201 元居た世界への帰還 3
もっとコンパクトにするつもりだったのになあ。あと、本筋の派生で前日譚のハードボイルド探偵・黒江麟太郎のお話もあるのよ。
「今カラ情報共有スルノヨネー」
キミコムツがくるくると踊りながら宣言した。
あっちの世界の華怜が、こっちの世界へと紛れ込んだ。紛れ込んだ先にはイレギュラーで、こっちの華怜が居た。遅かれ早かれ、世界線として正しいこっちの華怜が優先されて、紛れ込んできたあっちの華怜は、こっちの華怜に統合される。そう認識したあっちの華怜は、こっちの華怜が生き易くなるようにと、元カレの久本正を道連れにして、いなくなろうと決意。自分一人ではどうにもならないと考えて捜査7課の宵闇&私立探偵の佛淵三郎、通称:師匠に協力することに。ここでトラブル発生。
あっちの華怜の世界では小物だった久本正が、こっちの世界では狡猾でそこそこの力を持っていた。
あっちの華怜とこっちの華怜、どちらもタダシ配下の猛者に襲われた。あっちの華怜は師匠と宵闇が、こっちの華怜は毒島伽緒子と無窮丸文子が、しっかりと守り切った。
まさか派出所を急襲するとは思いもよらず、一同は危機的状況に陥った。
その危機を救ったのが、取手頼子と愉快なチーキーベア楽団。頼子ちゃんはそのまま、全員をヌイグルミ惑星へと転移させて、タダシ配下の攻撃を免れたのである。
重傷を負った師匠こと佛淵三郎は、鈴鹿連のお陰で、元居た世界で殺された娘が大事にしていた初代ムツと縫い合わせることで命を取り留めた。その副作用でクマクマの力を手に入れた。
「コンナトコロカナー」
キミコムツがにこやかに答えた。
「さてこれからどうするかなんだが……カヲカヲ達の現実世界へ戻るしかないんだろうなあ」
師匠が頭を掻きながら宣った。
「戻るしかないじゃなくて、戻るんだよ。言っちゃなんだけど、こんなクマクマしたところは落ち着かないんだよ」
宵闇が弱音を吐く。取手頼子が不満そうな顔をする。鈴鹿連は常識にとらわれておろおろする宵闇を視てニヤニヤとチェシャ猫のように笑っている。
「戻るのなら送るよ。というかそれ一択なんだけどね」
本来は強い念に塗れたクマのヌイグルミが最後に辿り着く安住の地なのだ。普通の人間は此処に居てはいけないのである。
「え? シナチクは連れていけないの?」
毒島伽緒子が尋ねる。無窮丸も表情で問いかける。取手頼子と鈴鹿連は大きく頷く。
「彼女たちはもうここの住人だからね。移動はできないよ。憶えていないのだろうけど、キミたちはこのコ達と一度さよならをしているのだからね」
思い当たる節のある毒島伽緒子と無窮丸文子はしょぼんとしてしまう。
「カヲカヲションボリスルナーイツデモミテルカラネー」
「ピンチノトキニハオタスケナノヨネー」
シナチクとペコ郎が口々に二人を慰める。
取手頼子が大きく柏手を打った。
「それじゃあ元気よく送り出してあげるよ!
それじゃあ頼んだよ、チーキーズ!」
ジョー・タスリム再検証月刊突入。「The naight comes for US」再鑑賞。イコ・ウワイスとのバトルはすさまじい。古くはウィリアム・フリードキンが「ハンテッド」で披露し、ドニー・イェンが試行錯誤した総合格闘技的間合いのアクションが、園村健介とかいろんな演出家の手を経て昇華していく様を、本作でも確認できるのだよ。




