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GOAT  作者: V鉄駆


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3/15

「ごめんね」


唯の言葉と同時に。


黒スーツの男はゆっくりと階段を降りてくる。


革靴の音が、

静かな廊下へ響いた。


「初めまして、佐々木春」


男は穏やかに笑う。


「白司令部所属、神崎だ」


「……白」


俺は唯を見る。


唯は目を逸らさなかった。


「最初からそれが目的か」


「うん」


即答だった。


「春くんを白へ入れるため」


薄々感じていた違和感はこれだったか


「私の異能は読心。相手の心を読むことができるの。あなたに1度助けられた時に心を読んで近づいた。ごめんなさいこんな形になってしまって」


周囲の生徒たちは、

異様な空気を察して距離を取っていた。


「春くん。白に入って」


断る」


俺は即答した。


「俺は白に入る気はねぇ」


神崎は少し困ったように笑う。


「そう言うと思っていたよ」


「だったら話は終わりだ」


立ち去ろうとした瞬間。


ゾワッ。


全身に悪寒が走った。


危険。


俺は反射的に横へ飛ぶ。


次の瞬間。


バゴォン!!


さっきまで立っていた床が砕け散った。


「っ!?」


視線を向ける。


そこには。


銀髪の男が立っていた。


長身。


鋭い目。


そして。


異常な威圧感。


「へぇ」


男は俺を見る。


「今の避けんのか」


やばい。


こいつ。


本能が警鐘を鳴らす。


神崎がため息を吐いた。


「サクラバ。学校を壊すな」


「いいじゃねぇか。ちょっと試しただけだ」


サクラバ。


その名前を聞いた瞬間、

周囲がざわつく。


有名人なのかこいつは


「で?」


サクラバが笑う。


「ゴートってのはお前か?」


空気が張り詰める。


唯が一歩前へ出た。


「サクラバ、ここでは——」


「どけ」


その一言だけで、

空気が重くなる。


圧。


まるで猛獣。


サクラバは俺を見ながら笑う。


「白に入る気ねぇなら別にいい」


「……」


「ただよ」


瞬間。


サクラバが消えた。


速い。


次の瞬間には、

目の前。


拳。


咄嗟に腕を交差する。


ドゴォッ!!


衝撃。


身体が吹き飛ぶ。


窓ガラスを突き破り、

俺は校庭へ叩き落とされた。


「がっ……!」


肺の空気が抜ける。


なんだこいつ。


重すぎる。


「春!!」


雪の叫び声。


校舎から生徒たちの悲鳴が聞こえる。


サクラバは四階から飛び降り、

そのまま校庭へ着地した。


ドンッ、と地面が沈む。


「悪くねぇな」


サクラバは笑う。


「でも弱ぇ」


その瞬間。


頭に血が上った。


「……っ」


俺は地面を蹴る。


速さなら負けてない。


拳を振るう。


だが。


「軽い」


バシッ!!


片手で止められた。


「ッ!?」


そのまま腹へ拳。


衝撃。


身体がくの字に折れる。


「がはっ……!」


「力任せ」


蹴り。


吹き飛ぶ。


地面を転がる。


強い。


レベルが違う。


「終わりか?」


サクラバが歩いてくる。


クソ。


立て。


立てよ。


サクラバが拳を振り上げる。


その時だった。


ドゴォォォォン!!!


爆発音。


街全体が揺れる。


全員の視線が空へ向く。


遠くのビルから、

黒煙が立ち上っていた。


「……あ?」


サクラバが眉をひそめる。


直後。


神崎の通信機から声が響く。


『黒による大規模襲撃を確認!!』


『白各隊へ緊急招集!!』


空気が一変した。


神崎の顔から笑みが消える。


唯も真剣な目になる。


「最悪のタイミングだな……」


神崎が舌打ちする。


サクラバはニヤッと笑った。


「ちょうどいい」


そして俺を見る。


「お前」


その目に、

さっきまでの試すような色はない。


「本当にゴートなら」


サクラバは拳を鳴らす。


「来れるよな?」


その瞬間。


胸の奥がざわついた。


嫌な感覚。


今までで一番強い。


まるで。


“何か”が始まるみたいな。

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