177 師匠と華怜と宵闇と 2
藤堂華怜ちゃんを出して、俺はどうするつもりだったんだろうか?
漠然とした流れを考えていたような気はするんだけど、今では方向性すら怪しいなあ。
タダシからの架電がひっきりなしに続いている。いい加減出て、居場所だけでも確認しなくちゃと思ってスマホに手を伸ばしたタイミングで、玄関チャイムが鳴った。スマホに伸びた手がビクッと止まった。スマホはテーブルの上でブーウウウウンと振動を繰り返している。ゆっくりと顔が玄関の方に向かって動いた。予定にない訪問者は大抵宅急便の荷物か、悪いニュースしか持って来ない。そう考えるのと同時に、漫画だったら、こういう時の変な動きの効果音はきっと「ギギギ」辺りじゃないかと見当をつけている自分が同居する。
ふーむ、肝が据わったのか案外冷静じゃないか。
華怜は勢いをつけて立ち上がると玄関へと向かった。ちらりとドアアイから外を伺う。どうやら男性が二人。通路のLED照明のせいで逆行になっているため容姿まではわからない。
「華怜のLINEはこのことかな」
『ケーサツ バレた』
こっちの華怜からスマホにLINEが届いていた。
チェーン錠は予めセットしていた。ためらいがちにサムターンを回して、ゆっくりとドアを開いた。チェーン錠が掛かった数十センチの隙間から、覗いてみる。背の高い男が二人。若い人とおじさんが二人。なんかおじさんの方は警察っぽくない。若い人が何かしゃべろうとしていたのに、
「この後人を探しに行くつもりのようだが、ちょっと難しいと思うぞ」
おじさんが遮った。
これからわたしがやろうとしていることが見透かされている。
先回りされたのがなんか気に入らない。
「え? あんた、誰?」
自分の声が冷え切っていくのが解った。
「誰? 誰? うーん、境遇的にはあんたと似たようなもんだよ、華怜ちゃん」
「え?」
「俺は2回世界を跨いだけど、自分の世界に戻れていない」
おじさんの唐突な発言が、ゆっくりと自分のお弱い頭にも浸透していくのを感じる。
「へ? おじさんも此処の世界の人じゃないの?」
『CUBE』+デスゲーム+80年代カンフーアクションな『カンフーゲーム』鑑賞。うーん、いまいち物足りないなあ。




