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【連載中】MOBILE FORMULA 2135 -スターライガ∞ 逆襲のライラック-  作者: 天狼星リスモ(StarRaiga)
【Chapter 3-4】Focus on Escort

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188/200

【185】要人O.S.

Data:2135/12/23

Time:10:00(UTC+6)

Location:Voyage,Olient Federation

Operation Name:RAPIECAGE

 2135年12月23日午前10時過ぎ――。


オリエント連邦・ヴォヤージュ市は北極圏に近い高緯度地域であり、冬至前後のこの時期は昼前になっても完全には明るくならない。


ヴォヤージュよりも北に向かえば北極圏に入るため、本当の意味での極夜を体験することができるのだが。


「――ったく、ライガさんも人使いが荒いな」

「あの人は元プロレーサーなんでしょう? だったら自分で運転すればいいのに」


一面の銀世界の中に伸びる道路を走行するクロスオーバーSUVの車内で、スターライガ保安部のフランシスとアンナ=カーリン・グランクヴィストは愚痴り合っていた。


このSUVは運転者のフランシスが個人所有する"NITORI・グランドキャニオン"という国産車なのだが、走行性能と居住性の高さを買われて作戦に使われるハメになってしまった。


「聞こえているぞ。俺はサーキット走行は得意だが、ラリーストじゃねえ」


ヘッドセットからあの人――MFに搭乗した状態で待機しているライガの反論が聞こえてくる。


軍に入る前はF1の一つ下のカテゴリーであるF2まで到達したり、夢を諦めた後も趣味のセカンドカーでサーキット走行会に参加するなど、運転技術自体はプロ級である。


ラリードライバーのように雪道を高速走行できる専門家ではないと言いたいのだろう。


「4WDのJDMに乗っているのにか?」

「好きだから選んだ車種だ。子どもの頃に遊んだレースゲームでよく使ってたからな」


先述のセカンドカーはラリーカーのベースにされるような車種――の公認レプリカであることを指摘するフランシスに対し、その車を選んだのは幼少期の憧れが理由だと答えるライガ。


ちなみに、JDMとは主に1990~2000年代の日本製スポーツカーや日本の走り屋文化を意識したカスタマイズを指す。


「そんなことよりも、そろそろ目的地に着く頃合いだろう? O.S.には事前連絡がされているはずだ」


世間話は終わりだ。


SUVに外付けしたトランスポンダで現在位置を確認したライガは気を引き締めるよう促す。


「この作戦の成否は地上の頑張り次第だ。最適の健闘を期待する」


ライガたち航空戦力の仕事は要人O.S.を乗せた車を上空から監視し、敵襲を受けた場合は速やかに排除することであった。



 ヴォヤージュ市の中心部から離れた森の中に平屋の一軒家がある。


脇道の奥まった場所にあるこの家は少々不便な立地だが、これは以前の居住者が人里離れた土地に住むことを望んでいたからだ。


「(身分証、携帯電話、財布、飲料水、携帯食、着替え、拳銃――)」


この家のリビングでバックパックの中身を最終確認している人物が今回の護衛対象であるO.S.。


空色のセミショートヘアに深紅の瞳、そして何よりもウサ耳が特徴的なルナサリア人女性だ。


彼女は3年前の戦争終結直後にオリエント連邦へ亡命し、前の所有者からこの家を譲り受けたという。


「(――もちろん、あの子のためのオムツやごはんもね)」


必要な荷物はO.S.自身の分だけではない。


彼女が視線を移した先でお気に入りのぬいぐるみとじゃれ合っている、ちょうど2歳の誕生日を迎えた幼い娘も連れていくからだ。


「まーま……」

「大丈夫……怖い人達から守ってくれる人達が、そろそろ来るはずだから」


幼子ゆえの純真無垢さがいつもと違う雰囲気を感じ取ってしまったのだろうか。


普段大人しい娘が珍しくぐずり始めたためO.S.はパッキングを一時中断し、優しく語り掛けながら抱き締める。


「……!」


しかしその時、インターホンの音がリビングに鳴り響く。


それに反応したO.S.はバックパックに入れた拳銃を取り出し、安全装置を解除しながら液晶画面で来客者の姿を確認する。


「……今開けます」


液晶画面に映っていたのは冬季迷彩の戦闘服を身に纏った2人組のオリエント人女性。


容姿も事前連絡を受けた際に教えられた特徴と一致する。


この二人が"怖い人達から守ってくれる人達"だと判断したO.S.はドアを解錠し、拳銃を懐に隠したまま風除室形式の玄関に向かう。


「こんにちは。貴女がオウカ・サルコウさんでお間違いないでしょうか?」


玄関の外扉を慎重に開けると、茶髪碧眼の女性――フランシスが物腰柔らかな口調で話し掛けてくる。


「はい。では、貴女方が護衛の方々の……」


自分とあまり歳が変わらず、しかし頼り甲斐がありそうな人物達が来てくれたことに安堵の表情を浮かべるO.S.もといオウカ・サルコウ(45歳)。


「ええ、我々は貴女と貴女の娘さんを守るために送り込まれたのですよ」


フランシス(41歳)に課せられた任務はあらゆる手段を尽くしてでもオウカと彼女の娘を守り通し、ここよりも安全な場所へ移送することだった。

【NITORI】

オリエント連邦を代表する重工業メーカーの一つ、カワシロ重工が自動車関連事業で使用しているブランド。

自動車メーカーとしてはSUVやミニバンといった実用性を重視した乗用車のほか、トラックやバスなど商用車も手掛けている。

これ以外のブランドとしてアドミラル・エイトケンの建造を行った、造船事業担当の"ナトリ造船"などがある。


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