85/157
第八十五話 アルvsダーク
ダークサウンドが迫り、観客たちが息を呑んだ。
その瞬間、アルの姿が消える。
「――!?」
ダークの目が見開かれる。
魔視、それは相手の魔力の流れを読む技術。
だが読めても対応できるとは限らない、予想外の一手、転移魔法。
戦闘中、ほんの一瞬だけダークの思考が止まる。
だがアルには関係なかった、考えていることは一つだけ。
ダークの急所、心臓、そこだけを見ていた。
(今だ!)
転移先は心臓の目の前、距離は最短、身体強化を全開にし、俺はナイを突き出す。
「おおおおっ!!」
一直線、迷いのない一撃、ダークが反応する。
(遅い!)
だが――
ガギィィン!!
鋭い金属音が響く。
「っ!?」
手応えがおかしい、確かに届いた、急所を捉えた、なのに止まっている。
あと少し急所に届かない、アルの目に映ったのは心臓の前に集中する魔力、薄く展開された魔法。
(防御魔法……!)
ダークは咄嗟に発動していた、完全ではない、だが急所への一撃を止めるには十分だった。
ダークの口元がわずかに歪む。
「なるほど……」
感心したような声だった。
「面白い」




