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セーレvs紅!?《セーレside》







皆様、おはようございます。


魔王様の一番の側近であり、お世話係をさせて頂いているセーレでございます。



……おや、何故私は挨拶をしたのでしょう?


まあいいです。これから魔王様に朝食をお届けしなければなりませんので立ち止まっている暇などありません。




私の仕事も二十年も経てばそれなりに上達していくもので、今では私一人で魔王様の身の回りの世話を任されています。



・・・ただ、これは厨房の人間がそこまで信用できないから私一人でやらざるを得なくなったと言った方が正確でしょうか。



全員が全員魔王様を狙っている訳はないでしょうが、過去に前例は幾つかあったため、私は常に警戒の目を光らせております。




しかし、私も偉そうなことは言えません。今では魔王様に忠誠を誓っていますが、二十年前のあの時は……。







コンコン。


二十年前の事を考えている場合ではない。今は魔王様の身の回りのお世話についてのみ頭を働かせないと。



私はそう自分に言い聞かせ、魔王様のお部屋のドアをノックした。




「魔王様、おはようございます」


「おう、おはよう」



最近の魔王様は朝寝坊せずに起きてくださって私としてはとても助かります。


ちょうど魔王様の記憶が喪失した時と重なりますね。記憶を失くすことで体内時計がリセットされたのでしょうか?



「朝食の準備ができていますが、いかがなさいますか?」


「たべるー」


「畏まりました」



下らない思考を止め、仕事に徹する。




部屋に入ると魔王様はベッドに腰掛け、うつらうつらと眠そうにしていました。


少し微笑ましくて笑みを零しそうになりましたが今は仕事中。



表情を引き締め、食事の準備に取り掛かります。







「ウヘへ……おっぱい」


「……」



寝ぼけて魔王様はそんなはしたない言葉を口にする。


最近の魔王様は……少し茶目っ気が過ぎるというか何と言うか……。



昔の魔王様はげえむの中の女性に心惹かれることは数多くあったのですが、最近の魔王様は……何と言うか見境がないような気がします。



城中の者にも容姿が良いと声を掛けたりして嫌がられて落ち込んでらっしゃいましたし。



この前なんて勇者の末裔にまで鼻の下を伸ばして……。



何だか知りませんがイライラしてきました。



・・・いけない。私にはそんな資格なんてないのに。



ですが、魔王様の身の安全の為、心を鬼にして接しなければならない時もあるのでその時はその時です。



あの時は少し魔王様を叱り過ぎてしまった気もしますが、仕方無いのです。魔王様の為なのです。




・ ・ ・




魔王様が覚醒されるまでは少々時間が掛かりましたが、無事朝食を完食して頂き、ほっとしました。



「ごちそうさま」


「お粗末様でした」



魔王様の朝食の片付けを終了させ、食器の乗った手押し車を押し、廊下に出る。



――朝からこんなに明るい気持ちになれるなんて、昔では考えられない。



私が柄にも無くそのようなことを考えながら廊下を歩いていると――――



「おっはよー」


「お、おはようございます」




この世の者でないような、何か、背筋を凍らせるような何かが私の横を通り過ぎて――――



「!?」



急ぎ振り返ると、そこには誰もいませんでした。



気のせい、にしては気配が不気味過ぎる。私の肌にはピリピリとした感触がまだ残っている。



「何事もなければよいのですが……」



私はそう独りごちて、廊下を歩き始めました。




「ねえねえ、キミ、ちょっといいかなっ?」





しかし、その希望は儚くもすぐに散ってしまいました。






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