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第八十四話 秀才
ムウ、あいつは間違いなく天才だ。
魔法の才、戦闘センス、発想力、どれを取っても規格外だった。
きっと世界を変えるのはああいう人間だ、誰も思いつかないことを成し遂げ、誰も辿り着けない場所へ進むような存在。
だけど、もしそんな天才を変えられる奴がいるとしたら。
それは――
きっと誰よりも貪欲に、必死に前へ進もうとする奴だ。
第一次試験のあの化け物とムウの戦い。
そして何度も見た現象、消え、現れる、空間を飛び越える魔法
(転移魔法だ……)
(あれは無属性魔法、いわば体外での魔力操作)
極めて高難易度の魔法。
だが俺には魔視がある、そして今までの勉強で術式も頭の中に入っている、何よりこの試験で身近で何度も見た、何度も頭の中で反芻した。
だから分かる。
(俺なら出来る)
(出来るはずだ)
俺の眼前にダークサウンドが迫る、観客席がざわめく。
だが、俺は動かない、ナイを握り、集中する、もっと繊細に、もっと正確に、空間へ干渉する。
ダークの目が細くなる、初めて余裕が揺らぐ。
「あれは……」
俺は静かに呟く。
「転移魔法」




