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激突、クロルのライバル!?《決着は一瞬》






所変わって此処は闘技場。


地べたは少々岩肌が露出していたりしてゴツゴツしているものの、それなりに整っている。戦うには支障はないだろう。


巨大な円を描くフィールドに存在するのは唯二人。


なんでだ。



相手はやる気満々でシャドウボクシングに勤しんでいる。フィールドの外では俺のお供たち、竜人族の奴らがたくさんこの戦いを見に来ていた。


なんでだ。



「この前はお前のホームグラウンドで戦ってやったんだからな。今回は俺の得意の場所で戦わせてもらうぜ。文句はないだろっ!?」



あるよバカタレ。



この……バカタレっ!!



一応彩香は直前まで猛反対してくれてはいたんだが……。




『ダメっす! 魔王様はただでさえ記憶喪失なのにその上神器が使えない城の外での戦いなんてっ! 認められないっす!!』



『へっ、それじゃあ今回の話はなしだなっ!!』



『くっ……』



こんなクソ暑い場所にわざわざ遥々やって来た目的は昔の盟友、竜人一派を再び魔王城へと傘下として引き入れる為だ。



ところがこの決闘を受けないと話し合いにすら応じないと。しかも決闘を受けたとしても話し合いにとりあえずは応じるだけ。



つまり、魔王城に再び傘下として戻ってくるかどうかは交渉次第。


なんて悪条件ッ。



だが今の弱体化している魔族軍には、竜人一派の強大な力は必要不可欠だそうだ。


だからやるしかない。はぁ……。





「さあ来い、クロル!! 今こそ決着を付けてやるぜっ!!」



こうして冒頭と繋がってくるわけだ。回想終了。ふむ、案外頭の中だとスピーディに回想できたな。



「さて、どう戦うか……」



だがな、何も考え無しにここに立っちゃいないぜ。秘策はある。



「俺の神器の出番か」



「神器だと!? お前の神器は城の中限定のはずだぞっ!」



レーヴァテインが狼狽した様子で問い詰めてくる。よほどクロルの神器は恐ろしかったと見える。


まあソロモン72柱の悪魔なんて召喚されたら誰だってビビるわな。勝てないだろうし。



「さすがの竜人一派の頭領様もソロモン72柱には歯が立たないってか?」



ちょいと挑発。



(いえ、レーヴァテイン様率いる竜人一派に限ってはその限りではないっす)



こ、こいつ……俺の心の中に直接……!?



(わちの術っす。遠くにいても声を出さずとも情報伝達できる式神を使ったっす)



なるほど。テレパシーのようなものか。でも心の中が読まれるのか……。



(魔王様が拒否の念を送ればすぐに解除されるので不安になる必要はないっすよ? それに、魔王様は声を出してもらわないとわちには聞こえないっす)



あ、なんだそれなら安心。俺がクロルでないと普通にバレるところだった……。




「む、それであのレーヴァテインって野郎はそんな強いのか?」



(竜人一派は魔族の中でも唯一、魔王様操るソロモン72柱の悪魔達と真っ向から戦い生き延びた者達っす。特にあのレーヴァテイン様)



「なにをグチグチ喋ってんだっ!!」



(あの方の身体能力は若いながらも先代魔王にも引きを取りませんでした。怪しげな術等は用いないですが、単純な戦闘能力がずば抜けてるっすね。戦いに特化した者達、武闘派の最たるものっす)



「ぐっ……だ、だが俺の神器ならば」



(魔王様の神器は城の中でしか使えないっす。他の方法を考えるしか……)



「ふっ、実はな、原初の神器のおっさんにもう一つ作ってもらったんだ」



(えっ……!?)



ニヒルな笑みをかます俺。

あのロリコン神器のおっさんに会いに行って作ってもらっていたのだ。


一人で行くには少々苦労したがな。特にセーレの目から逃れるのは苦労した。



(ま、魔王様……? おっさんって何すか……?)



「ん? この前会ったろ? 光る球体の原初の神器って名乗ってたおっさん」



声がダンディーだからおっさんって呼んでる。

変態紳士でもいいんだけどな。



(名乗ってたって……魔王様、神器と会話したのですかっ……? そ、そういえば確かに魔王様はあの時会話しているような素振りを……)



おや? 彩香にはあのおっさんの声が聞こえていなかったのか?


そう俺が疑問に思っていると、



「いつまでゴチャゴチャ話してんだアアアアアアアアッッ!!!」



おおう!?

さすがにキレたか。だが思ったより持った方だな。




(その神器がどれだけ優れているのかは知らないっすけど、油断はダメっすよ?)



「殺すっ!!」



「!?」



フィールドの中央で相対していた俺達だったが、急にレーヴァテインが背中の翼を動かし後ろに飛んだ。



フィールドの端で着地した奴は体勢を整え、拳を握る……!?


まさか……。




(レーヴァテイン様の初手である初撃の速撃は避けないと……!? 横に避けてっ!!)



「え? なんて?」



「くたばれっ!!―first-fast―初撃の速撃―!!」



百メートルはあったであろう距離が一瞬にして詰められて――――



グシャ、と何かが弾ける音がした。



俺の意識はそこで途切れた。









 

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