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流星  作者: 水鳥川 陸
3/6

第3話

異変は微かに始まった。

目覚めると、体が微かに重い気がする。


「おはよう、お姉さん」

周りの星たちに、彼女はそう呼ばれていた。

自分の名前位は憶えている星がほとんどの中で、彼女には何も手掛かりがなかったから。

「うん、おはよう」

出した声は少しいつもより掠れていた。

でもそれは周りにはまだ気づかれないくらいの小さな違和感。

さして気に留めず、今宵も夜通し地上の人々を眺める。


自分が探している人は、どんな人なのだろう。

今日こそは見つかるだろうか、でもどんな風に?


ぼんやりと見つめているうちに、いつの間にか彼女は眠ってしまったらしかった。


夢の中で、彼女は誰かの背中を追っていた。

(行かないで)

でも、その背中が決して立ち止まることのないことを、彼女は知っている。

(待って。私も連れて行って)

私も、そう言ってふと振り返ると、彼女の後ろには大勢の人たちがいた。

怪我をした人や病気の人、それを支える人々が、彼女の名前を呼んでいる。

(私たちをお助けください、ユキノ様!!)


はっと気づくと、ほかの星々が彼女をのぞき込んでいた-とても心配そうに。

「お姉さん、光が・・・」

おずおずと、一つの星が話しかける。

言われて自分の体を見渡すと、自分の体が、星の光が斑になっていた。

こんなことは今まで一度も無かった。

言葉もなくうろたえていると、星たちの奥から神のお使いが姿を現した。

星が生まれる時以外、ほとんど姿を見せることのないはずなのに。


「ごめんね。君を助ける方法がないか、ずっと調べていた。神様にも聞いてみたけど、見つけられなかった。このままだと、君はもうじき消えてしまうんだ」

相手を見つけられぬまま、これほど長い歳月がたった星がないのだという。

彼女は、星としての寿命そのものが尽きようとしていた。

そして、星になっても相手を見つけられなかった彼女には、もう命あるものとして生まれ変わることもできない。

存在自体が消えてしまうのだという。


「でも・・・でも私、名前を思い出しました。ユキノ、それが私の名前」

神の使いは小さく微笑んだようだった。

それは哀れみなのか、悲しみなのか、それとももっと別の。

「君が星としていられるのは、長くてもあと一月だと思う。・・・でも、諦めてはいけないよ、ユキノ」



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