第七十四話 例外
ざわめく受験者たち、最初の対戦カードが発表されると誰もがそう思っていた。
だが、その時一人の少年が静かに考えていた。
ムウだ。
(生き残りはざっと51人……)
(奇数だな)
51。
つまり、一人余る。
(だとすると、おそらく――)
そこまで考えた時だった、推薦書が大声を上げる。
『――の前に!!』
一同がざわつく。
「なんだ?」
「まだ何かあるのか?」
推薦書はもったいぶるように続けた。
『生き残りが奇数なんでな!』
『一人だけ例外がいる!』
受験者たちが顔を見合わせる、推薦書は高らかに宣言した。
『第一次試験で最も多く魔物を討伐した男!』
『ムウ!!』
全員の視線が集まる、当の本人は無表情だった。
『お前は合格だ!!』
一瞬の沈黙、そして、広場が爆発した。
「はぁ!?」
「もう合格!?」
「おいおい冗談だろ!」
「第一次試験だけで!?」
驚きの声が飛び交う、中には。
「あの魔物を倒したのか……?」
「何体倒したんだよ……」
「バケモンかよ……」
そんな声も聞こえた、だけどあの戦いを見た今なら分かる、むしろ納得だ。
オクも呆然としている。
「本当に規格外なんですね……」
キャリーは肩をすくめた。
「天才ってレベルじゃないわね」
一方、ムウ本人はため息をついた。
「面倒が省けたな」
それだけだった、喜ぶ様子もない、周囲の視線も気にしない、まるで当然の結果と言わんばかりだ。
するとムウの足元に魔法陣が展開され何処かに消えてしまった。
推薦書が笑う。
『よし!』
『じゃあ改めて最終試験開始だ!』
広場に緊張が戻る、ムウという例外はいた。
だが、残り50人は違う。
ここから先は本当の意味での勝ち抜き戦だ。




