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激突、クロルのライバル!?《さらなる地獄へ・・・》







「フフ。これなら一瞬で凍らせて、砕くことも可能ですわね」



な、な、なんだと……?



「――っ!? 急に下半身が冷たく……」



「それでは、さようなら」



「そんな馬鹿なああああぁぁぉっ!?」



ティムロオオオオオオオオオオオオススッッ!!!



「雪子ちゃん、ダメっすよ? これ以上おいたをしたら……帰しちゃうぞ?」



ニッコリ顔の彩香。

しかし、目は笑っていなかった。


これには雪子さんも恐れをなしたようで、すぐに俺から離れていった。



「は、はい……すみません彩香さん……」



どうやら彩香のおかげでティムロスの命は守られたようだ。良かった……。




 ・ ・ ・




妖怪の軍勢共は帰っていった。

どうやらさっきの争いを止める為だけにあれほどの軍勢を呼び出したらしい。


それほどまでにレーヴァテインは恐ろしい奴だということ、なのか。




先程まで俺の眠っていた建物まで戻ってきた。


建物と言うと多少語弊はあるかもしれないが、丈夫な岩石が住居の役割をしており“お岩のお家”みたいな感じである。


というか火山地帯だから普通の木材の建物なんて建てられないのは至極当たり前のことか。






「……ふん。俺は戻る」



「レーヴァテイン、今日も向かうのか?」



「ああ。竜王様だけに任してはおけない」




決意を秘めたような目でそう言った奴は長老とやらにそう言うと、すぐに出ていった。出ていく間際に何故か睨まれたが。



それにしても、何をしに行ったんだ……?



手近な石の上に座りながら俺はそう尋ねた。周りの奴らも各々座りやすそうな場所へ腰掛け始めた。



全員座り終えた頃、部屋に四つある内一つの椅子に座る長老はテーブルに肘を乗せ、悩ましげに語り始めた。



「ううむ。掻い摘んで話すとじゃな。今、我々は一つの大きな問題を抱えておるのじゃ」



「問題?」



「ふむ。少し外へ出るぞい」



長老に従い、俺達は部屋の外へと赴いた。



「あそこ。見えるか?」



「火山しか見えないが」



「一際大きな、あの山じゃ」



「ああ、見える」



長老の指さした方角には、確かに数ある火山の中でも一つ抜きん出ているものがあった。



「あの山が、どうしたんだ?」



「あそこには、化け物がおる。ワシらはそれを年がら年中封じ続けておるんじゃよ。外へ出られたら困るのでな」



俺にとっちゃあんたらも化け物だけどな。






「もしかして、例の……先々代魔王様の遺産、ですか?」



雪女さんが尋ねる。

そう、何故かこの雪女である雪子さんは未だ此処に残り続けている。暑くないのだろうか。



「うむ、そうじゃ。中々に厄介でな。今は竜王様が直に戦うことで封じてらっしゃるが、レーヴァテインもそれを手伝って殆どの時をあの山で過ごしておる」



「それって完全には封印できないのか?」



「そうできないから竜王様とレーヴァテインが苦労しておるのじゃ。なんせ先々代魔王の遺した神器じゃからの」



神器……。



「それって生き物なのか?」



「そうじゃよ。生ける神器というのも長い歴史から見ればそう珍しいものではないのじゃが、あれの強さは魔王すら制御不能。持て余した結果、魔王城の地下深くに幽閉されたのじゃ」



ん?

魔王城の地下深くに追いやったはずのその化け物がなんでこの煉獄火山に?


俺が疑問に思ったことを尋ねると、



「ふうむ……。記憶を失った魔王に伝えるのはちと骨が折れるの……。てかメンドイ」



おいジジイ。


説明を投げ出したジジイに代わり、事情を知る彩香と雪子さんが説明してくれた。


ちなみにリンは未だお休み中。

レインはいつの間にかどこかに消えてた。




 ・ ・ ・




事情は把握した。


要するに、


クロルドレアが魔王となり数年経った頃、クロルドレアとレーヴァテインによる大喧嘩勃発



それを機に、そりの合わなかった竜人一派が魔王城を出ていくことに



しかし、なんの義理立ても無しに出ていくのは先代の魔王達に申し訳が立たない



よし、一つ厄介事を解決してやろう



魔王城の地下深くで暴れてるあの化け物、うちが引き取ってやんよ



これで文句ないだろ?

もう魔王城には戻らず独立するかんな?



竜人一派、煉獄火山へ






ほほう。割りと筋が通っている気がする。


それなのに、また魔王城に戻って来いなんてどの面下げて言えばいいんすかねーあはは。




「貴方が解決すればいいのではないですか?」



ずいっと身を乗り出してそう進言する雪子さん。


何故かリンに懐かれている俺に敵意剥き出しの彼女。


彩香が言うにはあのリンも元はといえば猫又一族の一人だったらしく、同じ妖怪同士仲良くやっていたらしい。


それでかつての親友に再会。

しかし、その親友がどこの馬の骨とも分からぬ男に懐いていたからムカついた、と。


そこまで複雑な話ではない。


しかし、乙女心は複雑なようだ。


……だって雪子さんの目怖いんだもの。




「それもそうだな。先々代魔王の仕出かしたことなら、その子孫のお前がケリを付けるべきだ」



「はあっ!?」



てかレイン、いつの間に現れたんだ。



「ふむ。お主が解決すれば我々とのゴタゴタも無くなり、再び盟友として足並みを揃えられる日も遠くないやもしれんぞ?」



「はいっ!?」



ちょっと待て、なんでそんな空気になってんの?


先々代ってことは、おじいちゃん!?


俺、クロルのおじいちゃんの仕出かしたツケまで払わんといけんの!?



納得がいかねえ……





「ほら、悩んでないで行きますよー」



俺の腕をぐいぐい引っ張って連れて行こうとする雪子さん。彼女の手はほっそりとしていて、それでいてひんやりと気持ちいい。ああ、もっと引っ張っててー。


でも、なんでそんなやる気なんだ?



「ウフフ。あの化け物にこの人が殺られたら、リンちゃんはまた私のことを“雪ちゃん”と呼んでくれるに違いありません……って!? な、何でもないですよっ!?」



意図的か?意図的なのか?

その心の中の黒い台詞をバラすの。


美人なのに、残念だ……。




 ・ ・ ・



何故かその化け物がいるという火山まで来てしまった。


メンバーは俺、彩香、雪子さん、レイン、長老。

リンは寝てたので置いてきた。


雪子さんは俺達に着いて行くか、リンに付いているか迷いに迷っていたが、


「魔王の死をこの眼で確認しない限りには……」


と小さく呟いていたような気がしますが気のせいですよね?





今いる場は火山の麓に不気味に開く洞窟の入り口の目の前。


非常に大きな入り口で先がまったく見えない。まるでトンネル。深い暗闇。


今からこの中に入ると考えると憂鬱でござる。



「魔王様。無理そうならすぐに帰りましょう」



うう、彩香だけだ。心配してくれるのは。



「でも何故だか、魔王様なら何とかなる気がするっす!」



んな無責任な……。



さっきから奥の方からドゥゴッ!!ドゥゴッ!!バギャアッ!!ドガッ!!


みたいなすんごい恐ろしげな爆音が鳴り響いてるんですけど。



一堂が進み始め、しばらく経った後……ようやく到着。






・・・さらなる地獄へ。











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