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激突、クロルのライバル!?《出発編》







今、何故か俺は窮地に立たされている。



「さあ来い、クロル!! 今こそ決着を着けてやるぜっ!!」



顔だけ見るなら赤髪イケメンの青年。


だが背中に赤い翼を生やし、鱗に覆われた尻尾、赤い瞳を宿しており、およそ人間とはいえない風貌だ。


そう、魔族だ。


しかも魔族の中でも、竜人族と呼ばれる種族なんだとよ。



そんな奴に喧嘩を売られている。


意味が分からん。



何故こうなったか、冷静に振り返ってみる。


それは城内会議でセーレがある議題を提出したことから始まったはずだ。







 ・ ・ ・




セーレは数日前に俺が頼んだことを実行してくれた。


人間侵攻についての議題が、城内会議で話し合われることになったのだ。



だが、ほとんどの者がこれに反対の意を示した。


現在の魔族側の戦力が全盛期に比べ、圧倒的に少ないからだ。


先の大戦で主戦力である強力な魔族の多くが死に、生き残った強者も新しい魔王であるクロルに反旗を翻し、城を出ていってしまった。


これでは人間に戦いを挑めるはずがないと、議員の奴らは猛反対。



『ハッハッハ。セーレ様は面白い事を仰る。もしかして、魔王様のお考えですかな?』



『フフフ。魔王様にこれほどのユーモアの才があったとは……フフフ!』



『セーレ殿。貴方はそろそろ魔王様の世話係などお辞めになった方がよろしい。貴方は有能だ。引く手数多であろう』



俺、というかクロルの評価は最悪だな。

城内会議の議員のほとんどがクロルを疎ましく思っていることを実感してしまった。


俺は議員の見えない所でお忍びで見学していたのだが、何とも言えない気持ちになってしまった。





『では、戦力が集まれば良いのですね?』



表情を変えずに玲瓏に述べるセーレ。



『ま、まあ……確かに』


『しかし、相当な戦力でなければ……ねえ?』


『ええ、武闘派の一角くらいは呼び戻さねば話にならんでしょう』


『そうですな。竜人一派でも連れてくれば話は別でしょうな。ハッハッハ』




議員達は苦笑し、口々に意見を述べた。




『分かりました。竜人一派を連れ戻してくれば良いのですね?』




そして、セーレのその一言で議員全員が押し黙った。



百名を超える人数の議員を前にしてその臆することの無い堂々とした態度に、俺は圧倒されてしまった。




そこまでは良い。



だが、何故……。



俺がその竜人一派を連れてくる役目を負わされねばならんのだ?






「申し訳ありません魔王様。竜人一派の頭領、レーヴァテインが魔王様直々にお越しになられなければ話し合いに応じないと申すもので……」



セーレは自室のベッドで寛いでいた俺に対し、そう申し訳無さそうに言ってきた。


レーヴァテインって、確かどこかの神話に出てくる魔剣の名前だったような……。



「じゃあ、俺がその竜人一派の所へ行かないといけないのか?」



「申し訳ありません」



セーレも頑張ってくれたしな。

ふむ、これくらいは自分で何とかするしかないか。



「分かった。んで、いつ出発だ?」



すると、セーレはさらに申し訳無さそうにして額に汗を浮かべた。



「……今すぐにで、ございます」


「えっ?」




 ・ ・ ・




城門前に集まったのは俺を含め、四人だった。






俺のお供は三人か。少ないな。



一人目は……



「魔王様、大変なことになっちゃったすね」



「まったくだ」



やれやれ顔の和服幼女、彩香。

黒髪おかっぱ頭が似合ってる。かわいい。



二人目は……



「まおー! また会ったでござるなー!!」



「おう」



ござるござる口調のくノ一、リン。

着崩した着物がエロいぜ。


リンとはちょくちょくセーレの目を掻い潜っては遊んでたりする。中々楽しい奴だ。



そして、三人目……



「あ! この前のイケメン!」



「は……?」



この前ぶつかった黒髪イケメンくんだった。

今日は頑丈そうな黒い鎧を着込んでいる。



「魔王様、レインくんのこと知ってるんすか? 記憶戻ったんすか?」



「いや、この前廊下でぶつかったことがあって」



へえ。レインっていうのか。

一方そのレインはクールな表情を崩さない。


くそっ、クールなイケメンなんて……っ!!





セーレは城にたんまりと重要な仕事を残しているらしく、来れないみたいだ。




「でも、大丈夫すかねー。セーレちゃん残して行っちゃって」



彩香が心配気な顔をしている。

なんでだ……?



「大丈夫だろ。ロードの奴もいる」



「うーん。これを機に反魔王派が何か企みそうな気もするんすよねえ」



レインと彩香が真面目な表情で話合っている。反魔王派?



「魔王様に反感を抱いている者達の中でも特別魔王様に恨みを持っている集団のことを纏めて反魔王派と呼んでいるのでござるよ」



説明しておくれよ、と顔に書いてあったらしく、気を利かせてリンが教えてくれた。


おいおいどんだけ恨まれちゃってんの?


俺暗殺されそうじゃね?



「魔王様に忠誠を誓う魔王派は本当にごく僅か。有力な魔族で数えると三人しかいないっすね」



「三人だけ!?」



彩香がすごい絶望的なことを言った!

嫌われているとは思っていたけど味方が三人しかいないなんて……。



「魔族の子供たちや戦闘員じゃない者達の中では割りと魔王様に友好的な者もいるんすけどね」



「あくまで嫌ってるのは兵士達ってわけか」



「あと貴族達もな」



レインが余計な一言。



「魔王派代表格は三人。このわちと、」



えっへんと無い胸を張る彩香。



「城にいるセーレちゃんと、サイくんっすね……」



途中、俺の悲しげな視線に気付いた彩香の声のトーンが低くなった。


大丈夫! 希望はあるっ!!多分!!






「まあ、味方はもう一人いるっちゃいるんすけどね~」



と、ニヤニヤとした笑みを浮かべ、レインを見やる彩香。



「ふっ、だまれ」



彩香の頭を掴み、別の方へと向けさせようとする。彩香は「いてて」と言いつつも反抗。


仲の良い兄妹みたいだな。微笑ましいのう。





「まおー! 拙者達もじゃれ合おうでござるっ!」



「えっ、ちょ、まっ……」



グキッ。



「ほげええええええ!!」






 ・ ・ ・





俺達は魔王城から東、トリノキ町よりさらに東に歩を進めていた。



途中、宿を張ったりして夜を過ごしやっとの思いでたどり着いた。



・・・地獄へ。

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