第九十六話 黒砂の魔窟
俺達は酒場を出た後、街を歩きながら今後のことを話していた。
「それで、どうすればシルバーになれるんだ?」
俺が尋ねると、リバは少し考えてから答えた。
「ランクを決めてるのは、この魔兵団で一番偉い総団長だ」
「昇格する手段はいろいろあるけど、一番手っ取り早いのは難度の高い依頼をこなすことだな」
「あとは大きな実績を残したりすれば簡単に上がれる」
「なるほど」
俺は頷く、リバは続けた。
「もっとも俺の場合は地道にコツコツ簡単な任務でランクを上げたけど……」
「シルバーになったのだって最近さ」
「それでやっとパーティには入ろうとしたんだけど……」
そう言うリバの表情は暗い。
「でも俺みたいな奴を受け入れてくれるパーティなんて無かった」
「その上、俺自身ビビリだし、弱いし……」
「結局、誰も受け入れてくれないんだ」
自嘲気味に笑うリバ、しかしキャリーはそんな空気を吹き飛ばすように言った。
「取り敢えず私達もパーティに入れるようになるために、シルバーにならなきゃね!」
「そうだな」
俺はリバへ視線を向けた。
「リバ、ブロンズで受けられる難しい依頼ってあるか?」
「ブロンズかぁ……」
リバは腕を組んだ。
「正直、あんまり危険な任務は無いな」
「基本的にブロンズは単独で活動する奴も多いし」
「そもそも新人が死なないように調整されてる」
俺とキャリーが少し残念そうな顔をする、だが次の瞬間、リバが何かを思い出したように指を立てた。
「あ」
「でもダンジョン攻略の依頼なら良いかもしれない」
「確か難度高めのダンジョンがいくつか残ってたはずだ」
「本当か!?」
俺は思わず身を乗り出す。
「行ってみよう!」
キャリーも目を輝かせた。
◆
しばらくして三人は魔兵団本部へ到着した、巨大な掲示板には無数の依頼書が貼られている。
リバは慣れた様子で依頼を探し始めた。
「あった」
一枚の依頼書を指差す、アルとキャリーも覗き込む、そこには大きくこう書かれていた。
――ダンジョン『黒砂の魔窟』攻略依頼。
「黒砂の魔窟って……?」
俺は尋ねる。
リバは答える。
「攻略に成功すれば、一発でシルバー昇格が認められる任務だ」
「でも難度はかなり高い」
「だからずっと残ってたんだろうな」
その説明を聞いた俺は笑った。
「よし」
「じゃあそれで決まりだな!」
キャリーも拳を突き上げる。
「初任務!」
「頑張ろー!」
周囲の人達が何事かと振り向くほどの大声だった。
リバは呆れたように肩をすくめる。
「本当に行くのか……?」
「当たり前だろ?」
俺は即答した、キャリーも大きく頷く、その姿を見て、リバは小さく笑った。
「……分かったよ」
「後悔しても知らないからな」
こうして三人は依頼を受注した。
目指すはダンジョン――黒砂の魔窟。
俺達にとって初めての本格的な任務が、今始まろうとしていた。




