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セーレvs紅!? 《前編》







「あーたりい」



俺――――黒田黒助は今ベッドでゴロゴロしている。


もうすぐすると食器を片づけ終えたセーレが部屋にやって来るはずだ。


基本、公務という城の政治的な仕事や、事務的な作業をしていない間はセーレは俺の部屋のドア付近で待機している。


何時でも命令バッチシ聞きます状態だ。


地球にいた頃では考えられないくらいの好待遇だわ。


俺の部屋の中に美人がずーっと居てくれるんだからな。


ハアハアせざるを得ない。




セーレが言うには記憶喪失前の俺――――つまり、クロルがいた時もセーレが代わりに政治的な仕事を任されていたらしい。


関白とか摂政みたいなやつだな。


なので俺がアホだから代わりにセーレにやって貰っているとかそういうわけではない。


断じてないっ!!




というか、セーレ仕事多過ぎじゃね?


俺のメイド仕事に、政治にって。





この魔王城は俺の想像していたよりもずっと大きなお城だったようで一つの町みたいなものだ。


国よりは小さいが町よりはややデカいくらいだろうか。


そんな魔族の密集したこの魔王城では政治的な仕事が欠かせない。



城の中でのルールの取り決めや、訓練の内容の会議、各地に散らばる魔族達との情報交換等等。



特に、各地で迫害されている魔族達をどう救うかが頻繁に話し合われており、重要な議題となっている。



数日に一度行われる城内会議では魔王の代理としてセーレが執り仕切り、白熱した会議が催されるらしい。


俺はまだこの世界に来たばかりなので見たこともないが、近いうちに行われるそうな。


だが、全権をセーレに委任しているらしく、俺の仕事は無い。というか、魔王としての仕事が一切無い。



改めて思ったのだがクロル、お前……ニートだったのか。


引きこもりでニートな魔王だったのか。



引きこもりでニートで変態で紳士な魔王だったのか。





そんなことより、




「……遅いな」



いつもよりセーレが来るのが遅い気がする。



どうしたものかと考えていたら、外から大きな爆発音のようなものが聞こえた。



「!?」



部屋の窓を覗いてみる。俺の部屋は魔王城の隅っこに位置するので、ここの窓からは城の外の風景が見える。



「あんなとこにセーレが……っ、な、なんだ……と……?」



城の外は一面荒野が広がっている。城門からやや離れた場所に立っていたのはセーレと、黒いローブを羽織った紅い髪の女だった。


見覚えがあるんだが……。



なんとその女、窓から覗く俺に気が付いたのか、にこやかに手を振ってきた。


俺はすぐにカーテンを閉め、その場を離れた。



数秒後、窓が爆発した。



「ぐほっ!なんでだああああ!!」



へ、部屋の中が滅茶苦茶にイイィっ!!


色んな破片が突き刺さるっ!痛い!!



そして、爆発した場所から紅髪の女――――ド外道女である紅が現れた。



「やっほークロスケくん。無視なんてヒドいじゃない」



「人んちの窓を爆破するのはヒドくないのかと、小一時間問い詰めたいっ!!」




「魔王様に何をしているのですか?」



紅の背後からドス黒いオーラを纏わせたセーレが現れ、右手を勢い良く振り下ろした。


ていうかココ、めちゃくちゃ高い所にあるんだけど。なんでキミ達ホイホイ来れんの?




直後、鼓膜が破れるのかと思うほどの轟音が耳を襲う。





荒  れ  る  部  屋  。


吹 き 飛 ぶ お 気 に 入 り の ゲ ー ム の 数 々 。 


何 故 か 俺 だ け に 突 き 刺 さ る 破 片 。



泣  き  叫  ぶ  俺  。




「やめて! これ以上あたいの部屋を荒らさないでっ!!」



「何度やってもわたしには当たんないよーだ」



「やってみなくては分かりません」





うわああああああああ!




必死にセーレを説得した結果、無事バトルフィールドは城の外に移されました。



なんでこの騒ぎに誰も気が付かないんだろう。

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