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ヒルコの娘は常世と幽世の狭間で輪舞を踊る  作者: 加藤岡拇指
師匠と私 ミラクル☆ガールズ
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178 師匠と華怜と宵闇と 3

あっちの華怜ちゃん、ちょっと可愛いかも。


2026/05/01 いろいろ考えたらそうだよなあと思い、ラストを少し修正。

「へ? おじさんも此処の世界の人じゃないの?」

あっちの華怜の質問に、師匠は大きく頷く。

しばしの沈黙。ドアが閉まる。内部でチェーン錠が外れる音がした。

ゆっくりとドアが開く。

先ほど北千住の駅で別れた、藤堂華怜そっくりそのままなあっちの華怜が立っていた。目の前の彼女は、少し着崩したパーカー姿で、どこか幼いあどけなさが残っていた。頼りなく立つ華怜の姿に師匠は保護欲がうずくのを感じた。しかし、思い直す。あっちの華怜は魅了(チャーム)超感覚(スキル)持ちだ。師匠はしばし頭の中で考えをまとめて話し始めた。

「俺は探偵。こっちは並行世界専門の警察。

少し話がしたい。場合によっては同行願うことになる。というか必ず同行願うこととなる。

あー、すまん、キミに選択肢はあまりないな」


宵闇が警察手帳を取り出して、あっちの華怜に提示する。

「警視庁公安7課の宵闇という。貴方がこの世界の住人ではないことは調べがついている。規則なんでね、貴方の身柄を保護したい。了承する?」

宵闇にしては丁寧な物言いだなと師匠は思う。いつも自分がからかい半分に声をかけるからか、いつも語気が荒く汚い言葉を投げ返してくるのにと、少し意外だなと思う。でも、ちゃんと仕事をしている宵闇を視るのは初めてだから、普段はこんな口調で対象と接しているのかもしれないと思う。

そんな師匠の視線に気づいた宵闇が「なんだよ?」という顔で、一瞬だけ師匠に視線を向ける。


「だよねえ。変だと思ったんだ。荷物取ってきていい? っていっても大したもの持ってないんだけどさ」

あっちの華怜が少し悲しそうに笑う。宵闇と師匠は時間差で頷き、肯定する。

「山の中で殺されかけて、必死になって逃げて来て、自分の家に辿り着いたら自分が居るんだもん。びっくりしたわ」

部屋の奥に向かいながらあっちの華怜が誰に言うでもなく喋り出した。

「その前から変な感じだったのよ。うーんとなんて言うかな、そう、居場所? ここは自分の居場所じゃないみたいな気分がしてたの。おじさんもそう?」

あっちの華怜が奥から玄関に戻って来るに連れ、声が大きくなってくる。

居場所じゃない、此処は違うという感覚はずっとついて回る。世界が自分を異物として見ているような、そんな気分はずっとしていた。家族が居た時はごまかすことができたのだけど、今はごまかしが効かなくなってきたかも知れない。

「その感覚はずっとついて回るよ。今でもお前はこの世界の仲間じゃないって、やんわり拒絶されてる。そんな感じがするな」

いつになく饒舌なおっさんを見て、宵闇が少し驚く。今度は師匠がなんだよーという眼で、宵闇を捉えた。あっちの華怜が準備を整えて玄関に現れた。パーカーの上にジージャンを羽織って、少しは出かける服装に変わっていた。

「えーと靴なんだけどね」

師匠が口を開いた。

「え? 靴」

「うん、靴。ヒールがある靴はやめておいた方がいい」

「ヒールはダメ。それはどうして?」

「できればスニーカー推奨。なぜならば……」

アパートの入り口近くから階段を駆け上って来る足音が響いた。しかも複数。

「招かれざる客の来訪があるから」

3階に姿を現したのはどうにも剣呑なお歴々であった。

数ある『THE HUNTED』の中から2003年のフリードキン監督を鑑賞。おっさんとじいさんがナイフで命を取り合う凄まじく嬉しい映画。映画開始早々、緑緑した森の中で、トミー・リー・ジョーンズとベネチオ・デル・トロがくんずほぐれつ総合格闘技的な泥臭い戦いを展開する。ドニー・イェンの『導火線』よりも先に、これやっちゃってるんだよ、フリードキンすげえ。


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