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【連載中】MOBILE FORMULA 2135 -スターライガ∞ 逆襲のライラック-  作者: 天狼星リスモ(StarRaiga)
【Chapter 3-4】Focus on Escort

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【186】白銀の護衛(前編)

 サルコウ母娘を乗せた車両は敷地を出て道路に復帰し、ここへ来るまでに走ってきた道をそのまま引き返していた。


「こちらホワイトストーク。これよりVO9号線を東に走り、LZ(ランディングゾーン)で待機しているボールドイーグルと合流する」


持ち主としてフランシス自身が運転するクロスオーバーSUV――コールサイン"ホワイトストーク"は、現在ヴォヤージュ市道9号線を東に向かって走行している。


この道路はヴォヤージュ市中心部から東隣のエソテリア市に接続しているが、数キロほど南にほぼ同じルートの高速道路があるため、旧道と化したVO9号線は交通量が皆無で一般車両と遭遇する可能性が低い。


目的地はヘリコプター――コールサイン"ボールドイーグル"が待機しているドライブイン跡地の駐車場だ。


「上空からしっかり見といてくれよ。道路状況について気になることがあったら随時伝えてほしい」


広大な平野部を東西に走るVO9号線は本来見通しが良い二車線道路なのだが、冬場は積雪により道路とそれ以外の区別が難しい銀世界と化す。


加えて今日は小規模ながら吹雪も発生しており、強風と視界不良により運転は難しいことが予想される。


そのため、フランシスは広い視野を確保できるMF部隊を頼りにしていた。


「こちらパルトナ、了解した。吹雪で視界が悪くなっているから、事故らないよう気を付けながら飛ばせ」


道路上を走行する白金色のSUVの姿を低空飛行で目視確認しつつ、道路状況を報告しながら指示を出すライガ。


高速道路ほどのスピードは出せないにしても、時速60~70キロほどの平均速度を維持させたいところだ。


「風が少し強いし雪も降ってきたわね……ヘリコプターが飛べる状態が続いてほしいのだけれど」

「こういうコンディションに備えて飛行訓練を積んできたんだ。その成果を信じよう」


背中を任せられる護衛戦力として連れて来たサレナの懸念に対し、ライガはヘリコプターを操縦するパイロットの技量を信じるのであった。



「こちらホワイトストーク、現在順調に走行中」


約1時間を想定している雪道のドライブは極めて順調に進んでいた。


道程の半分を消化したところでフランシスは定時報告を行う。


彼女の愛車には自動運転システムが標準装備されているが、今回は不測の事態にも対応できるよう自らハンドルを握っていた。


「こちらパルトナ、了解。ここから見渡せる範囲では一般車両は確認できない」


定時報告を受けたライガは愛機パルトナ・メガミRMのコックピットから地上を一望し、吹雪で視界が制限されているホワイトストークに道路情報を提供する。


「真冬にこの道を走るのは余程の物好きだけさ」


余裕が出てきているのか車を走らせながら軽口を叩き始めるフランシス。


「……くそッ、余程の物好きが来やがった。レーダーにアンノウンを捕捉した」

「数4、こちらに接近中。移動速度から見て航空機と思われるわ」


だが、案の定というか作戦は一筋縄ではいかないようだ。


ライガのパルトナ・メガミRMとサレナのクリノス・エグゼは所属不明機を機上レーダーで捕捉する。


「まさか敵機か?」

「少なくとも民間機ではないだろう。国防軍機の可能性もあるし、俺が呼び掛けてみる」


先程までとは一転して不安感を示すフランシスに対し、前線指揮官として率直な見解を述べるライガ。


この辺りはオリエント国防軍ヴォヤージュ航空宇宙基地の防空管区であるため、正規のフライトプランを提出せずに行動しているこちらをアンノウンと認識したのかもしれない。


オリエント国防軍とコネがあるライガが説得すれば誤解は取り除けるはずだ。


「お前は念のためホワイトストークの直掩に就け」

「了解」


彼は車両の護衛をサレナ一人に任せると、所属不明機たちに対応するべく単独行動へ移るのだった。



「――あー、あー。こちらはスターライガの代表代行、ライガ・ダーステイだ」


通信回線の周波数をオープンチャンネルに設定し、正面から近付いて来るであろう所属不明機に呼び掛けを開始するライガ。


自分たちの行動に後ろめたさは一切無いことを強調するため、彼は所属と氏名を包み隠さず伝える。


「現在、我々は隠密行動が求められる業務を遂行している」


おそらく、相手はライガ機とサレナ機をインターセプトするために発進したと考えられる。


その原因である"フライトプランの未提出"についてライガは、書類から作戦計画が漏洩するリスクを避けるためだったと弁明する。


情報というのは何処から漏れるか分からないからだ。


「(反応が薄い……妙だな。一応、火器管制システムのセーフティを解除しておくか)」


おかしい、仮に相手がオリエント国防軍だったらライガの名前が出た時点で何かしらのリアクションがあるはずだ。


違和感を抱いた彼は万が一の場合に備えるが、好戦的と捉えられないよう愛機パルトナの武器はまだ構えない。


「今回の業務は正規の手続きを踏んで受注した、合法的な依頼である――」


守秘義務により依頼の発注者は伏せつつも、ライガは自分たちの作戦行動の正当性を主張し続けるが……。


「……あのUAVは!?」


もやが掛かった世界の中に編隊を組んだ4つのシルエットが浮かび上がる。


その機影が無人機であることにライガが気付いた次の瞬間、コックピットに警告音が鳴り響き正面から蒼い光弾――パルスレーザー砲の一斉攻撃を受ける。


「(ルナサリアン製の機体だと!? 残党かあるいはレヴォリューショナミーか……どっちだ?)」


先制攻撃を鋭い反応でかわしたライガはすれ違い様に機種を分析していた。


機体形状から見て旧ルナサリアン製のUAVであることは間違い無い。


そして、これを運用している可能性が高い勢力はルナサリアン残党かレヴォリューショナミーだ。


「ライガ! どうしたの!?」

「守りを固めろ! アンノウンは明確な敵意がある!」


異常を察したサレナからの呼び掛けに答えるようにライガは指示を飛ばすのであった。

【Tips】

作中世界は自動運転システムが普及して久しいが、利用が認められている範囲や条件は各国の道路交通法により異なる。

オリエント連邦は先進国の中では自動運転関連の法規制が厳しく、公道走行を前提とした車両についてはレベル3が上限と定められている。

同国を含むオリエント圏の国々では高等学校で運転免許取得の授業が行われるため、義務教育修了者ならば運転技術を持っているのが普通であることも関係している。


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