第七十六話 オクvsレイア
試合開始、その言葉が響いた瞬間だった、オクは即座に距離を取り、そして魔力を練り上げた。
彼女の得意魔法、その最大の強みは――
「速攻!」
「迅雷撃!」
オクがそう叫んだ次の瞬間、轟音が闘技場に響いた。
バチィィィィン!!
青白い稲妻、ダークとの戦いで見せた最大出力、それにスピードが段違いなほど上がっている
まともに受ければただでは済まない、観客席からも驚きの声が上がる。
「速っ!」
「開始早々全力か!」
だが、対するレイアは冷静だった、まるで予測していたかのように。
ゆらりと身体を捻った、ただそれだけで雷は彼女を掠めることすらなく通り過ぎた。
「なっ……!?」
オクの顔が青ざめる。
(あり得ない!あの速度を見切られた!?)
俺は目を細めた、そして気付く。
「……そういうことか」
キャリーが振り向く。
「アル?」
俺はレイアを見る、目に高濃度の魔力が集中している。
「あれは……」
間違いない、俺もよく知っている。
「魔視だ」
キャリーが息を呑む、魔視、魔力の流れを読み取る技術、相手の動きや魔法の予兆を捉えることができる。
だから見切れたんだ、オクの最大の武器を。
闘技場ではオクが動揺していた。
「そ、そんな……」
焦りで魔力が乱れる、呼吸も乱れ、涙目になりながら次の手を考える。
だが、レイアは慌てない。
ゆっくり、静かに、オクへ歩いていく、一歩、また一歩と圧力だけで押し潰すように。
そして目の前まで来ると短く告げた。
「降参しろ……」
静かな声だった、脅しでもない、怒声でもない。
ただ実力差を理解した者の言葉、オクの肩が震える、唇を噛み、拳を握る、負けたくない、その気持ちはある。
だが、分かってしまった、勝てない、目の前の相手は自分よりずっと強い。
やがて、オクは膝をつき、そして小さく呟く。
「……降参します」
闘技場が静まり返り、推薦書が高らかに宣言した。
『勝者――レイア!!』
歓声が上がる一方でオクは悔しそうに俯いていた。
最終試験、その厳しさを全員が改めて思い知ることになった。




