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ヒルコの娘は常世と幽世の狭間で輪舞を踊る  作者: 加藤岡拇指
師匠と私 ミラクル☆ガールズ
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182 なんかやっかいなことになってきたな、宵闇クーン

も少しこじんまりと短く終わるつもりだったのになあ。

『タダシの手下に襲われた。でもダイジョーブ』

こっちの華怜からLINEである。吉高由里子を思わせるスタンプも添えられていた。


「あっちも、いやこっちの華怜のことだけど、あっちも狙われたって。あたしが狙われるのはわかるんだけど、タダシはこっちの華怜も狙ったんでしょ? あたしが二人いるってばれたのかな」

「いや、念には念を入れたってとこだろ。マネージャーなんだから華怜がどこにいるかは把握してる。逃げ出したことも考慮して、一応自宅にも手下を寄こしたんじゃないのか」

宵闇が推察する。それを聞いていた師匠は眉を寄せて訝しがった。

「こっちのタダシはバカじゃないみたいだけどさ、なぜリスクを冒して華怜を狙う?」

「いやあ、横領してるの社長にチクったからだと思うんだけど」

あっちの華怜が答える。横領バレたくらいで、どうみても反社な手下を寄こすかなあ。こっちのタダシなら横領くらい、適当にごまかせるんじゃないのかね。となると

「こっちの久本正が動かざるを得ない何かを、こっちの華怜がやらかしたか?」

師匠が推測を語る。

「何を?」

「さあ? 無事なんだよね。聞いてみるしかないだろうな」


「いたたたた。いたいよふみちゃん」

カオちゃんはふみちゃんにバンドエイドのキズパワーパッド大き目を膝小僧に貼られていた。フランケンシュタイナーで相手の脳天を撃ち抜いたのはいいのだけど、むき身の膝小僧もコンクリートに直撃した訳で、擦過傷を作ってしまったのである。

「カオちゃんてば、地面固いのにウラカンなんかやるから」

「あれはウラカン・ラナ・インベルティダじゃないよ。フランケンシュタイナーだよ」

「あら、そうなの」

「ウラカンは日本語で言うと高角度後方回転エビ固めなの。ルチャリブレ発祥の技だから、フォールを取りに行く丸め込みの技なのね。フランケンシュタイナーは投げ技なの。脚で挟んでぶん投げる感じ。その過程で頭部に打撃与えるとこは一緒なんだけどね」

プロレスには造詣が深くないふみちゃんは、ふんふんと適当に相槌を打っている。

「もう、ふみちゃん、わかんないのに頷いちゃだめだよぉ」

毒島伽緒子がにんまり笑うと、そこへ通報を受けた北千住駅西口交番の警官がやってきた。ふみちゃんが身分証を提示して話をしている。カラオケセットを仕舞ったこっちの華怜が、ガラガラとキャリーバックと共に近づいてくる。

「私の数少ないファンが通報しちゃったみたい」

こっちの華怜がすまなそうに声をかけてきた。ふみちゃんが二人に手招きをする。

「交番で事情聴取」

「めんどうだけどしょうがないよう」

3人は交番へと向かった。


過日10年ぶりに行われた同窓会に足を運んだのですが、集まったのは7人程。そのうちの半分が何かしら体をいわしておりました。25の時に余命宣告を受けた、生きているのが不思議な奴がいまだ健在である可笑しさ。無茶苦茶テンション高くて、口から先に生まれたと言われていたやつが、パーキンソン病発症して、無茶大人しくなっていたり。去年から連絡取れなくなっていたいつもにこにこ笑顔だったヤツが、実家に確認したらぽっくり死んでいたりと。まあまあ10年会わないうちに激変しておりましたわ。なんだろうなあ。あいつ今どうしてるかなと思った時に、確認の電話したり、実際会いに行ったりした方が良いなあなと思った次第です。

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