいいじゃん!じゃあ行ってきます!」


 私はイライラしながら家を出る。少し長く寝たぐらいでぐちぐちと小言を言われたんじゃたまらない。別に学校に遅刻するまで寝てたわけじゃないし、朝食なんてコンビニで適当に買えばいい、余ったものだってお父さんのお弁当にすればいいし、なんなら今後は朝はコンビニで済ませればお父さんも早起きしなくていいし楽になるじゃん。


「おはよう芽愛!どしたん?今日はご機嫌斜めじゃん」

(あおい)おはよ、いや、朝からお父さんがうるさくてさ」

「あはは!(あきら)おじさんも頑張ってるんだからあんまり言ったら可哀そうだよ」

「それはわかってるけど…」


 葵は小学校からの私の親友だ、よく遊んでいたので家の事情も知ってるし、それでも私のことを憐れんだりせず付き合ってくれる。私とは対照的に髪は長く、出るところは出ているのに締まるところは締まっている女の私でも見惚れる超美人。私は出るべきところすら出ていないのに…


「そうだ!今日の放課後甘い物食べに行こうよ!新しく出来たクレープ屋さんが美味しくてさ!」

「クレープかぁ、たまにはいいね!」


 家は決して裕福じゃないから私のお小遣いもそんなにもらえていないけど、たまには甘い物でも食べて自分にご褒美をあげないとやってられない。お金のかかる遊びなんて出来ないし、友人と一緒に買い食いするのは私にとって貴重な娯楽だ。


 そんな約束をほのかな楽しみに、退屈な授業を乗り越えてやってきたクレープ屋の行列。葵はとんでもないことを言い始めた。


「芽愛ごめーん!彼氏が今日の部活休みになったからこれからデートしようって!悪いけど行ってくるね!」

「はい?」


 この女友情よりも彼氏を取りやがった。隣の進学校に通うイケメンでサッカー部のエースストライカーな葵の彼氏。よく惚気られてはいるがまさか先約の私を押しのけてまでデートに行くとは、許すまじ。


 葵はさっさと列を離れて彼氏の元へ行ってしまった。一人でクレープ食べるのもなあ、でもせっかくここまで並んだしなあ…。はぁ、仕方ない、適当に買ってさっさと帰ろう。


「お姉さん一人?美味しそうなの食べてるのに顔色暗いじゃん!彼氏にすっぽかされでもしたの?」

「はい?なんですか?私いま機嫌悪いんで話しかけないでもらえます?」


 クレープを食べながら歩いていると突然話しかけれた、韓流アイドルみたいな爽やか系のイケメンだ。これはあれだ、ナンパというやつだ。めんどくさいなあ。


「あー、やっぱりなにかあったんでしょ。いや俺も友達に約束すっぽかされてさ、ちょっと気分転換にカラオケでも行こうかなって思ったんだけど一人でいってもつまらないから一緒に行ってくれる人探しててね?」

「はぁ、ご勝手にどうぞ。私お金もないんでご期待には沿えませんし」

「お金なんて気にしなくていいよ!俺が全部奢るし!それにほら、気分転換だからお互いに愚痴を言い合える方が気を使わなくていいじゃない?」


 しつこいなぁ、でも驕りでカラオケかあ、カラオケはたまに行っていたけどお金がないからあまりカラオケフードとか食べたことないんだよなあ。家に帰っても朝のことを思い出すから正直まだ帰りたくない。


「本当に全部おごってくれるんですか?」

「もちろんもちろん!君みたいな可愛い子に俺の気分転換に付き合ってもらってお金なんて出させられないって!」

「今の私の方が沢山愚痴が出てきますよ?」

「カラオケ2人分払って1人が気分転換するより2人とも気分転換したほうがお得だね!」


 ナンパ師の建前なんて信じちゃいない。友人にすっぽかされて気分転換したいほど機嫌が悪い人間がこんな明るくナンパなんてできないだろう。けれど支払いに関しては信じてみてもいいかもしれない、そうじゃないとナンパが後に続かないんだから。


「カラオケだけですよ、愚痴を言って、歌ったら帰りますから」

「わかってるって!俺結人(ゆいと)って言うんだけどお姉さんの名前は?」

「芽愛です」

「よろしく芽愛ちゃん!それじゃあカラオケにレッツゴー!」


 カラオケに向かいがてら、今日のことを結人に話す。父さんがうるさい、その気分転換に一緒にきた友人は彼氏に呼び出されたと私をすっぽかしてデートに行ってしまった。そんな不機嫌な時にナンパされてめんどくさかった。結人は人から話を聞きだすのがとても上手で、今日だけのことじゃなく今までにあったいろんな不満、愚痴がするすると口から飛び出していく。普段父さんや友人には遠慮して言えないことでも、赤の他人である結人になら遠慮せず吐き出せる。


 部屋に入るころには私はある程度結人に心を許していた、止まらない愚痴を嫌な顔一つせず聞いてくれる、私の不満を分かってくれる、私の心に寄り添ってくれる。負の感情はだいぶ落ち着いて、あとは歌と共に体に残っているものを吐き出すだけ。それが済んだら楽しい歌でテンションをあげていく。


「いやー、歌ったねえ!芽愛ちゃんそろそろ喉乾かない?あまりカラオケフードも食べたことないって言ってたよね?」

「そういえばそうかも、結人オススメある?」

「そりゃ定番はポテトとかピザっしょ、あとはポッキーなんかもあるけどポッキーゲームやってみる?」

「やるわけないじゃん、じゃあひとまずポテトとピザに飲み物はコーラがいいかな」

「はいはい、ちょっとまっててねー」


 歌っていると注文したフードが届く、ポテトぐらいは食べたことはあるがピザはそこそこ値段がするからカラオケで食べたことはない。


「美味しいけどやっぱり安っぽい味だね」

「まあカラオケだからねー、歌をスパイスに楽しむものだし」


 まあカラオケで出てくるようなピザだし冷凍ピザでこんなものだろう。結人の奢りだからいいけど、私の少ないお小遣いからお金を払って食べるようなものじゃない。


「でもそんなピザが美味しくなるようにほら、歌お歌お?そうしたらピザも美味しく感じるよ」

「それもそうだね、よっし、じゃつぎはこれ歌うぞー!」

「いえーい!」


 口の中に残るピザの脂っこさをコーラで一気に流して私は歌う。お母さんが好きだった曲、少し古くて結人は分からないかもしれないけど、私にとって一番テンションが上がる曲がこれなのだから1曲ぐらいは付き合ってもらおう。


「知らない曲だけどいい曲だったじゃん」

「うん…、お母さんが好きだった曲らしくてさ」

「どしたん?芽愛ちゃん眠い?」

「少し眠くなってきたかも…」

「少し夜更かししたって言ってたし、それでじゃない?ほら座って座って」


 歌ってる途中から、少しずつ眠気を感じて、歌い終わった今となってはすぐ寝てもおかしくないぐらい眠い。立ってるのも辛いぐらいだ。


「なんなら出る時間になったら起こすからさ、寝ちゃいなよ」

「うん…、ごめん結人」

「いいって、いいって」


 頭もあんまり回らない、結人の勧めに従って眠ってしまおう。このまま無理に起きようとも思えないし。このまま、眠気に身を任せて…




「はぁー、ったくこいつ愚痴なげえよ。もしもし、店員くん?こっち準備おっけーだからいつも通りよろしくー」


 ナンパでひっかけた女子高生の愚痴聞いて、おだてて、同情を見せて、睡眠薬入りコーラを飲ませて。やっと俺達のお楽しみの時間だ。複数人で女子高生をマワす、こんな遊びをカラオケ代とフード代で出来るならめちゃくちゃ安い。


「お疲れ様結人ー、さっすが俺らのエース、イケメンは頼りになるねえ。こんな上玉ひっかけて」

「胸が寂しいのは残念だけど、顔がいいしなにより現役JK、たまんねぇ~」

「俺がひっかけたんだから最初は俺だからな、お前らの体液で汚れた穴に入れたくねえし」


 気持ちよさそうに寝る芽愛の服を早速剥いていく。ここの店長と店員はグルで、この部屋は特別な防音仕様、カメラでバレることも、音でバレることもない。なんなら店長と店員は参加するんじゃなく俺達の様子を見て楽しむという変態共だ。


「うっは、肌きれー、しかも見た感じ初めてじゃん、ラッキー」

「マジかよこんな可愛い子の初めて貰えるとかずりーって」

「ひっかけたのは俺だから当然の特権だっての、おら、お前らは念の為体抑えとけよ」

「しゃーねぇなあ」


 初めての痛みで目を覚ますかもしれない、それで暴れられてもめんどくさいし2人に体を抑えさせる。それじゃ、美少女JKの初めてで、今度は俺が気持ちいい思いをさせてもらいまーす。




 なんだろう、体が揺さぶられている。もうカラオケを出る時間なんだろうか、それになにか体に違和感がある、べとついて、股の辺りがひりひりする。


「あ?芽愛ちゃん気が付いた?おはよー、勝手に楽しませてもらってるよー」

「え…結人…?えっ!?誰?何この人達!?いや!やめて!」


 目を開けると目の前には裸の見知らぬ男がいた。筋肉がすごくて、焼けた肌に短い金髪のいかにもな男だ。今すぐにでも押しのけたいけれど男の力で体は抑えられて、腕は結人に抑えられている。もう一人の茶髪の男はニヤニヤといやらしい笑みを浮かべながらカメラを私に向けて男にしかないものをしごいている。


「いやー、芽愛ちゃんお母さんから教わらなかった?知らない男について言っちゃいけませんって。簡単に俺についてきちゃうからこんなことになるんだよ?あ!そういえばお母さんいないんだっけ!それじゃあ教えてもらえないね!お父さんも忙しくて教える時間取れなかったみたいだし、俺達が代わりに教えてあげたってことでご両親には感謝してもらわないと!」

「嘘…」

「初めては痛いからちゃんと寝てる間に済ませておいてあげたから痛みも少ないでしょ?俺ってやさしー!」


 ああ、私は騙されたんだ。些細なことで父さんにイライラして、さっさと帰ればよかったのに、お父さんを意識したくないとかいうくだらない反抗心で簡単にナンパについていって。その結果がこれなんだ、私の初めては知らないところで奪われて、無責任に沢山中に出されて、決して敵わない力で自由を奪われ、そんな屈辱をカメラに収められている。


「誰か!誰か助けて!!」

「あはは!いいねえ、カメラに取られるのに完璧なリアクションだ。芽愛ちゃんこういうビデオの才能あるよ。けどごめんね、この部屋俺達御用達でさ、防音も完璧だし監視カメラの映像も、届く先はお得意の変態さんなんだよね」

「嫌!そんなの嘘!やめて!いや!」

「うんうん、信じたくないよね、でもまあそれが事実だから諦めてね?あ、でも嫌がってくれるのも全然いいよ、そういう趣味の変態さんにビデオが高く売れるし。なんなら今後も出演する?お金ないんでしょ?お父さんのこと助けてあげなきゃ」

「そんな…」


 そんな絶望を知らされながら、金髪の男が無遠慮に気持ちよくなり、茶髪の男と変わってそいつも無遠慮に私の体で快感を貪る。大切な所を見られている羞恥心も破瓜の痛みももう感じない、そんなことよりも、おもちゃのように体を使われる不快感と、嫌悪感、恐怖、そしてこんな姿を不特定多数に見られるのだという絶望。


 女の力じゃ男3人に勝てるわけないし、ビデオカメラを壊しても監視カメラの方で撮られているから意味がない。店もグルじゃ助けを求めても意味がない、私はおもちゃであることを受け入れて、彼らが満足するまで耐えるしかないのだろう。


「あら?泣いちゃった?芽愛ちゃんほんといい反応するねえ、嫌がった所から絶望して泣き始めるなんて変態さん達が大好きなテンプレ展開だよ?」

「お?力が抜けたな?諦めたか?」

「まあ泣いてるってことはそうなんでしょ、こっちは楽でいいね」


 そうして好き勝手に私の体を弄んだ男達は、自分たちの汚れを私の口で綺麗にさせて、満足したように服を整える。


「あ、ちゃんとここのお金は芽愛ちゃんは払わなくていいからね。俺達からのギャラだと思っておいてよ。もしまた出演したくなったら声かけてよ、またね~」


 そう言って、結人は2人を連れて部屋を出て行った。悔しかった、悲しかった、辛かった、情けなかった。不機嫌だったからって、簡単に騙されて、クズに簡単についていって、気付いてからも何も逆らえなくて、ティッシュ代わりに使われて。私の中にはそんなクズたちの体液が残っている、上にも、下にも。


 気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い。体の外も、中も、こんなことをする奴が生きているこの世界もなにもかもが気持ち悪い。もし体から意識を抜き取って、人形でもなんでも別のものに移せるのなら今すぐにでも移したい、この体を捨て去りたい。


 ああ、そうか、この体を捨てればいいんだ、そうすればこの気持ち悪さから解放される。不特定多数にビデオを見られてもそんな視線を気にしなくていい。お父さんは悲しむだろうけど、何も親孝行が出来ないまま、最大の親不孝になるけれど、それでも私はこの体で生きることに耐えられない。


 部屋からでて、そのまま私はビルの階段を上る。この世から逃げて、天国に続く階段を上る。ああ、でもこんな親不孝者が行く先は天国じゃないかもしれない。けれど、たとえ地獄にいくとしても、こんな気持ち悪い体で生きるよりは何倍もいい。


 そして私は屋上にたどり着く、これ以上天国に近づくことはできない。体を捨てるには、ここから地面に身を投げ捨てるしかない。この高さから身を投げ捨てたらそのままの勢いで地獄まで落ちていける気がした。自殺なんて親不孝をする私ならそこまで落ちていく資格もあるだろう。


 そして私は空中へと身を投げ出した、ああ、これでこの体を捨てられる。こんな気持ち悪さから解放される。けれど一つだけ罪悪感からは解放されない。そんな罪悪感を少しでも和らげたいと無意識の内に口から言葉が漏れ出した。


「お父さん、ごめんなさい」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ