第八十三話 闇魔法
闇魔法、それは魔法の中でも高火力で応用力も高い魔法。
攻撃、防御、攪乱、使い方次第で何でもできる。
そんな闇魔法の欠点があるとすれば全体的に速度が遅いこと、だからこそ対処する余地がある。
――そう思っていた。
だが目の前の魔法は違う、ダークの腕に集まった闇が形を成す、魔力の流れを見た瞬間、理解した。
(まずい)
この魔法は闇魔法――
「闇音」
高威力で闇魔法の中ではトップクラスの速度を誇る魔法。
避けにくく、防ぎにくい、実に厄介極まりない魔法。
ダークが口元を歪める。
「さて」
「見せてくれ」
俺を試すように、値踏みするように。
「君はどこまで足掻ける?」
次の瞬間、高速で円状に広がる闇が放たれた、速い、想像以上だ、魔視がなければ見失っていた。
だが見える、だけど見えるだけだ。
(どうする……?)
(避ける……?)
(速すぎる、無理だ)
(ならば防御魔法で受けるか……?)
(いや、ただでは済まない……)
俺の得意魔法はない。
火も、水も、雷も、闇も、何も使えない。
使えるのは魔力操作だけ。
(それでどうやって勝つ?)
(どうやってこの化け物に届く?)
その時俺の脳裏に浮かんだのは烈炎で燃え上がる剣、圧倒的な才能を持つ天才、ムウ。
ムウの言っていた一言。
『お前やっぱり変だな』
そうだ、俺は普通じゃない、全部が苦手魔法。
だから、普通の戦い方なんてできない。
なら――
俺だけの戦い方をするしかない、闇が迫る、刹那、俺の口元がわずかに上がった。
「そうか……」
「あれだ」




