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第八十九話 無様
俺はゆっくりと膝をついた、肩で息をし、汗が滴る。
そして――
額を地面につけた、観客席がざわつく、誰が見てもそれは無様だった。
「ま、待ってくれ……」
「少しだけ時間をくれないか……?」
かすれた声、時間を稼ぐ、ただそれだけなのは誰の目にも明らかだった。
だがダークは怒らない。
むしろ笑みを浮かべていた、心の底から楽しそうに。
「無様だなぁ」
「可哀想に」
「何もない」
「力も、武器も、勝ち筋も」
そして楽しげに笑った。
「あぁ、実に……」
「哀れだ」
だけど俺は動かない、顔も上げない。
俺は静かに待っていた、ダークは気付いていない、いや、気付いていても気にしない。
勝利を確信しているからこそ出る強者の余裕、それがあった。
俺は待つ、あと少し、もう少しだけ。
呼吸を整え、心を落ち着かせる。
そしてその時が来るのを静かに待っていた。




